にしかわたく(@denguma4989)さんは2024年1月に「日本人傭兵の危険でおかしい戦場暮らし 戦時中の軍隊の真実編」の書籍を発売して注目を集めている。元傭兵の高部正樹さんから聞いた話をもとにリアルな戦争の現状がよくわかる作品だ。戦場では兵士の体臭や死体の処理、生き延びるための工夫など日常生活では考えられないようなことばかり。本作が誕生したきっかけや裏話などについて、にしかわたく(@denguma4989)さんにインタビューした。

【漫画を読む】戦場で戦う傭兵の現実とは…!?

――本作が誕生した経緯について、お聞かせください。

本作は実話で、毎回元傭兵・高部正樹さんにインタビューをしてその内容を漫画にしています。高部さんの話を漫画化するにあたって、編集さんが僕に声をかけてくれたのがきっかけです。

――戦場での死体の片付けや兵士の体臭など、想像を絶するような体験談に驚かされます。にしかわたくさん自身、このような戦争の話についてどのように思われますか?

毎回「嫌だな〜」と思いながら描いています。連載が始まってそろそろ5年ですが、なぜわざわざ好き好んでこんな目に遭いに戦場へ行くのか、高部さんの気持ちがいまだに1ミリもわかりません。ただ、こういう仕事が得意な人というのが、世の中に確実に存在するということだけはわかりました。

――元傭兵の高部正樹さんから戦争の話を聞く前と後では、戦争に対するイメージは変わりましたか?

僕らはラッキーなことに平和な国に生まれ、できることなら、死ぬまでぬるま湯の中で生きていきたい。なのに高部さんのように物理的な距離をものともせず、自分から戦争に関わっていく人が目の前にいると、「戦争は他人事」と割り切りにくくなって困ります。

――本作でにしかわたくさんにとって印象に残っているエピソードがあれば、お聞かせください。

やはり「死体片付け」の話が一番強烈ですが、なぜか今回の本は臭いについての話が多くなりました。「腐臭」「体臭」、ラインナップには入りませんでしたがトイレの話も出てきます。人間はどこまで行ってもただの生き物でその人間がやっているのだから、戦争にはいろんな生物的な臭いがつきまとう。この作品に価値があるとしたら、その辺だと思います。

――最後に、今後はどんな作品を描く予定ですか?

映画が好きなので、今後は映画館についての漫画を描いてみたいです。昭和のB級ホラーを、年がら年中2本立てで上映しているような汚くて愛らしい映画館。

今も戦争をしている国や地域はあるが、メディアが伝えない事実はいくつもあるようだ。本作で紹介している元傭兵の体験談は、日本では決して経験しないことばかりだろう。戦争と聞いてもピンとこない、詳しく知りたいという方はぜひ読んでみて!

取材協力:にしかわたく(@denguma4989)

世界最古の職業と言われる「傭兵」/画像提供:(C)高部正樹・にしかわたく/竹書房