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《2025-26シーズンをもってしばらく休業いたします。何卒宜しくお願いいたします》

4月2日までにインスタグラムでこう投稿したのは、衣装デザイナーの伊藤聡美さん。羽生結弦(29)のファンにとってはなじみ深い人物だ。

「10年来、羽生くんの衣装を制作されています。昨年開催された衣装展には、多くのファンが足を運んでいました」(羽生ファン)

羽生はかつて衣装のこだわりについて、

《衣装は自分のプログラムやストーリーを表現するために重要なツール羽生結弦であることをコスチュームで表現している》(「スポニチアネックス」、’20年7月13日配信)

と語るほど、哲学を持っている。その思いを完璧に表現できるのは伊藤さんだけだった。

「色や素材は彼が細かく指定するので、“羽生さんがデザイナーで、私がアシスタント”と語っていたことも。『SEIMEI』の衣装はシーズンごとに何着も作っていました」(前出・羽生ファン)

彼女は、ベストコスチュームとして羽生のある衣装を挙げ、こう述べていた。

《羽生選手が存在してくれて、私に衣装を作る機会を与えてくれたこの世界に感謝するレベル。羽生結弦というMUSE(筆者注・性別を問わず理想とする人)がいなければ、間違いなく誕生しなかった衣装だ》(自著『MUSE ON ICE』’22年出版)

伊藤さんが羽生の衣装担当になったのは、’14年のGPシリーズ上海大会で起こった、悲劇の衝突事故がきっかけだった。

「もともとは予備の衣装を依頼されていたそう。ですが、あの事故が起きた日の夜に“今すぐ衣装を作ってくれないか”と羽生さん側から連絡を受けたといいます。衣装が血だらけになったからです。

伊藤さんは急いでデザインし、2週間後の次戦に間に合わせた。それが契機となり、羽生さんとタッグを組むことになったのです」(フィギュアスケート関係者)

■誹謗中傷を受け、弁護士が手続きを

いわば、羽生の“恩人”である伊藤さん。情熱的な彼女が、なぜ失意の休業を選んだのだろうか。

「もちろん、ご本人が公表していない以上、本当の理由はわかりません。ただ、一部の過激な羽生さんファンとの間で、何度も軋轢が生じていたのは事実です」(前出・フィギュアスケート関係者)

遡ること3年前の、’21年ごろから、伊藤さんはある羽生ファンに誹謗中傷を受けていた。

「この方は伊藤さんと名前が似た一般人にも勘違いで誹謗中傷を続け、名誉毀損などの容疑で書類送検されました。複数人を巻き込む大きな問題に発展したのです」(前出・フィギュアスケート関係者)

伊藤さんは’23年、X(現在は削除済み)でこう報告している。

《この件は2021年より弁護士に諸手続を一任しておりましたが、今般、一段落いたしました》
《正直、精神的にも費用面でも疲れました。衣装作ってただけなのに\( ^o^ )/》

さらに’21年にはこんな投稿も。

《実は(?)衣装にも著作権があるのですが…。ファンアートや趣味手芸は良いと思いますが、グッズにして販売するのはとても残念です。選手のために時間と労力をかけて製作した作品なので。。こんな事を呟いてすみません》

前出の羽生ファンは語る。

「羽生くんの衣装を模したグッズを作って、勝手に売るファンもいました。伊藤さんは“生みの苦しみ”を理解しない人に、何度か怒りを表明していた覚えがあります」

そして先月、Xのアカウントを削除する事態にーー。

「事の発端は、羽生くんが座長を務める、3月8~10日のアイスショー。そのメインとなる新演目が『ダニーボーイ』で、伊藤さんが白い新衣装を作りました。

公演後、あるファンが“気づいちゃった、○○(歌手)が『ダニーボーイ』を歌ったときの白衣装と似ている”という趣旨の文章に比較用の写真を添えて投稿したんです」(前出・羽生ファン)

それに対し伊藤さんは、

《偶然です》
《普段ふざけた投稿ばかりしてるから真剣さが伝わらなかったようで。考察は自由ですが明確に違う場合は否定します。でないとそれが事実かのように一人歩きしてしまうのが嫌なんです。真剣に考えて衣装を製作してます。楽しい気持ちで仕事はしてません(から衣装に対する想い入れが皆さんよりデカいんす)》

と反応。そのファンは投稿を削除したが“ただ、オマージュだったら素敵、と思ったことはわかっていただきたい”と弁明した。

「やり取りを経て、3月12日には伊藤さんのアカウントが消えていました。ファンにも悪気はなかったとは思いますが……。

伊藤さんは、人と同じことが嫌でモヒカンにしたり、“人間が好きじゃない”と公言したりと、繊細で個性的な方。だからこそ羽生くんと通じ合ったのだと思います。その分、ファンとのもめ事には相当胸を痛めているようでした」(前出・羽生ファン)

元妻に続いて、また大切な人が自分のもとから去ってしまった羽生。心痛は計り知れないが……。

「現状、彼女の休業についてコメントしていません。一歩間違えれば、自分のファンを責める形になりかねないので、慎重に考えているのでしょう」(前出・フィギュアスケート関係者)

伊藤さんの衣装を着られるのはあと約2年間。羽生が立ち直れることを願うばかりだ。