1960年代から90年代にかけて、日本のポップ・ロックシーンに影響を与え続けた音楽家加藤和彦の足跡を追ったドキュメンタリー映画『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』が、5月31日より公開されることが決定。本作の企画を立ち上げた高橋幸宏らが登場する予告編、本ビジュアルが解禁された。

【動画】ザ・フォーク・クルセダーズ、サディスティック・ミカ・バンド―今なお世代を超えて多くの人々に影響を与える音楽家・加藤和彦の軌跡! 『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』予告編

 加藤和彦は、1947年京都生まれ。大学時代に結成したザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」でプロデビュー。日本のロックバンドで世界進出を果たしたサディスティック・ミカ・バンドを経て、ソロ、作曲家、プロデューサーとして活躍するほか、映画『だいじょうぶマイ・フレンド』(1983)をはじめとした映画音楽歌舞伎で初めてオーケストラを取り入れた「スーパー歌舞伎」、サディスティック・ミカ・バンドやザ・フォーク・クルセダーズの再結成、坂崎幸之助とのユニット「和幸」、「VITAMIN‐Q」結成等、精力的に活動した。2009年に62歳で死去。

 高橋幸宏加藤和彦に寄せた想いから映画化の企画が立ち上がった本作は、日本初のミリオンヒットを生んだザ・フォーク・クルセダーズの結成秘話、サディスティック・ミカ・バンドの海外公演やレコーディング風景などを交えた映像、さらに日本のポップスの金字塔とも言える“ヨーロッパ三部作(『パパ・ヘミングウェイ』『うたかたオペラ』『ベル エキセントリック』)”に隠された逸話などを、関係者インタビューと貴重なアーカイブ映像でつづり、彼の音楽家としての功績を紐解いていく。

 予告編は、加藤がリーダーを務めたサディスティック・ミカ・バンドのヒット曲「タイムマシンにお願い」で幕をあけ、ジャンルをまたいだ多彩な関係者によるインタビューの一部が登場。

 サディスティック・ミカ・バンドが日本よりも先にイギリスで評価されることに大きく貢献したクリス・トーマス(音楽プロデューサー)、同バンドのメンバー・高橋幸宏音楽家)、小原礼(ベーシスト/作曲家/音楽プロデューサー)に加え、コシノジュンコ(デザイナー)、泉谷しげる(シンガーソングライター/俳優)、きたやまおさむ(作詞家/精神科医)らが、それぞれの言葉で加藤への評価や彼の魅力を語っていく。

 そのほか、日本初のミリオンヒットを記録したザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」をはじめ、時代を先取りした革新的な楽曲のごく一部も紹介。最後は、「トノバンが残した名曲は、これからも語り、歌い継がれていく」という本作に込めたメッセージがナレーションとして添えられている。

 なお、予告編のナレーションは、今作のために新たにレコーディングされた「あの素晴しい愛をもう一度~2024Ver.」のアレンジャーであり映画出演もしているミュージシャンの高野寛が担当。手がけた楽曲のジャンルは多岐に渡り、いつの時代も半歩先をいく音楽家だった一方で、他分野の交流の中でも魅力を放っていた不世出の音楽家に迫る本作の一端を垣間見ることができる予告編となっている。

 本ビジュアルは、ティザービジュアルと同じく、サディスティック・ミカ・バンドによる1976年のライブ・アルバム「ライブ・イン・ロンドン」のジャケットにも使用された鋤田正義氏の写真を使用している。

 企画・構成・監督・プロデュースは、『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』、『音響ハウス Melody‐Go‐Round』を手掛けた相原裕美。相原監督は「前作『音響ハウス Melody Go Round』完成試写会の時に、高橋幸宏さんから何気無く『トノバン(加藤和彦)って、もう少し評価されても良いのじゃないかな? 今だったら、僕も話すことが出来るけど』と言われたのが、加藤和彦さんに強く興味を持ったきっかけでした」と振り返る。

 続けて「それから、加藤さんの事を調べれば調べる程、革新的な事や、新しいスタイルを産み出している事等々、音楽業界にいながら加藤さんの事を本当に知らなかった、と愕然となりました。微力ながらこの映画が、加藤和彦さんの再評価につながればと思います」と語っている。

 なお、5月22日にえて、加藤和彦の足跡をコンパイルした初めての作品集となるアルバム『The Works Of TONOBAN 加藤和彦作品集~』が、ユニバーサル ミュージックより発売される。

 映画『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』が、5月31日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開。

映画『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』本ビジュアル (C)2024「トノバン」製作委員会