SF戯曲『ロボット』が、2024年11月から12月にかけて東京・シアタートラムで上演されることが決定した。

本作は、1920年にチェコ国民的作家・劇作家であるカレル・チャペックによって発表されたSF戯曲の金字塔。チャペックは「労働」を意味するチェコ語robotaロボタ)」から、「ロボット」という言葉を新たに生み出したと言われている。

今回は卓越した発想力とユーモアで、独特の奇想天外な世界観を描き出す作風に定評のあるノゾエ征爾の潤色・演出により、シニカルかつ不条理なドラマとして転換し、現代の物語として届けられる。

作品の舞台となるロッサム・ユニヴァーサル・ロボット社の社長ドミン役を渡辺いっけい、ドミン社長の妻にして、人権同盟代表としてロボットの地位の向上を訴えるヘレナ役を朝夏まなと、ロボットの反乱後、ただひとり残される人間であるロボット研究者アルキスト役を水田航生が演じる。

またシアタートラムでの公演後、兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでツアー公演が予定されている。

■潤色・演出:ノゾエ征爾 コメント
これは人間を批判するようなお話ではありません。
幸せを求めるのも、進歩に邁進することもごく自然なことで、なんら悪いことではない。便利になるのは助かるし、苦労が減るのはありがたいかぎりだ。
代わりに色々とやってくれるロボットが開発された?最高じゃないですか。
でも、あまり幸せになった気持ちになれないのはなぜだろうか?
幸せという感情は消えるようにできていると誰かが言っていた。
確かにそうかもしれない。
しかし、幸せを求める感情も消えないようにできているようだ(ただ、これまでと同じような求め方ではいけないことはそろそろ分かりつつ)。
絶望と希望がぐるぐるする、このなんとも人間味溢れる物語を、この素晴らしい俳優さんたちでのぞめることがまずはとても幸せで、しかしやがて消えてしまうらしいこの幸福感を、観劇してくださる皆さまに繋げられることを願って、泥臭く挑みたく思います。

水田航生 コメント
自然とは何か、不自然とは何か。
生物は何を求め、何の為に生きているのか。
そもそも「生物」とは何を指すのか。
この『ロボット』を最初に読み終えた時、しばらくそんなことを考え込みました。
この戯曲が生まれてから100年後を生きる自分が、何を感じどう表現出来るのか、役者として、そして一人間としての探究の日々が、ちょっぴりの怖さはあるものの、楽しみでなりません。
演出のノゾエさん、素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんと稽古を通して沢山ディスカッションをして、その場で揺れ動く心を大切に、本番へ向け突き進んでいきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします!

朝夏まなと コメント
憧れの劇場のひとつであるシアタートラムで、しかもノゾエ征爾さんの演出を受けられること、それを初めて共演する俳優さん方と取り組めることにワクワクしています!
100年以上前に作られた、まるで今の時代を予知していたかのような『ロボット』という作品が、現代ではどのように描かれるのか、また男性たちを翻弄するという、自分とかけ離れていると感じる今までに経験のない役柄なので新たな自分に出会えるのも楽しみです。
刺激を得てお芝居にどっぷり浸かって表現できるように頑張ります!

■渡辺いっけい コメント
百年前のこの戯曲、恐ろしいほど現代に突き刺さるその世界線もさることながら、劇的に絡み合っていく登場人物たちのその会話の熱量にまず驚かされました。面白い戯曲というのは演じるのが大変です。きっと悩みながら、台詞と格闘しながらの本番になる事でしょう。ノゾエ君には過去に何度も声を掛けて頂きながらご一緒する機会がありませんでした。しかし漸くご一緒できる作品がこんなにもアグレッシブな戯曲になるとは!しかも舞台では初共演の役者さんばかり……。身震いするほど初めてづくしのこの座組で「熱い冬」を、濃密に過ごしたいと思います。

<公演情報>
『ロボット』

作:カレル・チャペック『ロボット』(海山社・栗栖茜訳)
潤色・演出:ノゾエ征爾
出演:水田航生 朝夏まなと/渡辺いっけい ほか

『ロボット』チラシビジュアル

日程:2024年11月~12月
会場:東京・シアタートラム

※兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでツアー公演あり。

公式サイト:
https://setagaya-pt.jp/stage/15694/

左から)ノゾエ征爾、朝夏まなと、水田航生、渡辺いっけい