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NOKがCIを刷新。佐藤可士和氏デザインの新ロゴを発表

 NOKは4月3日、新たな企業ロゴを発表し、コーポレートアイデンティティ(CI)を刷新した。

 自動車向けのオイルシールや、電子機器向けのフレキシブルプリント基板といった部品/部材のメーカーとして国内外で大きなシェアを誇る同社。

 部品メーカーということもあって社名に聞き馴染みがない読者もいるかもしれないが、同社の製造している自動車向けの部品/部材は国内14社の自動車メーカーに採用されているため、ASCIIに掲載しているクルマにもほぼ間違いなく使用されている。日頃使っているガジェットに、同社のフレキシブルプリント基板が使われていることもあるだろう。

 発表された新たなタグラインは「Essential Core Manufacturing ── 社会に不可欠な中心領域を担うモノづくり」というもの。従来は、自社製品を“各分野の製品を、それぞれ下から支える存在”と位置付けていたが、新CIの策定にあたって“各分野の製品に不可欠な中心の領域に位置するもの”と再解釈し、この表現に集約した。

 新ロゴのデザインはクリエイティブディレクターとして著名な佐藤可士和氏が担当。「信頼」「緻密」「先進」を表現する「ソリッドネイビー」を基調とし、新CIを象徴する存在としてデザインしたという。

佐藤可士和氏「正雄さんの持つ課題感は難しかった」

 発表会には佐藤可士和氏も登壇し、代表取締役 社長執行役員 CEOの鶴正雄氏とのトークセッションを実施。新ロゴについて佐藤可士和氏は「会心の出来です。僕自身が気に入ったものができたというよりも、(NOKの)色々な課題感や目指すビジョンを全部汲み取って、ひとつも漏らすことなく表現できた」と話す。

 なお、同じデザインメソッドから生まれたシリーズとなるロゴは、グループ会社の日本メクトロン(MEK)、NOKクリューバー(NKL)、ユニマテック(UMT)、シンジーテック(SZT)にも適用されている。ほかのグループ会社については、担当領域に応じて割り振った5つの新ロゴに、社名を併記するかたちで運用していくという。

 数々の大手企業のロゴをデザインしてきた佐藤可士和氏だが、部品メーカーのロゴデザインを担当するのは、今回がはじめてとのこと。制作にあたっては鶴正雄氏と何度も議論を交わし、方向性の調整を重ねながら決めていったという。

 「(アルファベットが読みやすいことだけにこだわったロゴにした場合)エヌ・オー・ケーと発音はできても、その先のイメージがわからない。(新ロゴは)アルファベットではなく、NOKがしたかったことを表現しているビジュアル。細かくて、膨大なイメージをビジュアルに集約している。

 正雄さんの持つ課題感は難しかった。NOKグループの各社がフラットであることを、どのようにまとめるか、すぐには(イメージが)見つからなかった。NOKという企業の歴史や活動に対するリスペクトが必要だった(会見中のコメントより抜粋)」(佐藤可士和氏)

創立100年に向け進んでいくNOK

 同社は、今年で創立から83年を迎える。鶴正雄氏は今回の発表について「100周年に向けて、北極星を何にするのかを考えていく中で生まれた」と語る。コロナ禍で落ち込んだ自動車販売台数が回復してきたことも手伝ってか、同社の売上は2022年度比で3%の増収、営業利益では27%の増益を見込むなど、堅調だ。

 会見終了後の鶴正雄氏に、今後の企業運営について(特に環境への配慮について)コメントを求めたところ、「私たちが作る製品のうち主力のシール製品は、環境汚染物質の漏出を防ぐという特性を持っているため、製品自体が環境保護に貢献できるという性質のもの。また、東海の工場では、太陽光発電と購入したグリーン電力の使用によって、100%の再生エネルギー化が進んでいる。東海でパイロット的に実施し、順次、ほかの工場にも広げていきたい」と話してくれた。

 また最近の同社は、オープンイノベーションプロジェクト「NOK Innovation Day」や、渋谷の共創拠点SHIBUYA QWSでの取り組みを通じて、環境やバイオ分野のスタートアップ企業との協業も進めている最中だという。今後の動向にも注目していきたい。

佐藤可士和氏が部品メーカーNOKの新ロゴをデザイン。CEOが込めた想いは