これはギャグ漫画である。それも、少々ぶっ飛んだギャグ漫画であることを最初に説明させていただきたい。本作の作者は、小学館の「新人コミック大賞」で佳作を受賞しデビューを果たした漫画家・杏乃(@sakana32929)さん。そのときの受賞作「わたしのために死んで」は、ドキドキしすぎると死ぬという設定で、“死なないように恋愛するにはどうしたらいいのか”を真剣に模索するというストーリーだった。その後も、読み切り作品やゲームのコミカライズを担当し、現在も2本の連載を抱えている作者だが、共通して言えるのはギャグ要素強めの作品が多いということ。今回紹介する漫画も類に漏れず、“ぶっ飛んだ”設定となっている。

【漫画】突っ込まずにはいられない!!「俺in布団」そして続編の「私in布団」を読む

今回紹介する「俺in布団」の主人公はブラック企業で働く、いわゆる“限界社畜”。残業・徹夜で自宅に帰れない日が続き、心身ともに疲弊しきった主人公は、ついに壊れた!そして、ある行動に出る。それが「俺in布団」…つまり、いつでもどこでも寝れるように布団を身にまとったのだ。この作品について杏乃さんに話を伺ってみた。

――本作はスタート時から主人公が布団を身にまとって登場しますが、この構想に至ったバックグラウンドを教えてください。

実は、私自身の体験というか過去の記憶から着想しました。会社員だったときに、仕事に行くのが憂鬱すぎてリアルに布団から出たくなかったんです。会社員時代だけでなく漫画家になってからも、週刊連載を抱えていたころに締切に追われ、心の余裕のなさが限界に達し、家の中の移動すら煩わしくなってしまったんです。ついに私は、トイレの横の部屋に机と布団を移動させて、ギリギリ生活をしていました。そのときに「布団を着用できれば、もっと時短になるのでは?」と思ったんです(笑)。

――実際に杏乃さん自身が、トイレの横の部屋に机と布団を移動させたことがあったとは!

はい。私は落ち込んだらすぐに布団にもぐる習性があるんです。私にとって布団は精神を安定させる場所なんですね。なので、この漫画の主人公も、布団を身にまとうことによってギリギリの精神を保っているのではないかと思います。

――現在も2本の連載を抱えているとのことですが、今は“杏乃さんin布団”でなくても大丈夫そうですか?

はい、今は大丈夫です。「ベツフラ」(小学館)にて「がんばれしおりちゃん」という連載漫画と、「コミックシーモア」で「わたしの隣のヤンデレくん」という連載漫画を配信中です(※「わたしの隣のヤンデレくん」は“杏蜜”という名義で執筆)。興味がある方はぜひ読んでみてくださいね!

本作「俺in布団」には、「私in布団」という続編もある。続編は「俺in布団」に登場していた女子高生の目線で描かれているが、女子高生が布団をまとっていたのは、実は偶然じゃなくて…という展開が楽しめる。“あ!そういうことだったんだ”と気づくことやツッコミどころも満載なのでぜひ続編まで楽しんでほしい。さらに杏乃さんが作画を担当し全3巻が発行されている「イケメン貧乏神と同居はじめました!」や杏乃さんのオリジナル作品「歯医者のお姉さんが気になる」などもおもしろいのでぜひ続けて読んでみて!

取材協力:杏乃(@sakana32929)

自分と同じく布団を身にまとった女子高生と出会う主人公だが、女子高生が布団をまとっていたのは偶然じゃなく…!後に判明する事実もお楽しみに!/杏乃(@sakana32929)