11日前場の香港マーケットは、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前日比129.68ポイント(0.76%)安の17009.49ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が42.20ポイント(0.70%)安の5974.63ポイントと4日ぶりに反落した。売買代金は518億9930万香港ドルとなっている(10日の前場は571億120万香港ドル)。
 米利下げの後ずれ観測が嫌気される流れ。今年3月の米消費者物価指数CPI)が上振れる中、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期が6月から9月に後ずれするとの見方が強まっている。米債券市場では米10年債利回りが急上昇し、昨年11月以来の高水準を付けた。香港は金融政策で金融政策で米国に追随するため、域内金利の高止まりも警戒されている。また、中国本土では内外金利差などによる資金流出も不安視された。
 一方、寄り付き直後に公表された今年3月の中国物価統計は、消費者物価指数CPI)が前年同月比でプラス0.1%。市場予想(プラス0.4%)以上に、前月(プラス0.7%)から伸びが減速した。生産者物価指数(PPI)はマイナス2.8%。下げ率は市場予想(マイナス2.8%)に一致し、前月実績(マイナス2.7%)をやや上回っている。デフレ脱却には時間がかかると懸念される状況だ。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、自動車ディーラー大手の中升集団HD(881/HK)が7.0%安、香港不動産デベロッパー大手の新世界発展(17/HK)が5.5%安、創薬支援の無錫薬明康徳新薬開発(2359/HK)が3.9%安と下げが目立った。香港不動産については、上述したように、域内金利の高止まり懸念がマイナス材料となっている。
 中国不動産セクターも安い。雅居楽集団HD(3383/HK)が6.7%、世茂集団HD(813/HK)が5.6%、旭輝HD(884/HK)が5.5%、合景泰富集団HD(1813/HK)が3.3%ずつ下落した。世茂集団は10日引け後、香港高等法院(高等裁判所)での清算申し立ての第1回審理が6月26日に行われると報告している。デベロッパーの債務問題が改めてクローズアップされた。
 自動車セクターもさえない。上記したディーラーのほか、完成車メーカーの中国恒大新能源汽車集団(708/HK)が3.9%安、理想汽車(2015/HK)と蔚来集団(9866/HK)がそろって3.1%安で前場取引を終えた。
 半面、石炭や石油のエネルギー関連はしっかり。中国中煤能源(1898/HK)が3.4%高、エン鉱能源集団(1171/HK)が2.9%高、中国海洋石油(883/HK)が1.6%高、中国石油天然気(857/HK)が1.2%高で引けた。
 一方、本土マーケットは反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.37%高の3038.58ポイントで前場の取引を終了した。インフラ関連株が高い。素材株、公益株、エネルギー株、ハイテク株、海運株なども買われた。半面、消費関連株は安い。医薬株、金融株、不動産株も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)