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【画像】猫の鼻が乾燥しているけど大丈夫?

 ペトコトメディアは獣医師やトリマーをはじめ、100人以上の専門家が執筆。病気・しつけなどの専門知識から、ドッグカフェ・宿などのレジャーまで、信頼できる情報を幅広く伝えています。

 今回はそんなペトコトメディアから「猫の鼻が乾燥している原因と病気」についてご紹介します。

●著者:ペトコト編集部

獣医師やトリマーをはじめ、100人以上の専門家が執筆・監修し、病気・しつけなどの専門知識から、ドッグカフェ・宿などのレジャーまで、信頼できる最新情報を幅広くお伝えします。

 猫ちゃんの鼻がふいに飼い主さんの肌に触れたとき、「冷たいっ!」とびっくりされた経験のある飼い主さんは多いのではないでしょうか? 健康のバロメーターにもなる鼻の湿り気ですが、乾いていたらどんなことが考えられるでしょうか? チェックしやすい鼻の変化について、どんなことが考えられるか、ひとつずつ見ていきましょう。今回は猫の鼻が乾いている理由などを獣医師の佐藤が解説します。

●猫の鼻が乾燥ではなく湿っている理由

 猫は嗅覚が人間よりも優れているというのは皆さんもご存じだと思います。それは猫の鼻が湿っている理由でもあるのですが、匂いをよりキャッチするために、水分があった方が匂いの粒子をキャッチしやすいからだという説があります。

 ただし、基本的にいつでも湿っているわけではなく、健康な猫でも猫が一日過ごす生活の中で、例えば寝ているときなど乾いている時間帯もあり、湿り具合は一日を通して変化します。

 そのため、一時的に乾いているからといって「必ず病気」というわけではなく、「ずっと湿っている」「ずっと乾いている」という状態だった場合、病気の可能性も出てくるので、他の食欲や元気などの健康状態の合わせてのチェックが必要となってきます。

●猫の鼻が乾燥する(乾く)原因

 では猫の鼻が乾く場合、どんな原因が考えられるでしょうか。「健康な場合」と「病気の場合」の2種類の視点で紹介します。

健康な場合

・眠い

・加齢

 猫の体温が高くなる眠いときや、加齢とともに乾きがちになることもあります。上記に該当するタイミングで、食欲や元気がある場合は、鼻が乾燥していても心配する必要はないでしょう。

病気の場合

・発熱や脱水症状(熱を帯びている)

熱中症(嘔吐や下痢を伴う)

・猫風邪や鼻詰まり(涙目)

 発熱や熱中症などの際は「脱水症状」といわれる、体内の水分が不足する状態に陥ります。その際は、時間帯などとは関係なくずっと乾いている状態が続いている可能性が高いでしょう。

 鼻の乾燥具合は健康のバロメーターにもなり得ます。また、猫は鼻気管炎と呼ばれる「鼻水」や「くしゃみ」「咳」などの出る呼吸器系の風邪のような症状を起こす疾患にかかりやすく、ウイルスや細菌の感染が関連するのですが、状態によっては粘度の高い膿のような鼻汁を出すこともあります。

 その際、鼻表面の乾燥というよりも、鼻汁が乾いてしまい鼻が乾燥しているように見える場合もあります。

 黒っぽい埃など汚れの塊も一緒についている場合、塞がってしまうと息苦しくなってしまうこともあるので、除去してあげたほうがいいでしょう。

 鼻が乾く状態が「あまりにも続いている」、もしくは「これが乾いている状態が判断がしづらい」という場合、実は何かの疾患のサインの可能性もあるので、動物病院を受診することをおすすめします。

●猫の鼻が乾燥する(乾く)場合の対策

 では猫の鼻が乾いていると分かった場合、どうしたらよいでしょうか。

 あくまでも、対策のため、そもそもの乾いているかの判断や、鼻の乾燥が続く際の治療の要否等の指示は動物病院できちんと受診することが大切なので、鼻の乾燥による不快感といった、猫にとっての負荷を少し軽減するための処置だと思ってください。

 体調不良による鼻の乾燥の場合、まず考えられるのは「脱水」や「猫風邪」などによる体温上昇などです。

 脱水が疑われる場合、お家でできることは摂取する水分量を増やすことです。そのために以下のようなことができるでしょう。

・ごはんをお湯でふやかす

・ドライフードから冷凍フレッシュフードのように、ご飯の水分量を増やす

・水飲み場の数を増やす

・水をこまめにかえる

・給水器のタイプを流動性のものや陶器の器にするなど、さまざまな給水器のタイプを用意して自分から好んで水を飲める機会を増やす

 その他、感染症により鼻汁が出て鼻が乾燥している場合、発熱している可能性もあります。その際は体を冷やしてあげたほうが熱さによる不快感などを軽減させてあげられる可能性もあります。

 ただし冷やしすぎてしまうことも、体力が落ちている猫にとっては余計に体に負担をかけてしまうこともあり得るため、体を触りながら行ったり、病院に行くまでの数時間だけの対策である必要があります。

 上記対策が必要なのは、「病気であり鼻が乾燥している場合」なので、鼻が乾燥していたらすべての猫に処置を行わなければならないわけではありません。

 「食欲がない」「元気がない」「排泄の状態が軟便などで異常など『いつもと違う』状態である」ことが、対策を行う必要性があるか否かのポイントになってきます。

 「いつも」がどのような程度なのか、しっかり普段から愛猫とスキンシップをとるとともに、不安なことがあればきちんと受診をするよう心がけましょう。

●異常に猫の鼻が乾燥する(乾く)場合の予防法

 健康な子に鼻の乾燥の予防をわざわざする必要はありませんが、皮膚がデリケートな猫の場合、乾燥により鼻の部分がすりむけてしまったり、鼻の周辺が皮膚炎を起こしてしまう可能性も考えられます。

 そのため、デリケートな猫ちゃんの場合は乾燥を防ぐために、部屋の湿度は50~60%など、しっかり加湿器などを使って加湿をして湿度を保ってあげられると良いでしょう。

 加湿器が無い場合、濡れたタオルを室内で干したり、お湯を沸かす等の代用でも良いかもしれません。

 飼い主さんの生活もあると思うので、環境の湿度がしっかり上げられない場合は、蒸しタオルなどで定期的に鼻を拭いてあげることも予防にはなるでしょう。

●猫の鼻が乾燥する(乾く)場合は「いつもの状態」がわかることが重要

 猫の鼻の乾燥についてお伝えしましたが、病的なものでない鼻の乾燥であれば問題はないといえるでしょう。

 いつもの乾燥の程度がどのようなものなのか、どのタイミングで乾いていることが多いのか、猫によってももちろん個体差はあるといえます。

 お家の猫の「いつも」がわかるよう、日頃のスキンシップの一環としてチェックすることが大切であることと、万が一病気からくる乾燥で、鼻汁の除去などお家で鼻のケアが必要な場合、飼い主さんが行うことができるよう、普段から鼻周りを触れるよう慣らしておくと良いかもしれません。

参考文献

・小山秀一 (著), 辻本元 (著)「犬と猫の治療ガイド」インターズー,2015/9/1

●著者:ペトコト編集部

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