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 強力な内蔵GPUを備え、ビデオカードなしのコンパクトなPCを組めるRyzen 8000Gシリーズの登場から1ヵ月。コンパクトPC自作の鉄板のひとつになっている小型ベアボーンのASRock「Desk」シリーズに、待望のSocket AM5採用モデルとなる「DeskMini X600」と「DeskMeet X600」が今春登場する。Ryzen 8000Gシリーズの登場とともに、心待ちにしているユーザーは多いはずだ。

机の上においてもジャマにならないコンパクトなPCを組める

 「DeskMini X600」はまだ発売日が未定だが、容積約8Lでビデオカードなどを増設できる「DeskMeet X600」は、店頭に並ぶ日が間近(4月19日)になっている。

 強力な内蔵GPUを備えるRyzen 8000Gとの相性も抜群で、コストを抑えながら、コンパクトかつ拡張性を残したPCを組みたい人に最適と言える「DeskMeet X600」と、OS別10万円前後をターゲットにできるRyzen 8000Gを使って実際に自作してみた。

ゲームもできちゃう万能PCを約10万円で組んでみた

 ここからは実際にRyzen 8000Gを使って、予算10万円前後でDeskMeet X600 PCを組んでみた。理想は最強の内蔵GPUを備えるRyzen 7 8700Gだが、5万円を超えるため予算から2万円オーバーになってしまう(8700Gに付属するクーラーWraith Spireは収まらないので、全高54mm以内のCPUクーラーも必要になる)。

 そこで6コア/12スレッド、Radeon 760M Graphicsを搭載する「Ryzen 5 8600G」を選択。そのほかDDR5-6000駆動のDDR5メモリーや、PCIe 4.0×4対応のNVMe SSD 1TBで、DeskMeet X600&Ryzen 8000Gマシンを組んでみた。

 記事執筆時点では、DeskMeet X600の予価は3万6800円前後。それでも総額は10万5600円前後となっているので、CPUとメモリー、SSDの価格次第では10万円切りも実現できそうだ。

※価格は4月11日調べ。店頭価格ならびに在庫を保証するものではありません。

小さくても組立難易度は高くない!

 DeskMeet X600はベアボーンとは言え、いくつかの組み立て工程が必要になっているが、比較的簡単で慣れていれば1時間かからずに組み立てが完了する。

 ケース筐体とフレームは底面部の1つのネジで固定されており、ネジを外すだけで簡単にマザーボードが固定されたフレームを抜き出せる(工場出荷状態では、内部に電源ユニットが緩衝材に包まれて入っている)。

 フレームには120mmファンの取り付けステーや、2.5/3.5インチシャドウベイを備える。

ビデオカードを増設できるPCI Express ×16とWiFiスロット搭載で拡張性バッチリ

 マザーボードには5+2フェーズの電源回路が実装され、CPU向け8ピン電源コネクターが備わっている。TDP 65WまでのRyzen 7000/8000Gシリーズに対応している。

 PCI Express ×16形状の拡張スロットに、PCIe 5.0×4対応M.2スロット(Blazing M.2)とWiFi用M.2スロットを確認できる。なお、Ryzen 8000Gは、PCIe 5.0対応レーンを備えていないため、Blazing M.2はPCIe 4.0×4までの動作になる。

自作PCより簡単!
Ryzen 5 8600Gなどの基幹パーツを取り付けるだけで完成

 CPUやメモリーなどを取り付けた後に、付属の電源ユニットをCPUクーラーの上部に取り付け。電源ケーブルをフロント側の空いているスペースに収めれば組み立ては完了となる。手軽に組み立てられるのが、DeskMeet X600の魅力だ。

ベンチマークで基本の性能を確認
ビジネスアプリの快適さが推奨スコアの2.5倍

 定番ベンチマークを使って、Ryzen 5 8600Gで組んだDeskMeet X600 PCの実力を軽く試していこう。

 まずは3DレンダリングでCPUの性能を測る「CINEBENCH R23」のスコアを確認すると、結果はシングルコア1792pts、マルチコア13361ptsの良好なスコアになっている。

 このスコアは、PCの総合性能を測れる「PCMark 10」のスコアにも出ており、総合スコアは6959となっている。テストごとのスコアを確認すると、アプリケーションの起動や、ウェブブラウザーの快適さを示す「Essentials」が推奨スコアの2倍強となる11448、文書作成や表計算といったビジネスアプリケーションの性能を示す「Productivity」が2.5倍近くの10934を記録している。

 また、GPU性能の影響が出やすい写真や、動画の編集などの処理性能を示す「Digital Content Creation」も、推奨スコアの2.5倍近い8710という高いスコアを示した。日常使いから、オフィスアプリを使った家計簿やレポートなどの作成に、軽い写真の編集まで、スムーズに行なえる。

 続いては「UL Procyon」を使用して、「Adobe Photoshop」と「Adobe Lightroom Classic」を実際に使用して、そのパフォーマンスを評価する「Photo Editing Benchmark」を試していこう。

 総合スコアは5495を記録した。「Adobe Photoshop」を使い、CPUとGPUを利用して処理される「Image Retouching」のスコアは、7622と優秀になっている。「Adobe Lightroom Classic」を使った「Batch Processing」も、3962と高いスコアを記録しているので、写真の編集、RAWの現像をスムーズに実行できるだろう。

VALORANTRainbow Six Siegeが快適に遊べる!
FF15もイケちゃうRadeon 760Mの実力

 ここからは、Ryzen 8000Gシリーズの最大の魅力となる内蔵GPUのパフォーマンスを軽く確かめていこう。Ryzen 5 8600Gが内蔵するRadeon 760M Graphicsは、レンダリングされるフレームの間に生成したフレームを差し込むことで、フレームレートを引き上げる最新機能の「AMD Fluid Motion Frames(AFMF)」を利用できる。

 ここではRadeon 760M Graphicsの素のパフォーマンスを見るために、「AFMF」は利用しなかった。

 まずは内蔵GPUでも十分楽しめる軽量ゲーム「VALORANT」からだ。テスト解像度はフルHDに固定し、画質設定は「高」をベースに、アンチエイリアスを「MSAA 4×」、異方性フィルタリングを「16x」に設定したほか、各種設定を「オン」にした「高」。さらに「マテリアル」や「テクスチャー」を「中」に設定し、アンチエイリアス「MSAA 4×」、異方性フィルタリング「4x」、そのほかの設定を「オフ」にした「カスタマイズ」でテストした。

 フレームレートは「CapFrameX」を使用して、「射撃場」の一定ルートを移動した際を記録した。

 結果は「高」設定でも、平均142.1fpsと余裕のフレームレートになっている。さらに画質を調節すればゲーミングディスプレーでのヌルヌルプレイを実現できる。

 同じく軽量タイトルとなる「Rainbow Six Siege」で確認していこう。解像度はフルHDで、画質は「総合品質」で「低」「中」「高」の3種類を選択し、フレームレートは内蔵ベンチマークを実行した。

 「高」画質でも、60fpsを余裕で上回っている。ゲーミングディスプレーと組み合わせるなら、「低」まで下げる必要はあるが、最小でも100fps台のフレームレートを発揮する。内蔵GPUとは思えないパフォーマンスを発揮している。

 最後に中量級ゲームタイトルで「ファイナルファンタジーXIV暁月のフィナーレ ベンチマーク」を実行すると、フルHD解像度、標準品質(デスクトップPC)で、スコア指標は「快適」を記録した。平均フレームレートも64.3fpsと、フリートイアルで序盤を楽しむなら十分だろう。

気になるクロックや温度推移を確認
CPUに付属するクーラーで問題なく冷却できる

 パフォーマンスチェックの最後は高負荷時のCPUと内蔵GPUの温度などの確認してみた。テストには「CINEBENCH R23」(10分間)と、「ファイナルファンタジーXIV暁月のフィナーレ ベンチマーク」を使用した。テスト実行中を「HWiNFO64 Pro」で記録し、CPUクロック(Core 0 Clock (perf #3))、CPU温度(CPU (Tctl/Tdie))、GPU温度(GPU Temperature)を抽出した。

 「CINEBENCH R23」実行時のCPU温度は、電源ユニットからのエアフローが効いているのか、付属CPUクーラーの「Wraith Stealth」ながら、90度台に抑え込めており、動作クロックも4600MHz台の高クロックで推移している。

 「ファイナルファンタジーXIV暁月のフィナーレ ベンチマーク」実行時のCPU温度が平均73.5度、GPU温度が69.7度と余裕のある温度になっていた。

 Ryzen 5 8600Gに付属するCPUクーラー「Wraith Stealth」でも問題なく冷却できると言えるだろう。DeskMeet X600に搭載できる全高54mmまでのロープロファイルCPUクーラーの選択肢は少ないが、パフォーマンスアップを狙って試すのもおもしろそうだ。

拡張スロットを活用すれば
録画品質や通信速度などを強化できる
 

 ビデオカードを追加できるDeskMeet X600の拡張スロットだが、ビデオカード以外にも、PCIeキャプチャーカード、NVMe M.2 SSDの変換カード、USB 3.2 Gen2 Type-C、10G LANカードなど、いろいろと使える。

 一部の拡張カードを実際に試すと、当然だが、いずれも問題なく動作した。用途に合わせて拡張しよう。

DeskMeet X600で仕事もゲームも配信もできる万能機を作ろう

 軽量級ゲームを楽しめ、オフィスアプリでのレポートなどの作成に、「Adobe Photoshop」や「Adobe Lightroom Classic」を使用した写真の管理、編集、現像作業をスムーズに行なえるコンパクトなPCを10万円台で組めるDeskMeet X600。

 約8Lのコンパクトサイズながら、拡張スロットを備えているのもポイント。活かせば、より快適なゲーミングから、ゲーム機やスマホ、タブレットキャプチャー&配信など、いろいろな用途で活用しよう。

Ryzen 8000Gと相性抜群なASRock「DeskMeet X600」で組んだら約10万円で万能PCができた!