吹奏楽に青春を捧げ、全国大会での金賞を目指す高校生たちの姿を描いた「響け!ユーフォニアム」(毎週日曜昼5:00-5:25ほか、NHK EテレNHKプラスLemino・ABEMA・ディズニープラスHuluほかで配信)。シリーズ「最終楽章」となる第3期の放送がスタートした。新部長に就任した黄前久美子(CV:黒沢ともよ)は3年生に進級し、部員たちとともに高校最後の大会へと臨んでいく。第1話は、新1年生を迎えて総勢90名となった北宇治高校吹奏楽部の新たなスタートを描いた「あらたなユーフォニアム」。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】今話で登場した新1年生4名(左から、釜屋すずめ、針谷佳穂、上石弥生、義井沙里)

■OPから一瞬で「ユーフォ」の世界へ

前部長たちからの推薦により新部長となった久美子は、いよいよ3年生へと進級。慣れない部長職に悪戦苦闘する久美子をサポートするのは、新しくドラムメジャーとなった高坂麗奈(CV:安済知佳)と、副部長となった塚本秀一(CV:石谷春貴)。3人は幹部トリオとして、協力しながら吹奏楽部を牽引していく決意を新たにする。

冒頭から「ディスコ・キッド」の演奏が流れ、それに合わせて久美子の登校シーンが映し出されると一瞬にして「響け!ユーフォニアム」の世界観へと引き込まれる。TVシリーズとしては約8年ぶりとなるが、そんな時間の長さを感じさせない素晴らしいオープニングだ。ちなみに「ディスコ・キッド」は高校吹奏楽の超人気曲ではあるが、「ユーフォ」シリーズでは今回が初登場。まるで最終楽章のために温存していたかのようで、今後のBGMにも期待が高まるところだ。SNSでも「いきなりディスコ・キッドきたー!」、「ディスコ・キッド好きすぎる! 吹奏楽経験者なら知ってる人気曲!」など、吹部経験者からの反応が大きかった。

■それぞれの「卒業後の進路」も大きなテーマに

3年のクラス分けで、久美子は3組。3組には加藤葉月(CV:朝井彩加)や川島緑輝(CV:豊田萌絵)をはじめ、多くの吹奏楽部員が集まっており、担任は吹奏楽部の顧問である松本美知恵(CV:久川綾)だった。美知恵は生徒たちに向けて「自分が何者か そして何者でありたいのか きちんと考えてほしい」と、3年生としての自覚を促すのだった。

アニメ3期では久美子たちの高校生活最後の1年が描かれるため、それぞれの「卒業後の進路」についても触れられている。麗奈がプロのトランペット奏者を目指していることはすでに周知の事実だが、はたして久美子はどんな進路を選択するのだろうか? まだ物語は始まったばかりだが、そんなところもぜひ注目しておきたい。また部室で3年生と2年生が交流するシーンでは、久石奏(CV:雨宮天)たち2年生が多数登場する。TVシリーズ第2期は久美子たちが2年生に進級するまでを描いており、そこから1年間の出来事は2本の劇場上映作品(「劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜」「特別編 響け!ユーフォニアムアンサブルコンテスト〜」)で公開されているため、じつは奏たちがTVシリーズに登場するのは今回が初めてのこと。TVシリーズだけをチェックしている視聴者からすると、まるっと1年分の時間が飛んでいると感じるかもしれないが、この部室でのわちゃわちゃシーンを見ればおおよそのキャラクター性や関係性がつかめるように作られているのも嬉しい点だ。もちろんより深く「久美子2年生編」を知りたいということであれば、今からでも配信などでチェックしてほしい。

■新キャラも続々登場で反響多数

1年生の勧誘が始まった。久美子の属する低音パートは毎年人集めに苦労しているが、今年は4人の見学希望者が集まり、低音パートの部員たちは色めき立つ。一方で、トランペットは30人以上が集まるなど、やはり人気の差は歴然。こうして新1年生を加えた吹奏楽部は、最終的に総勢90名という大所帯となった。トランペットに代表される高音パートは華やかなイメージがあって人気なのに対し、地味な低音パートはなかなか人が集まらないなど、吹奏楽部あるあるが詰まっているのもこの作品の魅力のひとつだろう。

1年生を含めた吹奏楽部の部員たちが音楽室に集まると、久美子が今年の目標を問いかける。大会の成績にこだわらず楽しく活動するのか、それとも全国大会金賞を目指して全力で臨むのか。部員たちの出した答えは、満場一致で「全国大会金賞」だった。

約8年ぶりとなるTVシリーズだけに、第1話はキャラクターのお披露目と関係性が分かりやすく作られている。なかでもシリーズを通じての柱とも言える久美子と麗奈の関係性は随所に散りばめられており、年月を経てより強まったふたりの結び付きが感じられる。SNSでは「やっぱり久美子と麗奈のやりとりが1番いいね」、「イチャイチャしやがって!!(褒め言葉)」など、ふたりが醸し出す空気感に癒されるコメントが多かった。一方、新キャラクターにも注目だ。釜屋すずめ(CV:夏川椎菜)たち新1年生4人の濃ゆいキャラクター性は上級生たちにも引けをとらないレベルで、今後の活躍が楽しみだ。さらにラストシーンで登場した黒江真由(CV:戸松遥)は、第3期を通じてキーとなる重要人物。それがどんな意味をもつのかは、久美子のお決まりのセリフ「そして次の曲が始まるのです」の不穏なニュアンスからヒシヒシと伝わってくる。SNSでも「波乱の幕開けか?」など戦々恐々の声があがっていた。ちなみに真由が吹いていた曲は「ムーンライトセレナーデ」。スウィング・ジャズのスタンダードナンバーで、吹奏楽曲としても人気の楽曲だ。かくして、久美子たちの最後の1年がついに動き出した。次回の第2話は4月14日(日)放送予定。期待して待とう!

■文/岡本大介

アニメ「響け!ユーフォニアム3」の放送がスタート/Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024