アニメ『怪獣8号』が、4月13日(土)夜11:00よりテレ東系列ほかにて放送/X(Twitter)にて全世界リアルタイム配信を開始する。同作は、少年ジャンプ+(集英社)にて連載中、全世界累計発行部数1,300万部を超える松本直也氏による大人気コミックが原作となっている。今回WEBザテレビジョンでは、主人公・日比野カフカ役を演じる福西勝也、亜白ミナ役の瀬戸麻沙美、市川レノ役の加藤渉に取材を行い、本作の魅力をたっぷりきいた。

【写真】ガオー! パワフルな怪獣ポーズも! 福西勝也×瀬戸麻沙美×加藤渉の撮り下ろしショット(16枚)

■本作への出演に「『人生が変わるぞ!』と思いました(福西)」

――『怪獣8号』の原作を初めて読まれたときはどんな印象を持ちましたか?

福西:連載当日、更新されてすぐだったと思います。友人間だったり、SNSだったり、とにかくいろんなところで話題になっているのをみて、「読むしかない!」と少年ジャンプ+(集英社)を開いたのがきっかけでした。その時期はコロナ禍真っ只中で、世の中的にも私自身も気落ちしていたところ、『怪獣8号』は私たちを強く勇気づけてくれるような内容でした。作品を初めて読んだときから、「いつかお仕事で関われたら」と心に思っていましたね。

瀬戸:私が原作に触れたのは、オーディションのお話があってからでした。キャラクター全員が前を向いているって珍しいなと思ったのと同時に、そこに作品の強いパワーを感じました。ただ、オーディションのときは、抜粋されたセリフの参考箇所までという形で、原作を最後までは読み切らずに臨んだんです。というのも、先を読んでしまうと受からなかったときに、「こんなにも楽しい作品に関われないのか…」とかなり落ち込んでしまうからでして…。

福西:その気持ち、すっごくよくわかります。オーディションって1回1回が恋なんですよね。ダメだったときって、失恋なんですよね…。

瀬戸:そうなんです。だから、実際に読み進められたのは合格が決まってからで。今、こうして原作を読み進められているのが何よりうれしいですし、とても楽しいです。

加藤:僕は、福西さんと同じで、連載が始まってすぐに声優仲間から教えられて作品を知りました。彼らとカラオケで読み合わせをして、そのときに自然と声を当てていたのが“レノ”でした。初めて作品を読んだときのことは鮮明に覚えていて、「怪獣大国 日本」のナレーションから始まる1ページ目。そこで僕、心打たれちゃって。日本って天災の多い国じゃないですか。それを「怪獣」で表現して、その怪獣に人類がどう立ち向かっていくか…という試みがもう面白い。実生活と地続きにあるフィクションに心惹かれて、「演じてみたい!」と思いました。

――そんな本作への出演が決まったときは、どんなお気持ちでしたか?

福西:もう、意味がわからなかったですね(笑)。大好きな作品の大好きな主人公を演じられるということに、「こんなことがあっていいのかな?」「夢かな?」と思ってしまうくらいうれしかったですし、「人生が変わるぞ!」とも思いました。その反面、もちろん不安もあったのですが、話が具体的になっていくにつれて、原作を何度か読み返しては「これを自分が演じるんだ!」と楽しい気持ちがどんどん湧き上がって、不安な気持ちはなくなっていきました。今はただただうれしさだけが残っています。

瀬戸:私は、ミナの声や役どころをオーディション中もずっと探っていたので、正直あまり自信がなくて、合格をきいたときはすごく驚きました。そのあとで、作品に関われることへのうれしさがきて、次には「どう取り組んでいこうかな…」と役への入り込みのことを考えていましたね。

加藤:僕は、元々追っていた作品に出演が決まる、という出来事が初めてでして(笑)。一読者として純粋にストーリーを楽しんでいた身から演じる身となって、原作の読み方が少し変わったんですよね。そういった初めての経験に、面白みとやりがいをとても感じています。

■原作者の収録立ち合いも、「風通しのいい作品づくりができているなあと感じています(瀬戸)」

――収録には、原作者の松本直也先生が立ち会われたとのことで、何か先生とのやりとりなどで印象に残っていることはありますか?

福西:今でもはっきりと思い出せるのですが、第1話の収録が終わったときに、松本先生に「カフカ、そのままでした」とお声かけをいただきまして!

加藤:うれしいね~。

福西:本当、それ以上にうれしいことはないと言いますか…。キャラクターの生みの親ともなる方に温かい言葉をかけていただけるなんて、声優のお仕事をしているうえで何事にも変えがたい幸せですね。その言葉のおかげで、2話以降、「自信を持って表現しよう!」と、より胸を張って収録に挑めるようになりました。

瀬戸:福西さんがおっしゃったように、「先生が直に見てくださっている中でオーケーが出たということは…」という安心感は非常にありますね。また、アフレコブースから先生や監督、ディレクターさんなど現場の方々がこまめに相談し合っているのをみても、風通しのいい作品づくりができているなあと感じています。

加藤:個人的に先生とのやりとりで印象的だったのは、僕が演じるレノについてお話し合えたことですね。収録の時点では、まだレノのバックボーンは明らかになっていなくて、想像で臨んでいたんです。アニメの台本の余白に、自分なりにレノを分析したものを書き連ねていて(笑)。それを恐れ多くも先生に見ていただく機会があって、解釈は完全一致ではなかったけれども、軸がブレない程度に同じだったことで「考えてきたことが報われた」と自信にもつながりました。とにかく先生とディスカッションできた時間も幸せでしたし、作品づくりに対して建設的な行動ができているなという心持ちでいられたのも、その場に先生がいらしてくださったからこそだと感謝しています。

――演じられるそれぞれのキャラクターの印象、また、演じるときに心がけていることを教えてください。

福西:カフカに対して初めから一貫して思っているのは、「カフカのこと、絶対みんな好きじゃん」ということですかね! 演じている身からすると、なんか変な照れも入っちゃいますけど(笑)。まず、少年誌にいる“おじさんの主人公”、というシンプルな属性だけみても斬新で面白いんですが、他作品では渋さや大人っぽさがフィーチャーされがちなおじさんが、カフカの場合、とにかく情けない部分やカッコ悪くて泥臭い部分が全面に出されているっていうのがいいですよね。私自身、元々泥臭い兄貴分みたいなキャラクターが好きなんですけど、カフカはまさしくそうだなって。そんなのみんなも好きになるに決まってるじゃん!って思います(笑)。

瀬戸・加藤:うんうん。

福西:それから、案外自分に似ている部分もあるなと。感情に素直なところだったり、落ち込んでも人と会うとリセットできて前向きになれるところだったり、日々の過ごし方や人間としてのあり方に共感できるものがありますね。あとは、このアゴヒゲ。実は高校生のころから生やして愛情を注いでいるんです。ビジュアルの面でも運命を感じながら(笑)、外見的にも内面的にもかなり自然な領域でお芝居をしているなという感じですね。

瀬戸:ミナの最初の印象は、なんか遠い存在だなって。気がついたら“みんなのヒーロー”的な存在になっていて、「彼女の本意はどこにあるんだろう」と心配になってしまうところがありました。きっと「ヒーローとして、隊長として、ちゃんとしていないといけない」みたいな責任感からの苦しみなんかも、すでに乗り越えた後なのかなという印象を受けていました。そんなミナを演じるときは、自分の発言が周りに影響を与えるということを本人も自覚しているだろう、と思っていたので、人によって態度を変えることはないのですが、発言の内容や場面によって話し方は意識するようにしていました。

加藤:レノは“熱いヤツ”という認識だったので、ちゃんと熱い人間として演じたいなと思っていました。また、これは収録を重ねていくなかで気づいたことではあるんですが、レノは「誰かのために自分を犠牲にする人を守れる存在」になりたいんじゃないかなって思っていて。その代表として身近な存在のカフカがいるんですれども。そんなことを考えながら収録に臨みました。

■「少しでも誰かのプラスになる作品であればうれしいなと(加藤)」

――最後に作品を楽しみにされている方へのメッセージをお願いします。

福西:人生がうまくいかなくなるタイミングって、誰しもどこかで必ずあると思うんです。そんなとき前を向くのは自分自身でしかないのですが、そのための最大限の手助けをエンタメがしてくれると思っていて。『怪獣8号』は、そんな力になってくれる作品だと感じています。決して全ての努力が報われるわけではないけれど、努力は必ず人生のどこかで自分の支えになってくれるよ、という作品のテーマをアニメでもしっかり伝えられるようになっています。私自身が原作を読んで「頑張らなきゃ!」と勇気づけられたあのときの気持ちを、アニメを通してさらに多くの方々にも感じていただければうれしいです。

瀬戸:原作ファンの方も多いと思いますので、アニメでキャラクターたちが動き出すことを純粋に楽しんでほしいです。あとはやっぱり、おじさん主人公のカフカを中心に自分自身と重ねて感じることがたくさんあるんじゃないかなと思います。福西さんもおっしゃっていたように、背中を押してもらえる作品だと思います。心の赴くままに感想を持っていただいて、1話を観たら是非最後まで楽しんでいただけたらいいなと思っております。よろしくお願いします!

加藤:どんなタイミングでも、どんな感情のときでも楽しんでいただけたら幸いですね。何かいいことがあった日に観てもっと楽しい気持ちになったり、落ち込むことがあった日に観て救われた気持ちになったり…と、少しでも誰かのプラスになる作品であればうれしいなと思います。実際、そんな力を持っている作品だと胸を張って言えるので、そこは期待していただきたいです。

――ありがとうございました!

アニメ『怪獣8号』にて声優を務める福西勝也、瀬戸麻沙美、加藤渉/撮影=篠田直人