レアル・ソシエダのFWアンデル・バレネチェアが、“永遠の宿敵”のタイトル獲得を喜んでいる。9日、スペイン紙『マルカ』が伝えている。

 6日にコパ・デル・レイ(国王杯)決勝戦が行われ、アスレティック・ビルバオが40年ぶり通算24度目(前身大会を含めれば25度目)の優勝を果たした。準決勝でレアル・ソシエダPK戦の末に退けたマジョルカを、そのPK戦で下して、1983-84シーズンを最後に遠ざかっていた同大会優勝の悲願を達成している。

 バスク純血主義を標榜しながら、同州最大の成功を収めているアスレティック・ビルバオと長年渡り合っているのが、サン・セバスチャンに本拠を構えるレアル・ソシエダだ。宿敵としての敵対意識はありつつも、バスクに対する帰属意識の下で、血で血を洗う“ダービーマッチ”には似つかわしくない、友好的な関係を築いている。実際に、地元のラジオ番組に出演したバレネチェアは、先の国王杯決勝戦について「僕たちが敗退した以上、アスレティックが優勝してくれて良かった。ヨーロッパのことを考えるという側面もあったのは確かだけど、それだけではなく、アスレティックは優勝するために最も努力してきたクラブだと思う。(対戦相手の)マジョルカにはいない友人もいる。彼らのことを思うと、喜ばしいことなんだ」と自分たちが享受できるメリット(欧州大会出場権の繰り下がり)よりも、同郷クラブへの情の方が強いと語った。

 また、同選手が少年時代に在籍したアンティグオコは、バスク育成の枢機である。同僚のMFマルティン・スビメンディの他、アスレティック・ビルバオのGKフレン・アギレサバラやFWゴルカ・グルセタらも同クラブの出身者。バレネチェアは「僕はラ・レアル出身で、クラブは全てを与えてくれた。アスレティックでプレーするつもりなんて毛頭ないし、対戦するときはいつも死に物狂いだ。ラ・レアルが彼らを上回ることを望んでいる。ただ、アスレティックは決勝に進んで、ラ・レアルは負けてしまったわけだし、それなら僕の友人が勝つ方が良いに決まっているよ」と明かしている。

 “民族の祭典”とも称される両クラブのダービーマッチは、お互いのサポーター同士が隣り合って観戦する光景が有名だが、スタジアム外でもその友好的な関係が垣間見ることができている。

宿敵ビルバオのタイトル獲得を祝福したバレネチェア [写真]=Getty Images