中国の新エネ車の競争は極端に激しく、各自動車メーカーは絶えず消費者のニーズに寄り添い、技術開発力を拡大し、革新を重ねている。それでも市場で生き残る保証はなく、勝ち抜くことはさらに難しい。

BYD(比亜迪)は昨年、初のハイエンドブランド「仰望(ヤンワン)」からSUVタイプのプラグインハイブリッド車(PHV)「U8」を発売した。販売価格は109万8000元(約2300万円)と高額だが大ヒットし、注文は短期間で3万台に達した。

仰望U8の「360度回転」の機能は広く注目され、非常に好評を得ている。


上海汽車集団傘下の新エネ車ブランド「智己汽車(IM Motors)」は3月18日に類似の「VMCインテリジェントデジタルシャーシ」技術を発表した。5月に発売する新エネ車「智己L6」に搭載する。「カニのように横方向に移動できる」という新たな機能を実現し、ユーザーは狭い空間での駐車、Uターン、走行などの複雑な移動シーンにより柔軟に対応できる。



智己汽車の説明によると、智己L6に搭載された第1世代VMC(Vehicle Motion Controller=車両運動制御装置)インテリジェントデジタルシャーシ技術は、後輪ステアリング、インテリジェント電子制御ダンパー、エアサスペンション、電気駆動などの高級シャーシハードウェアを統括的に連携制御し、車両の加速、制動、ステアリング、制振はもはやそれぞれのことではなく、X、Y、Zの3方向6自由度の車体の協調制御を実現し、「カニのように移動する」など、通常の車両の物理的限界を突破する革新機能を獲得し、動態特性を全面的に制御し、究極の運転制御性と安全体験の向上をもたらす。


機械伝動から精密制御へ

自動車のシャーシ制御機能は一般的にステアリング、ブレーキ、シフト、アクセル、サスペンションという五つの部分で構成されており、これらの性能の連動が自動車の操作性や快適性、安全性に直接影響している。現在の新エネ車に使用されているワイヤー制御シャーシは、従来の機械伝動からすべて「電気信号」制御に変更され、多くの燃料車ではできなかった機能を実現した。

智己汽車の劉涛(リウ・タオ)共同最高経営責任者(CEO)は、「電気駆動の制御精度は内燃機関よりも数段高く、車両の運動学の角度から、制御精度は数段の飛躍を実現している」と述べた。

智己汽車が発表した「VMCインテリジェントデジタルシャーシ」はライン制御とデジタル技術に基づいており、後輪ステアリング、インテリジェント電子制御ダンパー、エアサスペンション、電気駆動などの高級シャーシハードウェアを統括的に連携制御し、さまざまな「反物理」走行状態を実現できるようにしている。

100万元(約2100万円)クラスの仰望U8から一般家庭用車の智己L6まで、中国の新エネ車市場の激しい競争の下で、自動車メーカーは絶えず新技術の研究開発に注力するとともに、従来のガソリン車ブランドにも強い衝撃を与えている。(編集/CL)

新エネ車ブランド「智己」は3月に「VMCインテリジェントデジタルシャーシ」技術を発表した。