チャンピオンズリーグ(CL)・準々決勝ファーストレグが9日に行われ、レアル・マドリードスペイン)とマンチェスター・シティイングランド)が対戦した。

 2シーズン前のCL王者と、昨季の優勝チームが、準々決勝で相まみえる。今季、レアル・マドリードグループCに組み込まれ、6戦全勝と安定感のある戦いを披露。決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)ではライプツィヒドイツ)と対戦し、ブラヒム・ディアスの“ゴラッソ”でファーストレグを1-0で制すと、セカンドレグは相手に多くのチャンスを作られながらも1-1で終え、4シーズン連続の準々決勝へ駒を進めていた。

 一方、マンチェスター・シティもグループGの戦いを6戦全勝と無傷で終えた。ラウンド16ではコペンハーゲンデンマーク)相手に2試合通して力の差を見せつけ、終わってみれば2戦合計スコアは6-2。ファーストレグ、セカンドレグともに早い時間帯に先制したことで、わずかな隙を見せてしまったことは事実だが、それ以上に攻撃陣が破壊力を見せつけ、開幕から8戦連続で3得点と強者の戦いを見せている。

 過去の対戦成績は、ホームチームのレアル・マドリードから見て3勝3分4敗。直近8試合は決勝トーナメントでの対戦となっており、レアル・マドリードマンチェスター・シティ、それぞれ2回ずつ次のラウンドへ駒を進めている。実質的には互角と言っていいだろう。

 なお、両チームが対戦するのはこれが3シーズン連続のこと。過去の2シーズンはともに準決勝で顔を合わせており、2021-22シーズンは、セカンドレグの終了間際にロドリゴが劇的2ゴールを挙げるなど、“勝負強さ”を見せつけたレアル・マドリードが6-5と逆転勝利を飾った。一方で、昨季はファーストレグを1-1のドローで終えた後、マンチェスター・シティが敵地で4-0と圧勝。前述の通り、これらの戦いを制した後は、両チームともに“ビッグイヤー”を掲げていた。

 昨季のリベンジを目指すレアル・マドリードは、トニ・クロースジュード・ベリンガムヴィニシウス・ジュニオールといった主力がスターティングメンバーに並んだ。2シーズン前に劇的な2ゴールを挙げたロドリゴも先発入り。ルカ・モドリッチやブラヒム・ディアスらはベンチから出番を待つ。

 一方、マンチェスター・シティロドリ、ベルナルド・シルヴァ、アーリング・ハーランドと豪華な陣容を揃えて決戦へ臨む。ベンチメンバーもケヴィン・デ・ブライネフリアン・アルバレスなど流れを変えられる選手が揃った。

 レアル・マドリードの本拠地『サンティアゴ・ベルナベウ』でキックオフを迎えた一戦は、キックオフからわずか約2分間でスコアが動く。マンチェスター・シティは敵陣左からドリブルで仕掛けたグリーリッシュがオーレリアン・チュアメニのファウルを誘い、フリーキックを獲得する。キッカーを務めたベルナルド・シルヴァは、GKアンドリー・ルニンの位置を見て、クロスボールを上げる素振りを見せつつも左足でニアサイドを撃ち抜く。意表を突くフリーキックが炸裂し、マンチェスター・シティが開始早々先手を取った。

 序盤はマンチェスター・シティが前への圧力を強めたが、レアル・マドリードも慌てることなく対応。すると12分、敵陣へ押し込んだ状態のなか、右サイド高い位置を取ったダニエル・カルバハルは左斜め後ろのエドゥアルド・カマヴィンガを使う。カマヴィンガは中央へ持ち運んで左足を振り抜くと、このミドルシュートがルベン・ディアスに当たってゴールに吸い込まれた。

 早くも試合を振り出しに戻したレアル・マドリードは、直後14分にもカウンターでゴールを脅かす。自陣へ降りて縦パスを受けたヴィニシウスがうまくターンしてスルーパスを送ると、最終ライン背後のスペースへロドリゴが抜け出す。左サイドからボックス内までボールを持ち運ぶと、1度はマヌエル・アカンジに追い付かれたものの、アカンジの股下を通す一撃を流し込み、レアル・マドリードが逆転に成功した。

 その後はマンチェスター・シティがボールを保持する時間が続きながら、レアル・マドリードソリッドな守備陣形を崩し切るまでには至らず、前半はこのままレアル・マドリードの1点リードで終了。後半に入っても、48分にボックス左でボールを受けたグリーリッシュが右足でフィニッシュまで持ち込むなど、マンチェスター・シティがボールを握って前へ出る。

 対するレアル・マドリードは53分にチャンスが到来、マンチェスター・シティ守備陣でのパス回しが乱れると、セカンドボールを拾ったベリンガムがボックス内へ侵入。切り返しから縦へ持ち出し、左足を振ったものの、シュートはわずかに枠を外れる。56分には敵陣左サイドサイドチェンジのボールを受けたロドリゴがスルーパスを流し入れると、ボックス左へ走り込んだヴィニシウスが左足で狙ったが、ここも枠を捉えきれない。

 このままレアル・マドリードの1点リードのまま時計の針は進んだが、66分にはマンチェスター・シティの“若きエース”が違いを見せつける。右サイド深い位置から切り返したB・シルヴァがマイナスへ繋ぐと、ストーンズを経由し、ボールはボックス手前で待っていたフォーデンの元へ。フォーデンは迷いなく左足を振り抜くと、ゴール左上を狙ったコントロールショットが突き刺さった。マンチェスター・シティが王者としての意地を見せ、再びスコアは同点となった。

 勢いに乗るマンチェスター・シティは直後の71分、フォーデンが左サイドへ展開すると、ウイングのポジションで待っていたグリーリッシュがドリブルで前進。ボックス左からマイナスへ落とすと、サポートしていたヨシュコ・グヴァルディオールが右足一閃。利き足ではない右足から放たれたミドルシュートがゴールネットを揺らし、マンチェスター・シティが逆転に成功した。

 だが、レアル・マドリードもこのままやられっぱなしでは終わらない。79分、途中出場していたルカ・モドリッチが中央からドリブルで持ち運び、左へ繋ぐと、ヴィニシウスが左足でクロスボールを供給。このボールが、ボックス右のスペースへ走り込んできたフェデリコ・バルベルデにピタリ。右足ダイレクトボレーシュートを叩き込み、今度はレアル・マドリードが追いついた。

 試合はこのままタイムアップ。超ハイレベルなシーソーゲームとなった一戦は、互いに最後まで譲らず、3-3のドローで終了。両チームともに4シーズン連続の準決勝進出を目指し、セカンドレグで勝ち越しを狙う。

 セカンドレグはおよそ1週間後の17日、マンチェスター・シティの本拠地『シティ・オブ・マンチェスター・スタジアム』にて開催される

【スコア】
レアル・マドリード 3-3 マンチェスター・シティ

【得点者】
0-1 2分 ベルナルド・シルヴァ(マンチェスター・シティ
1-1 12分 ルベン・ディアス(OG/レアル・マドリード
2-1 14分 ロドリゴ(レアル・マドリード
2-2 66分 フィル・フォーデンマンチェスター・シティ
2-3 71分 ヨシュコ・グヴァルディオール(マンチェスター・シティ
3-3 79分 フェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリード

スターティングメンバー
レアル・マドリード(4-3-1-2)
GK:アンドリー・ルニン
DF:ダニエル・カルバハル、オーレリアン・チュアメニ、アントニオ・リュディガー、フェルランド・メンディ
MFトニ・クロース(71分 ルカ・モドリッチ)、フェデリコ・バルベルデ、エドゥアルド・カマヴィンガ;ジュード・ベリンガム
FW:ロドリゴ(71分 ブラヒム・ディアス)、ヴィニシウス・ジュニオール(86分 ホセル)

マンチェスター・シティ(4-2-3-1)
GK:シュテファン・オルテガ
DF:マヌエル・アカンジ、ジョン・ストーンズ、ルベン・ディアス、ヨシュコ・グヴァルディオール
MFロドリマテオ・コヴァチッチ;ベルナルド・シルヴァ、フィル・フォーデン(87分 フリアン・アルバレス)、ジャック・グリーリッシュ
FW:アーリング・ハーランド

ハーランド、ヴィニシウスの両エースにゴールはなかった [写真]=Getty Images