ゴッドファーザー」や「カンバセーション 盗聴」「地獄の黙示録」など映画史に残る傑作を放った巨匠フランシスフォード・コッポラ監督が、最新作「メガロポリス(原題)」をハリウッドの重役たちに披露したと、米ハリウッド・レポーターが報じている。

同作は、コッポラ監督が1980年代前半に執筆した野心作で、ニュー・ローマと呼ばれる、ユートピアとなったニューヨークを舞台に物語が展開する。ラブストーリーであると同時に、人間の本質を探る哲学的な物語でもあるという。アダム・ドライバー、ローレンスフィッシュバーン、ダスティン・ホフマン、シャイア・ラブーフに加え、ジェイソン・シュワルツマンやタリア・シャイアといったコッポラファミリーも出演している。

本作の製作に興味を示すスタジオが現れなかったため、コッポラ監督はインディペンデント映画として製作することを決意。所有するワイナリーの大半を売却し、制作費1億2000万ドルの資金調達に成功している。

3月28日、米ロサンゼルスで「メガロポリス(仮題)」の業界関係者向けの試写会が行われた。NBCユニバーサルのドナ・ラングレーや、ソニー・ピクチャーズのトム・ロスマン、Netflixテッドサランドスら、主要メディア会社のトップを招待したコッポラ監督の狙いは、配給パートナーを見つけることだ。

あいにく関係者からの反応は微妙で、一部の出席者は創造性を高く評価しているものの、多くの参加者は「実験的すぎる」「良い出来じゃない」と商業性に疑問を呈している。メジャースタジオや動画配信大手が獲得に乗り出す可能性は低く、むしろ、A24ネオンのような小規模の配給会社との相性がいいとのことだが、コッポラ監督が配給パートナーに1億ドル規模のマーケティング費用の支出を希望しているため、こちらも難しそうだという。

コッポラ監督といえば、自ら資金繰りを行った「地獄の黙示録」でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞する奇跡を実現したことで知られる。その一方で、1982年公開の「ワン・フロム・ザ・ハート」の興行的失敗で莫大な借金を負い、自身のスタジオを売却した経緯がある。「メガロポリス(仮題)」における大バクチがどちらに転ぶのか、注目が集まる。

フランシス・フォード・コッポラ Photo by Kevin Winter/Getty Images for HFA