奥山大史が監督・撮影・脚本・編集を務める映画『ぼくのお日さま』が、第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門に正式出品されることが、本日行われたカンヌ映画祭の公式記者会見で発表になった。

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 本作は、史上最年少で第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞した奥山大史(おくやま・ひろし)監督の商業デビュー作。雪の降る街を舞台に、吃音をもつホッケー少年のタクヤと、フュギュアスケートを学ぶ少女さくら、そして元フィギュアスケート選手でさくらのコーチ荒川の3人の視点で紡がれる物語。

 今年、俳優で監督のグザヴィエ・ドランが審査員長を務めることでも注目される「ある視点」部門へ、日本人監督の作品が出品されるのは、2022年の早川千絵監督『PLAN 75』以来2年ぶり。今年2月に28歳になった奥山大史監督は、カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「ある視点」部門に、日本人監督として史上最年少で選出される快挙となった。「ある視点」部門は、過去の日本作品では北野武監督『ソナチネ』や黒沢清監督『トウキョウソナタ』、是枝裕和監督『空気⼈形』など世界に名を響かせる日本を代表する監督たちの作品が選出されてきており、近年では特に、新しい映画監督を国際的な舞台へと輩出する部門として注目され、今年は2000本以上の作品の中から選ばれた。会見の中で、「Hiroshi Okuyama」と名前が呼ばれると、カンヌ国際映画祭の総代表も務めるティエリー・フレモー氏から「コレエダ(是枝裕和監督)の再来だ。10分もみればこれがまさに映画であることが分かる。ぜひとも大きなスクリーンで見てほしい」と選出理由も述べられた。

 ジブリ映画君たちはどう生きるか』の主題歌である米津玄師地球儀」のMVの監督・撮影・編集を手がけ国内でも注目される奥山大史監督は、大学在学中に自主制作し、撮影・脚本・編集も手がけた『僕はイエス様が嫌い』で、第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞、第29回ストックホルム国際映画祭最優秀撮影賞、第19回ダブリン国際映画祭最優秀撮影賞など長編デビュー作からすでに海外で高く評価、注目されていた。

 今回、世界三大映画祭であるカンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「ある視点」部門に選出されたことを受け、奥山大史監督は「『月の光』が繰り返し流れる本作ですが、カンヌのドビュッシー劇場が初上映の場になるとは夢にも思っていませんでした。物語のインスピレーションを与えてくださったハンバート ハンバートさん、ずっと力強く背中を押し続けてくださった池松さん、そして、共にこの映画を作り上げてくださった皆さん。ここまで連れてきていただき、心から感謝しています」と喜びとともに感謝を伝えた。

 企画段階から奥山監督を支え、コーチ荒川役として出演する池松壮亮は「映画そのものを祝福してくれるような世界最高峰の地で、自分にとって本当に大切な作品を、様々な国の映画人、映画ファンにみていただけること、大変光栄に思っています。奥山さんをはじめ、主演の敬達、希亜良、キャストスタッフ、この映画に関わった全ての方々と、この喜びを分かち合いたいです」とコメント。

 また主題歌のハンバートハンバートの佐藤良成からは「週末になると渋谷に出かけミニシアターで映画を観ていた高校時代の私にとって、カンヌの『ある視点』は”いい映画”の指標のような存在でした。その『ある視点』に『ぼくのお日さま』が選ばれるなんて、嬉しすぎて恐ろしいです」そして、ハンバートハンバートの佐野遊穂からは「私たちの作品が、発表から10年後に1本の映画になり、それがカンヌ映画祭の出品作となって、またたくさんの人たちと出会う事になるなんて、こんな幸せなことはありません。子育てをしていると、子どもによって自分の世界が広がる事がしばしばあるけれど、それに似た感覚です」とコメントが寄せられた。

 映画『ぼくのお日さま』は、9月より全国公開。

映画『ぼくのお日さま』場面写真 (C)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS