11日の香港マーケットは、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前日比44.14ポイント(0.26%)安の17095.03ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が12.86ポイント(0.21%)安の6003.97ポイントと4日ぶりに反落した。売買代金は987億9680万香港ドルにやや縮小している(10日は1072億9400万香港ドル)。
 米利下げの後ずれ観測が嫌気される流れ。今年3月の米消費者物価指数CPI)が上振れる中、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期が6月から9月に後ずれするとの見方が強まっている。米債券市場では米10年債利回りが急上昇し、昨年11月以来の高水準を付けた。香港は金融政策で金融政策で米国に追随するため、域内金利の高止まりも警戒されている。
 一方、寄り付き直後に公表された今年3月の中国物価統計は、消費者物価指数CPI)が前年同月比でプラス0.1%。市場予想(プラス0.4%)以上に、前月(プラス0.7%)から伸びが減速した。生産者物価指数(PPI)はマイナス2.8%。下げ率は市場予想(マイナス2.8%)に一致し、前月実績(マイナス2.7%)をやや上回っている。デフレ脱却には時間がかかると懸念される状況だ。ただ、下値は限定的。アジア開発銀行(ADB)や複数のブローカーは、中国経済成長率予想をそろって上方修正している。昨日は格付け会社フィッチ・レーティングスが中国の信用格付け見通しを引き下げたと伝わっていただけに、ひとまず安心感が広がった。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、自動車ディーラー大手の中升集団HD(881/HK)が6.3%安、香港不動産デベロッパー大手の新世界発展(17/HK)と宝飾小売チェーン大手の周大福珠宝(1929/HK)がそろって4.3%安と下げが目立った。香港不動産については、上述したように、域内金利の高止まり懸念がマイナス材料となっている。
 中国不動産セクターも安い。雅居楽集団HD(3383/HK)が3.8%、世茂集団HD(813/HK)が4.2%、旭輝HD(884/HK)が3.9%、合景泰富集団HD(1813/HK)が1.9%ずつ下落した。世茂集団は10日引け後、香港高等法院(高等裁判所)での清算申し立ての第1回審理が6月26日に行われると報告している。デベロッパーの債務問題が改めてクローズアップされた。
 自動車セクターもさえない。上記したディーラーのほか、完成車メーカーの中国恒大新能源汽車集団(708/HK)が3.5%安、理想汽車(2015/HK)が2.1%安、蔚来集団(9866/HK)が2.0%安で取引を終えた。
 半面、ゼネコンや建機、セメントなどインフラ建設関連は物色される。中国中鉄(390/HK)が2.0%高、中国建築国際集団(3311/HK)が1.3%高、中国龍工HD(3339/HK)が8.5%高、中聯重科(1157/HK)が4.6%高、中国西部水泥(2233/HK)が7.9%高、安徽海螺水泥(914/HK)が4.8%高で引けた。
 一方、本土マーケットは反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.23%高の3034.25ポイントで取引を終了した。素材株が高い。ハイテク株、インフラ関連株、エネルギー株、自動車、株公益株、海運株なども買われた。半面、医薬株は安い。不動産株、金融株、空運株、食品・酒造株も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)