陰陽師0」の佐藤嗣麻子監督と、山﨑賢人扮する安倍晴明の相棒・源博雅(みなもとのひろまさ)役を演じた染谷将太4月10日丸の内・日本外国特派員協会(FCCJ)で開催された記者会見に出席。海外からも注目を集める本作のテーマである陰陽師、そして呪術の魅力について語った。

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本作は平安時代に実在した"最強の呪術師"安倍晴明の活躍を描いた夢枕獏氏による「陰陽師」シリーズ(文藝春秋)を原作に、晴明が陰陽師になる前の知られざる学生時代を描いた完全オリジナルストーリー。山﨑が若き晴明役で主演を務め、晴明とともに事件の解決に挑む博雅役で染谷、物語の発端となる事件に巻き込まれる徽子女王役で奈緒が共演。そのほか安藤政信、村上虹郎、板垣李光人、國村隼、北村一輝、小林薫らが顔を揃える。

台北金馬ファンタスティック映画祭のオープニング作品に選出されているほか、ウディネ・ファーイースト映画祭ではコンペティション部門に正式出品。さらに、ニューヨーク・アジアン映画祭での北米プレミアも決定しており、既に海外から多くの注目を集めている。

染谷は「ヒミズ」でベネチア国際映画祭で日本人初となる最優秀新人賞を受賞。記者から本作の役作りで一番の課題は何だったのか問われると、「セリフは現代、世界観は平安。そのバランスを意識しました。平安の世界観を保ちつつ、現代の人に説得力を持たせるのが大変だった」と回答。最も印象に残っているシーンについて、「晴明と博雅が初めて出会うシーン。何日もリハーサルを重ね、何度も試行錯誤したシーンで山﨑さんと役を入れ替えることも行った。2人の友情が始まるところなので印象に残っています」と振り返った。

佐藤監督は「陰陽師は実際にあった職業なので、実際に使っていた呪術を監修していただきました。現場でも呪文の言い方や印の結び方なども指導していただきました」と呪術に関する専門家を迎え、クオリティにこだわったことを明かす。

佐藤監督の夫は、「ゴジラ-1.0」で世界を席巻した山崎貴監督。本作について山崎監督から感想をもらったか質問された佐藤監督は、「家庭内で仲良くするために、普段は互いの作品の感想を伝えることはしないようにしているが、ただ今回は観たい!ということで観てもらいました」と語り、「『面白かった! スゴイよかった。ずるい!』と言ってもらえて安心した」と笑顔を見せた。

永遠の0」「寄生獣」など、これまでにたびたび山崎監督作品に出演している染谷は、記者から「(山崎監督に対して)裏切ってしまったというような気持ちはあったか?」と問われ、「いつかご一緒したいと思っていたので、むしろ逆で夫婦の作品に出れて、嬉しかったです。夫婦作品を制覇した気持ちです(笑)」と返し、会場の笑いを誘った。

最後に染谷は、「目に見えない。耳でも聞けない、においをかげない。そんな情報に溢れていると思います。それはある種みんな"呪"にかかっている状態だと思っています」と話し、「実際に身の回りで起きていることを"心"から見ることができるようになってくれれば嬉しいです」と作品に込めた思いを語った。

佐藤監督も「作品を作っているときから、フェイクニュースというのが流行っていた。何が事実なのかというのが分からなくなっていて、私もこれは"呪"にかかっていると思っています。この映画では『事実を見る』という話をしています。これが"呪"を解く唯一の方法であることが伝わると嬉しいです」とメッセージを送った。

陰陽師0」は4月19日全国公開。

染谷将太と佐藤嗣麻子監督 (C)2024映画「陰陽師0」製作委員会