宇宙領域把握(SDA)能力ってナニ?

将官がトップの宇宙領域専門部隊も新編へ

防衛省は2024年4月9日、宇宙領域把握(Space Domain Awareness)能力、いわゆる「SDA能力」を向上させるため、低軌道から静止軌道までの衛星の動きを検知する実証事業について、キヤノン電子株式会社と契約を結んだと発表しました。契約日は2024年3月29日です。

SDAとは、人工衛星の運用状態や利用状況、各衛星の運用意図や能力を把握するというもので、宇宙空間を安定的に利用し続けるためには、この能力の向上が不可欠だと防衛省は説明しています。

とくに、赤道上空の高度3万6000km付近に位置する静止軌道上では、通信衛星を始めとする重要な衛星が運用されており、これら衛星の安定的な利用を確保するためには、不審な衛星を常時監視できる体制を構築することが必須だそう。

不審な衛星の動きを検知する精度を高めるためには、地上の光学望遠鏡やレーダー、軌道上の観測衛星など複数の観測方法を組み合わせることが重要であることから、それに関連する事業として、このたび低軌道から静止軌道までの衛星を観測する光学衛星を低軌道へ打ち上げ、軌道上から衛星の動きを検知する実証を行うとしています。

防衛省は、宇宙利用の拡大に伴い、防衛分野における宇宙領域の重要性がますます増大しており、宇宙領域に係る行動は、既存の「空における行動」に比肩するほどの役割・重要性を帯びつつあると認識。2020年5月に宇宙作戦隊を航空自衛隊の新部隊として発足させると、毎年のように拡充・改編を繰り返しています。

航空自衛隊の名称も、近い将来「航空宇宙自衛隊」へと変えることを決めているほか、宇宙領域把握(SDA)体制の整備を確実に推進するために、将官を指揮官とする宇宙領域専門部隊も新編予定です。

今回のキヤノン電子との契約締結もその一環で、防衛省では引き続き民間などと連携し、「宇宙における安全保障」に取り組むとしています。

なお、防衛省が2023年11月に公開した資料によると、2026(令和8)年度に打ち上げ予定と明記されていました。

※誤字を修正しました(4月11日19時25分)。

航空自衛隊宇宙作戦群のイメージ(画像:航空自衛隊)。