「お金持ちになりたい!」と思ったらついつい何をするか? のほうに目が向きがちですが、同時に「何をしないか?」も大事です。元・経営コンサルタントであり、現在は長福寿寺 第56代住職である今井長秀氏の著書『金持ちの生活に真似ぶ』(文友舎)より、お金持ちが「しない」ことをご紹介します。

二次会には不参加

年商が上がれば上がるほど、経営者は二次会には参加しません。一次会はコミュニケーションの場ですから、必ず参加します。でも二次会は

「もうちょっと飲もうぜ!」

というのが趣旨で、特に目的はないからです。酔いがまわって、最終的にグデングデンになってしまうようなら、せっかく一次会で結んだ縁すら消えていってしまうかもしれません。手にした一杯が誰かを幸せにするのか、あるいはただの自己満足なのか、そこを考えてほしいと思います。

もちろん修行ではないので、飲むなとは申しません。長福寿寺のあり方は、大乗仏教の経典の1つである『維摩経(ゆいまきょう)』がベースになっています。その主人公である維摩居士さんは僧侶ではなく商人で、酒場にもキャバクラにも行きます。でもそこで飲んで帰るだけで終わらずに、その場にいる人々を上手に仏門の教えへと導く。頭ごなしのお説教には耳を貸さない人も、酒場で打ち解け合った仲ならば、言葉に耳を傾けます。

我々も同様で、寺にじっと座ったまま、

「みなさん、法話を聞きにいらっしゃい。お檀家さん、お布施をよろしくお願いいたします」

なんて言っていたら、誰も寄ってこないですし、寺の経営そのものが危ぶまれてしまいます。

お酒は誰のために飲むか?を考えるのが大事です。体質上、飲めない人もいますから、そういった方の場合は例外です。でも会食で、

「今、ダイエットをしていまして……」

と、自分の都合でお茶を飲んで静かにしているのもいかがなものでしょうか? それなら当日心ゆくまで楽しむために、普段の食事量をコントロールし、お酒を控えておく。どこかで帳尻を合わせればいいんです。

お酒は飲んでも呑まれない、そして翌日には絶対に残さない、で。もし残っていても、だるそうな雰囲気を見せるのは、ご法度です。

エナジードリンクに頼らない

疲れたとき、あと一息だけ頑張りたいと思ったときに何を想像しますか?

ドラッグストアやコンビニで販売しているエナジードリンクを思いついたら、危険信号です。この本を読んでくださっているということは、少なくとも金運を上げたい、年収を増やしたいという野心をお持ちでしょう。そんな人にはお勧めできないのが、エナジードリンクです。

経営者たちはこれを飲んでも一瞬エネルギーが上がるだけで、その力をキープできないことを知っているので、基本的に飲みません。どんな成分が入っているか?は、専門家ではないので詳しいことは書けません。でも新商品から定番まで、売れ続けているということはそれなりに依存性も高いはず。スポーツ選手も、体に負担がかかることを理由に飲んでいないそうです。

エナジードリンクに頼らないと仕事ができないようでは、年収アップは期待できません。本来の自分らしいパフォーマンスだって、できなくなってしまう。

眠気を覚ましたいならブラックコーヒー、周囲の雑音が気になるならイヤホンのノイズキャンセリング機能など、何かしら自分が集中できる手段を見つけてみては?

不要な人間関係を持たない

住職をしているとさまざまな相談を受けることがあります。もちろん、金運のことだけではございません。

中でも絶えることがない相談内容は、人間関係に関すること。みなさん、余分な人間関係を抱えすぎなのだとお察しします。悩むような人間関係とは、少し距離をおいてみたり、離れてください

お金持ちになりたい、金運を上げたいのでしたら、自分自身が疑問を感じるような人間関係は避けましょう。経営者たちは決して、悪友を持ちません。人が地位や名声を手に入れてから寄ってくるのは、

「金なんてなくても、人生どうにかなる。誰かが助けてくれる!」

というマインドのなんだか他力本願な人たちばかり。それまでの態度をコロッと変えてごますりをしてくる人や、疎遠だったにもかかわらず、急に友達呼ばわりをしてくる人も多いですね。悪い縁を結ぶとどうしても引きずられてしまうので、経営者は皆、悪友は持たないと口をそろえて言います

ほかに、血縁関係をまるで錦の御旗のようにして寄ってくる人もいるでしょう。スポーツ選手が金メダルを獲ると、急に親戚が増える現象と同じです。こんな関係性に対しても、答えは簡単で、会わなければいい。

「この人とは縁を持ちたくない」

適当にあしらっていれば、つながりは消えていきます。逆に、血縁としてあなたに無償の愛で接してくれるのなら、その関係は地位や名声に振り回されることはありません。きっと成功した後も、相手は変わらずにいてくれるはず。

「お金持ちは強いからできるかもしれないけれど、私たち庶民はいきなり関係性を切ることはできません」

そう言いたくなる気持ちも分かりますが、今、資産家と言われている人たちもかつては普通の人でした。世襲制で家業を継いだ2代目で、成功しているように見える人たちも、とんでもない努力を日々続けています。ですから上に上がるために余分な時間は割いていられません。必要な人間関係だけを残すのです。住まいと同じく、人間関係にも定期的断捨離が必要です

残しておきたい関係は、自分が調子の良いときも悪いときも変わらないでいてくれて、高め合える存在です。調子が良いときは友達のように見えて、悪くなった途端に離れていく人もいますから、そこで判別はできます。私にも『お元氣さま会』のほかに、3人だけ親友と呼べる人がいます。そもそも私自身、親友は3人いれば良いという考え。その代わり、何をおいてもこの3人だけは絶対に裏切らないと決めています。

1日は24時間、1年は365日、フレキシブルに働ける年齢の上限は80歳と考えたら、ダラダラと人とつながっている場合ではないのです。

今井 長秀 長福寿寺 第56代住職