ドジャース1号の前に捜査当局に事情を聞かれていたとされる(C)Getty Images

 アメリカの捜査当局はドジャース大谷翔平の元通訳・水原一平容疑者が違法賭博に関与していたとされる問題で、4月11日(日本時間12日)に水原容疑者を詐欺容疑で訴追した。

 違法賭博に関わっていたとされる水原容疑者について合同で捜査にあたっていたIRS(内国歳入庁)と国土安全保証省、司法省が日本時間12日の午前2時過ぎから記者会見を行った。

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 この中で捜査当局は水原容疑者が2021年11月から今年4月にかけて大谷の口座から違法賭博賭博の元締め側に複数回にわたって不正送金していたとし、銀行詐欺容疑で訴追したと発表した。

 大谷側の口座から盗まれた金額はなんと1600万ドル、日本円でおよそ24億5000万円に上るという。告訴状によると勝った賭け金が220億円、負けた賭け金が280億円と約60億円もの損失を出していたという。すべてが破格のスケールで賭博を進められていたことが分かる。

 一方、今回の出来事においては大谷は潔白を主張、自身は賭博に関わっていないことを主張していた。

 さらに以前から、それだけの巨額資金が本人確認なく動かせるのかという点が疑問とされていたが、司法当局が明らかにしたところによると、賭博を始めた2021年9月からまもなく多額の損失が出たことで、大谷の銀行口座が自身の電話番号と関連するアドレスに紐づくように、変更されたという。
 
 ほかにも複数回にわたり、大谷を装って銀行に電話をして送金しようとしたという。

 一方、検察は会見の中で「この件に関して、大谷氏は被害者であると強調したい」とあくまで今回の出来事に一切関わっていないとした。

 開幕直後に発覚した今回の事態を受け、大谷も対応に追われた。自身で潔白を主張する会見を開き、今回の訴追に関しても積極的に協力したとされる。

 驚愕なのはそのタフさだ。今回の捜査当局の会見の中では大谷が現地時間の4月2日、3日にわたって今回の事情聴取を受けていたことが明らかになっている。

 3日(同4日)といえば、敵地で行われたジャイアンツ戦で今季初ホームランを打った試合にあたる。開幕から40打席ノーアーチと苦しむ中、高めの速球を捉えて右中間に放ったドジャース1号はそのボールの行方含め、様々な方面から注目を集めたが、大谷にとってはナイター開催とはいえ、試合前に当局に協力した上で、1号を放っていたというのだ。試合後、大谷は「なかなか調子が上がらず焦る気持ちもあった」と話していた。
   
 心技体としてメンタルを整えるのも技術のうちと大谷自身も語っているが、今回の水原氏の一件では大きなショックを受けただろう。さらに新たに巨額の資金が流出していく状況を分かった上で、夜の試合ではホームランを打ったのだ。

 改めてそのタフさには4月12日放送の朝の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系列)にコメンテーターとして出演した長嶋一茂氏も「彼は本当にすごい」と驚嘆の声をあげた。

 ここにきて大谷は状態をあげてきている。すでに3号をマーク、身内の裏切りという手痛い事実を受け止めながら、今後も前に進んでいく。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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