フランス、ブルターニュ地方の西海岸の村、ヴァンヌの隠された歴史の謎が明らかになった。14世紀の城が、18世紀に建てられたラゴルスホテルの中庭と地下室の下から発見されたのだ。
この城は、1381年にブルターニュ公ジャン4世の要塞兼居城として建てられたもので、その上にホテルが建てられていたのだ。
この城を使っていた主を知る手がかりになったのは、発見と共に回収された宝石、壺、鍋、南京錠などの遺物だったという。
フランス北西部のブルターニュ半島にある大西洋に面したブルターニュ公国は、ヴァイキングがこの地域から追い出された後の10世紀から16世紀にかけてできた中世封建国家だった。
小国だったブルターニュ公国は、公爵家の世襲によって統治されていた。
1365年に権力を握ったジャン4世は、ブルターニュ地方各地にたくさんの要塞居城を建設し始め、このエルミーヌ城が公国の中心地となった。
エルミーヌ城の遺跡の平面図。 / image credit:public domain/wikimedia
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しかし実際にはこの城は、ジャン4世の孫、フランツ2世が首都をヴァンヌから移転するまでのわずか1世紀しか使われず、その後荒廃した。
18世紀から20世紀にかけて城跡は改修が繰り返されてホテルや法学校になり、ついにはもともと14世紀の城塞だった遺跡の上に政府機関が建てられた。
その後2021年にここを美術館にするためにやってきた考古学者らが、その基礎を発掘してようやく、それまであやふやになっていたジャン4世の城塞建設計画が注目されるようになった。
そして2023年春、フランス国立予防考古学研究所(INRAP)が、18世紀に建てられたラゴルスホテルの中庭と地下室を発掘したところ、エルミーヌ城の城跡を発見したのだ。
ホテルの下から発掘されたエルミール城 / image credit:Rozenn Battais, Inrap
防衛機能を持つ住居、エルミーヌ城
ラゴルスホテルの中庭の発掘中、公爵の居城の1階部分と、外濠を見下ろせる塔の遺構が発見された。
城の大きさは長さおよそ42メートル、幅17メートル、城壁の厚さは5.5メートル。城内には、儀式用を含めた階段がいくつかあり、彫刻や装飾が施されたドア枠も見られる。
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この建築は、防衛機能と住居としての機能を巧みに組み合わせたものだという。
入口脇の柱の基礎部分 / image credit:Rozenn Battais、INRAP)
城のはずれには、3~4層の高さに達すると思われるトイレと排水管が見つかった。
トイレからは、硬貨などの小さなものや、15~16世紀に捨てられた調理器具などが出てきた。木製の鉢や樽の一部は、古いトイレの湿気の多い環境のせいか非常に良好な保存状態だった。
外濠の発掘では、宝石、ピン、バックル、南京錠が見つかった。城内に入るには外濠にかけられた木の橋を渡るしかなかったようで、橋自体は今は残っていないが、橋を支える橋脚跡が出土した。
水浸しの現場からはさまざまな遺物が発見された / image credit: Emmanuelle Collado, INRAP
こうした新たな発見から、ジャン4世がいかに裕福で強大な権力を持っていたかがわかる。
城の建設は、たった一度の工事で完了しました。つまり使われた資金と人材が大きな意味を持っていたことがわかります。当時、いかにジャン4世が最高の技術者や職人を集める方法を知っていたかが、遺構からうかがえるからです
INRAPはプレスリリースで述べている。
Le chateau de l'Hermine refait surface a Vannes (Morbihan)
References:Fortified 14th-century castle and moat discovered under hotel in France | Live Science / 640-year-old castle with moat found under hotel in France: 'Remarkably preserved' / written by konohazuku / edited by / parumo
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