2024年4月9日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、ウクライナへの弾薬供給を強化した欧州連合(EU)が抱える大きな問題について報じた。

記事は、EUが現在弾薬不足に陥っているウクライナの戦力を支援するため弾薬生産能力拡大に乗り出しているとする一方で、欧州の軍需産業は原材料の一部について中国に「首根っこを押さえられる」リスクに直面していると指摘した。

そして、シンプルな大砲の爆発装置は通常、薬きょう、爆薬、雷管の3部品で構成されており、欧州にはフランスベルギースウェーデンに工場を持つユーレンコ社や、ドイツの軍需産業企業ラインメタル社が過半数を所有し、ドイツスイスに生産拠点を持つニトロケミー社など、火薬メーカーは数えるほどしかないと紹介。現在EUが直面している最大のボトルネックは火薬製造だとした。

その上で、EUの域内市場担当委員であるティエリー・ブルトン氏が「火薬の製造には、主に中国から輸入される特殊な綿花が必要だ」と指摘したことに触れ、ブルトン氏の言う「綿花」とは、一般にニトロセルロースと呼ばれる物質であり、中国が世界全体の生産量の約70%を占めていると紹介した。また、ラインメタルのアルミン・パッパーガー社長が「政治的な理由でこの供給ルートが途絶えるリスクがある」とし、同社が向こう3年分のニトロセルロースの在庫を蓄えていることを明らかにしたと伝えている。

記事は、ブルトン氏が「数か月前、中国からのニトロセルロースの供給が止まることがあった」と明かした上で、欧州内でニトロセルロースの代替品研究を奨励しており、実現した企業に補助金が支給する方針だと語るとともに、今年末までにEUは砲弾の年間生産量を150万発から170万発に増やすことができ、200万発以下と推定されるロシアとの差を縮めることが可能との見方を示したと伝えた。(翻訳・編集/川尻)

9日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、ウクライナへの弾薬供給を強化した欧州連合(EU)が抱える大きな問題について報じた。 写真はウクライナ。