4月3日に発生した台湾東部沖地震で、同12日から台北市内で開催される金馬ファンタスティック映画祭(以下、GHFFF)の上映会場の一部が被災した。しかしGHFFFは、代替劇場を探して予定通り開催することを発表。同8日には新たな上映会場も決定し、すでに購入したチケットもそのまま使用出来るという。不安が続く日々だからこそ娯楽を届けたいとするGHFFFの姿勢と、迅速な対応にSNSでは賞賛の声が寄せられている。

被災したのは、台北のランドマーク台北101に隣接し、台湾最大級の17スクリーンを持つシネコン台北信義威秀影城(Vie Show Cinemas Taipei Hsin Yi)のスクリーン10と11。上映機材が影響を受けたようで、使用不可となったという。

GHFFFが同映画館と協議した結果、スクリーン10の上映作品はスクリーン14に変更。スクリーン11は、上映席数の関係でスクリーン5と17に会場を分けて上映するという。チケットはそのまま使用出来るが、一部の観客は指定席番号が変更になるほか、万が一入れ替え可能な席がない場合は、全額払い戻しと会期中に鑑賞可能な無料映画チケットを進呈するという。

この緊急対策には、GHFFFや映画館側はもちろん、もともと台北信義威秀影城での上映を予定していた映画配給会社など各方面の関係者が奔走したはず。SNSにはその裏事情を察するかのように、「辛苦了(お疲れ様でした)」や「謝謝您們(皆様ありがとう)」と関係者を労う言葉で溢れている。

GHFFFは、台湾最大級の映画祭・台北金馬映画祭が2010年よりスタートさせたSFやホラーなどのジャンル映画に特化した映画祭。今年は4月12日から21日まで開催され、オープニング作品として山﨑賢人主演&佐藤嗣麻子監督「陰陽師0」(4月19日公開)や、「ニッポン チャ チャ チャ」と題したプログラムでは、人気劇団「ヨーロッパ企画」が手がけた映画「リバー、流れないでよ」(2023)や、3月1日に急逝した漫画家・鳥山明さん原作のアニメ「SAND LAND」(2023)などが選ばれている。

さらに「シネフィルチョイス」部門では、ディズニープラスのミニシリーズ「SHOGUN 将軍」で世界的に注目されている真田広之主演・深作欣二監督「里見八犬伝」(1983)の4Kデジタル修復版を上映。日本からも多数のゲストが参加する予定だ。

映画祭公式HPより