2024年4月9日(火)TOKYO DOME CITY HALLにて幕を開けたMANKAI STAGE『A3!ACT2! ~WINTER 2024~、その初日を前に行われたゲネプロの様子をレポート! ACT2!2周目の締めくくりとして、新生冬組第五回公演『剣に死す。』&第六回公演『Risky Game』にまつわるストーリーが展開する本作。“運命共同体”としての冬組メンバーが描く、最新の冬の星座のカタチとは——

ゲネプロレポート

一幕。チラチラと粉雪舞う中、確かなハーモニーを重ねて寄り添う冬組メンバーが登場する。これまでの公演を思い返しつつ、今の冬組、この先の冬組を想起させるさりげなくおしゃれなムードを纏った幕開けから物語は始まっていく。

(C)Liber Entertainment Inc. All Rights Reserved. (C)MANKAI STAGE『A3!』製作委員会

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もはや公演を打つことが日常となっているMANKAIカンパニーメンバー。次回公演のキャスティングもスムーズに進み、第五回公演はまだ主演を務めていなかった高遠 丞(北園 涼)が主演の『剣に死す。』に決定、準主演はガイ(輝馬)が務め、初の和物に挑戦することとなる。チームのボトムアップも兼ねて月岡 紬(定本楓馬)、御影 密(植田圭輔)、有栖川 誉(田中涼星)、雪白 東(上田堪大)と共にストリートアクトを行うなど準備と稽古は順調に進む……かと思いきや、丞の様子が少しおかしい?? 元々はGOD座の看板俳優であり外部出演でも着実にキャリアを積んでいる丞だったが、とある出来事をきっかけに「自分がMANKAIカンパニーにいる理由」が見えなくなり、目の前の稽古にも身が入らない様子だ。初日が迫る中、丞はGOD座での日々、そして自身が俳優を志した原点を振り返り始める。

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何事もコツコツと努力し身につけてきた丞の在り方のように、派手な起伏はないが一つひとつを積み上げ、着実に良い方向へと歩みを進めていく様子が心地よい一幕のストーリー。余計なことは言わないけれど、伝えるべき言葉は伝える真摯な関係。冬組らしい展開だ。Mナンバーもそれぞれに“独白”を思わせるソロが多く、じっくりしっくりとその心情が伝えられた。

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流浪の剣豪・宮本武蔵(丞)と、同じく剣の腕が立つ小次郎(ガイ)の運命の出会いが描かれる『剣に死す。』は、冒頭からヒリヒリとした殺陣シーンが展開、セットも音もシンプルイズベストなストレートプレイで魅せる。死場所を探し続ける男の魂に、俳優としての自分探しの気持ちを重ねながら演じる丞の気迫、そこに真っ向から全力で立ち向かうガイのひたむきさが印象深かった。

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二幕は唯一まだ主役をやっていなかった密を中心としたエピソード。とある組織で生きてきた過去と今の自分、そして主演作『Risky Game』で演じるギャンブラー・リアムの役作りの中、蓋をしてしまいたかったこれまでの人生と改めて向き合う姿が切ない。かつてディセンバーと呼ばれていた頃、共に暮らしたスプリング=卯木千景(染谷俊之)とオーガスト(和田琢磨)、家族を知らない3人のかけがえのない“疑似家族の思い出”がありありとよみがえる。今はもう会えない人にもう一度聞きたいこと、伝えたいこと……これまで自身の心をあまり口にしなかった密の思いの丈をしっかりと受け止め支える冬組もまた、孤独を知り、心に同じ灯を持ったファミリーだ。「行ってきます」「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」。そんなさりげない言葉をかけあえることのしあわせがここにある。

『Risky Game』は一瞬にしてベガスのホテルに迷い込んでしまったかのように煌びやか! ネオン輝くギャンブルの街にふさわしく、ダンサーたちも入り乱れ、スタンドマイクでのコーラスも粋な演出。トラブルに巻き込まれたリアムの借金騒動がレビューのような賑やかさで語られ、カジノディーラーノーマン(東)との勝負ではベットする声だけが行き交うピンと張り詰めた空気が舞台上を支配。スリリングな緩急がいい。劇中劇の可能性はまだまだ無限!? 2作とも“危険な魅力のダンディズム”がテーマではあったが、演目によって変幻自在する冬組メンバーの多才とMANKAIカンパニーの引き出しの多さに、またしても山ほどの新鮮なワクワクをもらってしまった。

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今回のサポートメンバーはシリアスな展開の合間合間、“愉快な仲間”として心の息継ぎを手伝ってくれる春組の佐久間咲也(横田龍儀)、皆木 綴(前川優希)、シトロン(古谷大和)、千景と、背筋をシャキッとさせてくれる大きな声が嬉しい鹿島雄三(鯨井康介)、さらに、いつも心配かけてすみません松川伊助支配人(田口 涼)、なんだかんだと“演劇バカ”な最高のライバル・飛鳥晴翔(伊崎龍次郎)&神木坂レニ(河合龍之介)のGOD座コンビが揃った。彼らのいる風景もまたエーステの欠かせない日常。生まれも育ちも年齢も様々だが、演劇という情熱の拠り所で大勢がつながり続けるこの場所は、本当にたくさんの愛で溢れている。

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安定感、と言ってしまうとちょっと守りに聞こえてしまうかもしれないが、やはり確かな表現力とチームワークと個性で毎回確実に見応えのある公演を届けてくれるのが冬組という印象。そして、「終わりは始まり」——そんな輪廻すら感じる繊細な構成も心憎い本作は、寒さの中歩き続けるほどに内側から蓄えられていく体温のような確かな温もりと、たおやかで勇敢で時に大胆なアプローチで表現者に徹する彼らが描く一番新しい冬組の星座だ。その輝きがまた、ひたすらに愛おしいのだ。

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キャストコメント

■月岡 紬 役:定本楓馬
僕にとってはじめての冬組単独公演です。
今回、改めてこの作品がどれだけの人に愛されているかを実感しました。
冬組のみんな、演出の松崎さん、サポートしてくれるキャストの皆さん、スタッフさん、たくさんの心強いカンパニーの皆さんに支えていただいてここまで突っ走ることができました。
積み重なってきた想いを余すことなく皆さまにお届けできるよう、全力で頑張ります。

■高遠 丞 役:北園 涼
いよいよ今作の幕が開けます。開けて欲しいような開けて欲しくないような、今は複雑な気持ちです。
それは、今作を終えてしまうと大切な仲間がこの舞台から1人降りてしまうから。
始まってしまうとそのことを考える余裕も無いのですが、今回の公演のことを考えろと言われると思い出さずにはいられないです。
1公演1公演を大事にして、大切な仲間を送り出すという気持ちも込めて、これまで以上に監督に楽しんでいただけるように稽古してきましたので、その成果をぜひご覧ください。

■御影 密 役:植田圭輔
今回また冬組が ACT2!シリーズの締めくくりをやらせていただくところまでたどり着きました。
エーステとして月日が経ち、同時に作品内の物語も進んできて、キャラクターたちのそれぞれの過去や乗り越えるべきこと、6人になったそれぞれの組のなっていき方みたいなのを描いてこれたのかなと思います。
そして、僕が本作でエーステを卒業することとはなりましたが、ようやく密が主演のターンが回ってきたなという嬉しい気持ちでいっぱいです。
色々な気持ちがありますが、みんなとお芝居をつくれる、エーステでお芝居ができる、御影 密を演じるということに、今は本当に楽しみを覚えながら最後まで最高の物語を届けるということだけを念頭において、みんなで稽古をしっかりしてきました。
これからカントクと作り上げていく中でどんどん成長していく部分や、作品として物語をより良くするために精進して参りたいと思いますので、応援のほどよろしくお願いします。

有栖川 誉 役:田中涼星
MANKAI STAGE『A3!ACT2! ~WINTER 2024~が無事に開幕すること、嬉しく思います。
個人的には 2023 年の冬組単独公演ぶりのエーステなので、久しぶりに誉さんを演じることにパッションを感じております。
また今回は冬組の新しいリーダー楓馬、そして植ちゃんの卒業と唯一無二でかけがえのない公演になるのは間違いないと思います。新鮮さや寂しさなどはありますがこれまで積み上げてきたのも、新しくできた絆を信じて皆さまにお届けできたらと思っております。
この新年度の季節にエーステを見て活力にしてもらえるような、背中をそっと押す力を届けられたら幸いです。

■雪白 東 役:上田堪大
ついに、MANKAI STAGE『A3!ACT2! ~WINTER 2024~が開幕します。
今回で冬組全員が、そして MANKAI カンパニーの劇団員全員が主演を務めることになります。振り返ると、本当に色々なことがあったからこそ、とても感慨深いです。改めて、公演ができることに感謝の気持ちを込めてお届けしたいと思っています。
また新生冬組第五回公演、第六回公演の劇中劇どちらも、冬組でも珍しいような、でもこのメンバーだからこそできる作品になったのではないかと思います。なにより、主演の丞、密にとっても大事なお話が詰まっています。
みんなで支えあい、ここでしか感じられない幸せな時間を、カントクと共に過ごしていきたいです。

■ガイ 役:輝馬
いよいよ始まります MANKAI STAGE『A3!ACT2! ~WINTER 2024~。皆さんに観劇や視聴していただける日を心待ちに精一杯稽古に励んできました。
個人的な思いとしては、皆さんに一幕と二幕の劇中劇の作中のギャップを楽しんでいただきたいと思っています。詳しくはお伝えできませんが、ぜひ観て楽しんでいただけたら嬉しいです。
僕も監督がどんな反応や感想を抱いていただけるのかを楽しみにしています。
カンパニー全員で真摯に本番に臨んでいきますし、僕も楽しみながら本番の板の上に立たせていただきます。
千穐楽まで応援よろしくお願いします。
 

取材・文=横澤由香

MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ~WINTER 2024~ 舞台写真