桜が満開だった週末の花見客はすさまじい数だった。

 グラドル兼ライターの筆者(吉沢さりぃ)も生後8か月の息子氏と友人と花見に出かけたが、時間によってはベビーカーをたたまなければ動けないほどの混雑っぷり。とはいえ、満開の桜を見ながら飲む酒は格別で、日々の疲れが吹き飛んだ。

 そんななかで、心配だったことがある。「トイレ」問題である。今回は、友人がいてくれたから大丈夫だったが、息子氏と2人きりだったら絶対に無理だったと思う。実際、花見のトイレで失敗してしまった経験がある人は少なくないはずだ。

◆膀胱は破裂寸前

「花見で大失敗しました」と笑いながら話してくれたのは、第一子を妊娠中の新谷薫さん(27歳・仮名)だ。「私より失敗した子はいないと思います」という。

「もうコロナ前の話なんで、かなり前のことなんですが、夕方から代々木公園でお花見で、お酒を飲んでドンチャン騒ぎ。男女3人ずつの6人で一緒にいきました」

 公園で散々飲み、寒くなったところで移動することに。新宿は人混みがすごそうということで、恵比寿に移動することにした。この時、薫さんに異変が起きた。

原宿駅でトイレに行ったんですが、すごい人で山手線を何本か乗り過ごしていたら、またものすごい尿意がやってきたんですよ」

 筆者も大酒飲みだが、酒を飲んだ時は本当にトイレが近くなるので、妙に気持ちがわかる。

「ですよね? だから、みんなに『もっかいトイレ行くわ!』っていったんですが、もう酔ってるから『2駅ぐらい我慢しなよ!』『ほら乗るよ!』とグイグイ私を電車に乗せました」

 最後まで抵抗したそうだが、無理やり乗せられた電車のドアが無慈悲に閉まる。すでに薫さんの膀胱は破裂寸前。

「なんとか我慢しようと思ったんですが……もう限界を超えていました」

◆「無理だと諦めて漏らした」

 無事に降りることはできたのだろうか?

「いやぁ! トイレまで行くのは無理だと諦めて漏らしたんですよ!(笑)

 渋谷駅で降りてダッシュしたら、勢いよく漏れちゃいそうだったんで、調節して少しだけ漏らしたんです。私、その日はケミカルウォッシュ系のジーパンを履いていたし、まぁ、少しならバレないと思って」

 とんでもない話だが、漏れたことはみんなにバレぬまま、恵比寿に到着。友人の1人が「大丈夫? トイレいきな!」と心配してくれたようだ。

「ちょい出ししたおかげで、尿意も引っ込みまして。もうそんなに行かなくても平気になったんですが、一応、行きました」

 とりあえずトイレに並び、全て出し切った薫さんは、ことの顛末を女性陣には伝えたというからすごい。

「仲良い子だし良いかな〜って笑いながら話したら、みんなドン引きしてましたね! 女性陣は私に近寄りませんでしたけど、男性陣には全然バレなかったです。そのうちの一人と結婚できたんで結果オーライです!」

◆「お花見のトイレはトラウマです」

 こんな明るい失敗談もあれば「お花見のトイレはトラウマです」と話す女性もいる。野原玲さん(26歳・仮名)は、先日参加したお花見でとんでもない現場に遭遇してしまったそうだ。

「大学時代のサークルのOBたちとの花見でした。ぜんぶで30人とかかな。結構な人数がいました」

 玲さんは「花見自体は楽しかったし、酒も大好きだ」というが「トイレが近いから」という理由でイマイチ乗り切れていなかったと話す。

「本当にお酒もチビチビ飲んでました。そこに30分くらい遅れてきた友人が『トイレの混み方えぐいよ!』といって、彼女はお酒を一口しか飲まなかったんです。私は全然トイレに行きたくなかったけど、行きたくなったら終わりだ!と思って先に向かいました」

 すると案の定、仮設トイレはすごい行列。5つしかないトイレに対して「明らかに100人以上並んでいました」という。

「しかも女性だからみんな時間が長い。全然スムーズにすすまない。本当に来てよかった、と胸を撫で下ろしました」

 だが、待てど暮らせど順番は来ない。20分くらい経ったところで、事件は起こった。

「私の3人前の子がずっとモジモジしてたんですが、急に『まじ無理ぃ!』と漏らしちゃったんですよ」

 その彼女はベージュのパンツを履いており、漏らしたのは誰からみても明らか。

「でもその彼女は笑って『やっばー!』とかいって、一緒にいた友人も笑って自分の羽織ってたパーカーを『腰に巻いとけ!』と貸してました。これからくる友人に電話で『漏らしたから、なんか安い服を買ってきて』と頼んでいましたけど、私だったら絶対に笑っていられない……」

 玲さんはそれを見て青ざめてしまい、具合が悪くなってしまう。

「とりあえずトイレを済ませて、もう今日は何も飲まずに帰ろうと思いました」

◆現場は“地獄絵図

 自分たちの席に帰ると酔っ払った後輩らが草むらに行き、上着で隠しながら用を足していたそうだ。

「男性はよくあるけど、女性ですよ? ありえない! って引きましたけど、我々以外のグループも女性トイレの混みっぷりを見て諦めて外で用を足している人が結構いました。“地獄絵図”ですね。私は漏らしたら笑っていられないし、かといって草むらでも無理。私は外で飲むのに向いてないなって思いました」

 トイレ問題を抱え、早々に帰宅した玲さん。同棲している彼氏に話すと「お前は考えすぎだよ」と笑われたんだとか。

「もう完全トラウマになりました。もうトイレにいつでも行ける花見しか行きたくありません」

 筆者もこれには完全同意。毎年トイレの場所を熟知していて、なおかつトイレを貸してくれる店がわかるところにしか行かなかった。花見では、もっとたくさんトイレを設置してほしい。

<取材・文/吉沢さりぃ>

【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。『bizSPA!フレッシュ』『BLOGOS』などでも執筆。X(旧Twitter):@sally_y0720

先日、花見に行った筆者(吉沢さりぃ)