角田は10位でフィニッシュ。2戦連続でポイントを獲得した(C)Getty Images

 4月5~7日に三重県鈴鹿市鈴鹿サーキットでF1日本GPが開催され、RBの角田裕毅が母国グランプリ初入賞となる10位でゴールした。日本GPは富士スピードウェイ時代を含めて秋の開催が定番だったが、今年から春にシフト。サーキット内にもS字コーナー付近に桜が植えられており、満開の時期にレースが実施された。

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 3日間の観衆は22万9000人。昨季よりも7000人増で、2022年から3年連続で22万人を突破した。前の週には東京都江東区東京ビッグサイト付近を使って日本初上陸のフォーミュラE世界選手権が行われ、2週連続の世界選手権開催に客が食われてしまうのではと懸念されたが、杞憂に終わった。

 もっとも当初はF1とフォーミュラEの日程が重なってしまい、F1が1週後ろにずれる形で決着した。知名度が低いフォーミュラEに対する配慮があったといわれるが、フォーミュラEの会場には角田も招かれたほか、F1に近しい関係者も詰め掛け、モータースポーツ関係者にとっては熱い春先となった。

 初の試みとなった春開催の日本GPの感想について、角田本人は「まさか桜の中を走れるとは思っていなかった。また違った鈴鹿の景色が見られてうれしい」と語ったが、いわゆる”花冷え”で、秋開催より気温が低く、タイヤのマネジメントで苦戦したのではと指摘する意見もあった。

 F1が4月第1週の開催となったことで日程が重複したレースイベントもある。富士スピードウェイで6、7日に開催されたドリフト競技シリーズ「フォーミュラドリフトジャパン(FDJ)」の開幕戦。世界ラリー選手権王者のカッレ・ロバンペラのスポット参戦で話題を集めるはずだったが、やはりF1の陰に隠れてしまった。昨年の日本GPにさっそうとした登場したモリゾウこと豊田章男トヨタ自動車会長も今年はFDJを選んで鈴鹿は欠席した。

 トヨタ系ではトヨタガズーレーシングヨーロッパ副会長で元F1ドライバーの中嶋一貴氏が日本GPのパドックに姿を見せたが、「春開催だと(秋開催の)WEC富士と日程が重なることはないので、これからも鈴鹿に来ることができる」とプラスに捉えた。

 衆議院議員で元F1ドライバーの山本左近氏も鈴鹿を視察し、「今はレース数が増えて欧州ではない地域でやるレースも増えた。おそらくチームのロジスティックス(機材輸送)を考えて鈴鹿を含めたアジアのレースの1つが春の方が都合がいいだろうということになった」と指摘した。

 秋開催の時代はストーブリーグに関する大型発表の場として使われることが多かったが、今年はまだ4戦目。今回は大きな発表がなく、海外のメディアも純粋にレース内容を伝えることに分量を割いた。来季は3月末の開催といわれており、今年よりもさらに気温が低い条件下でのレースになる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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