JR北海道が、空港アクセス輸送の抜本的な強化を検討します。列車の高速化だけでなく、かつて浮上した「スルー化」も再び言及されました。果たして実現するのでしょうか。

札幌~新千歳空港間の高速化を目指す

JR北海道は2024年4月1日、「グループ中期経営計画2026」と、それ以降を見据えた事業構想を発表。札幌~新千歳空港間の高速化や「新千歳空港駅のスルー化」を検討していることを明らかにしました。

現在、札幌~新千歳空港間(46.6km)では快速「エアポート」が運行されています。2023年3月ダイヤ改正では、使用車両が転換クロスシートの721系からロングシートの731系に更新され、車両の定員が増加。2024年3月のダイヤ改正では毎時5本から6本に増発されるなど、空港アクセス輸送の強化が図られています。

JR北海道北海道新幹線の札幌延伸後、現在は最速32分となっている札幌~新千歳空港間を、最速25分に短縮することを目指すとしています。特に利用者が多い同区間の輸送品質を向上させ、収入増につなげたい考えです。

所要時間の短縮にあたっては、軌道強化や線形改良、最高速度の向上(現在は120km/h)、高架化による踏切解消などが必要となる見通し。JR北海道は「現時点では、どの程度まで最高速度を向上させるかは決まっていません」(広報部)としており、あくまで長期的な目標としての位置づけだと話します。

「新千歳空港駅スルー化」って何だ?

新千歳空港駅スルー化」は、行き止まり式となっている新千歳空港駅を改良し、石勝線(新夕張方面)や室蘭本線苫小牧方面)への直通列車が通り抜けられるようにする構想です。現在は札幌方面のみが直通でき、それ以外の方面は南千歳駅での方向転換が必要ですが、新線を建設することで全方位へ直通可能にするというわけです。

これは、今回初めて明らかにされた構想ではなく、JR北海道が2019年に公表した「長期経営ビジョン『未来2031』」にも盛り込まれていました。

JR北海道は、この構想について「千歳線を走行する列車を空港アクセス輸送に活用できるようになり、空港アクセス輸送における輸送力の増強が図られます」とした上で、「『北斗』『すずらん』『おおぞら』『とかち』といった特急が停車することで、道南・道東からのアクセスが改善され、新千歳空港の利便性が飛躍的に高まります」(同)と話します。

ただ、この「新千歳空港駅スルー化」も、現時点で具体的な計画があるわけではないとのこと。札幌~新千歳空港間の高速化と同じく、長期的な目標としての位置づけですが、果たして具体的に動き出す時は来るのでしょうか。

快速エアポート(画像:写真AC)。