ピクサーが大好きで自身のSNSでもピクサー愛を公言してきたお笑いトリオハナコの秋山寛貴。ピクサーを好きになるきっかけは6歳の頃にビデオテープを買ってもらった『トイ・ストーリー』で、そこからピクサー作品は欠かさず見るようになったという。そんな秋山が、『トイ・ストーリー』から『マイ・エレメント』までの全27作品から生まれた名曲を収録した『ピクサー・ベスト』(CD発売中/デジタル配信中)のアルバム応援隊長に就任。“ピクサーの好きなところ”を語り尽くした(前編)。

【動画】ハナコ・秋山の「ピクサーのここが好き」

■『トイ・ストーリー』(1996年※日本公開年、以下同じ)

 『トイ・ストーリー』は、これ以降すべてのピクサー作品の好きなところに通じるんですけど、自分たちの身近なおもちゃが見ていない間に勝手に動き出して、遊んでいるという世界を与えてくれたというか、想像力を与えてくれたというか、それが本当に大きくて。当時、部屋から出る時にフェイントをかけて、おもちゃが動いているんじゃないかな、って思ったし、日常の想像力にも影響を与えてくれたっていうのが、すごく大きかったと思いますね。そこがすごい。

 約30年前の作品で、今見ても面白い、というのがすごいなと思います。世界初の長編フルCGアニメーションなんですよね。フルCGで長編映画をつくるなんて無理だ、無謀だと言われていた時代に、形にしてくれたというのが、全てのはじまり。今も見返したくなりますし、ピクサー作品が大好きな中でも『トイ・ストーリー』が一番好き。不動の第1位ですね。

■『バグズ・ライフ』(1999年

 『バグズ・ライフ』もめっちゃ面白いんですよ。みんなもっと見ていいと思います。今回見返したらめちゃくちゃ面白くて。『バグズ・ライフ』も足元の昆虫たちの世界があんなに面白いんだっていうのを知ることができた作品。いろんな昆虫が出てくるんですよ。さまざまな性格の、さまざまな見た目の、種類も特性も違うさまざまなキャラクターが登場して、みんなが少しずつ役に立ってピンチを乗り切る。映画を見ながら、いつの間にかキャラクターみんなを応援して、見終わった時には、僕も頑張れそうだな、みたいな気持ちになるのが、ピクサー作品が好きなところなんですけど、『バグズ・ライフ』はまさにそういう作品だと思います。

■『トイ・ストーリー2』(2000年)

 ウッディの歴史が知れるっていうのがすごく面白かったところなんですけど、中でも僕が好きなキャラクターはおもちゃ修理のおじさん。そのシーンがとにかく美しいです。ウッディを修理するシーンがあるんですけど、その数分間のシーンがあまりにも美しいので、ぜひそこだけでも見てほしいです。

■『モンスターズ・インク』(2002年)

 石塚英彦さんと田中裕二さんが歌っている「君がいないと」は名曲ですよね。サリーマイクの名コンビとかわいすぎるブー。僕が好きなのはラストシーンというか、サリーとブーがお別れをするんですけど、マイクがこっそりサリーのためにブーにまた会えるように扉を復元していたというサプライズがあって、サリーがその扉を開けて、ブーがサリーを呼ぶ「ニャンニャン」という声が聴こえて、最後に見せるサリーの表情からエンドロールが始まって「君がいないと」がかかる。その流れが良すぎます。優しさにあふれすぎてて、めちゃくちゃ温かいラストになっています。

■『ファインディング・ニモ』(2003年)

 ほとんど海の中というのに圧倒されて、すごくきれいでしたし、それをCGで描いているんですよね。当時12歳だったんですけど、その頃は「わー、海の中の世界すごい!キャラクターたちが面白い!」という印象だったと思うのですが、大人になって見返した時によりグッときました。大人の方に今、見てほしい作品でもありますね。木梨憲武さん演じるニモのお父さん、マーリンの心配でたまらない親心というのがちょっとわかるようになってから見返すと感じ方がガラッと変わる作品でした。

■『Mr.インクレディブル』(2004年)/『インクレディブル・ファミリー』(2018年)

 まず、『Mr.インクレディブル』のテーマ曲「スーパー・クレジット」がかっこいいです。ザ・ヒーロー曲という感じですね。『インクレディブル・ファミリー』を映画館で見た時に買ったパンフレットに書いてあって、すごく感心したというか、興味深かったことは、家族それぞれのスーパーパワーの由来。

 Mr.インクレディブルことボブは怪力の持ち主でタフ、お母さんのイラスティガールことヘレンは家事全般を担っていて手が伸びてほしいぐらい忙しいからゴムのように伸縮自在になっている。姉のヴァイオレットは、難しい年頃で殻にこもりがちだからバリアを張ることができきたり、自分の姿を消したりできる。弟のダッシュはやんちゃでとにかく走り回りたい。赤ちゃんは無限の可能性を秘めているから、ジャックジャックは未知のパワーを秘めていることにした、みたいなことが書いてあって、それを読んでみんなのことがすごく身近な存在に感じられて、より好きになりました。

 あと、Mr.インクレディブルの友人でフロゾンというスーパーヒーローがいるんですが、彼が働きすぎています。シリーズ2作品を通して、一番頑張ってる。フロゾンファンと語り合いたいです。

■『カーズ』(2006年)/『カーズ2』(2011年)

 『カーズ』は、車を擬人化していて、それまでのピクサー作品とはガラッと変わった感じがしました。僕は絵を描くことも好きなんですけど、すごいなと思うのは、眉。『カーズ』のキャラクターたちの眉を見てほしいです。眉の動きでキャラクターのさまざまな感情を表していて、すごく表情豊か。それはニモなどほかの作品にも言えることなんですけど、眉や上まぶた、下まぶたの動きに、ピクサーのキャラクターたちの魅力の秘密が隠されているのかな、と勝手に思ってるところです。全然違うかもしれないです。

■『レミーのおいしいレストラン』(2007年)

 あたたかい色づかいが印象的で、レストランや料理シーンの暖色系のシーンとネズミたちだけのシーンとのギャップ、メリハリが魅力的な作品。とにかくラタトゥイユをはじめ料理がものすごくおいしそうです。

■『ウォーリー』(2008年)

 たったひとりでゴミ処理をする仕事をしていたウォーリーが、イヴと出会う。そのたった一つの出会いから始まる物語。台詞は少ないけれど、誰が見てもわかるし、こんなピュアな物語ほかにあるか、というくらいピュアウォーリーの夢が、いつか誰かと手をつなぐことという。シンプルだけど、すごく壮大で、予期せぬ展開を見せるし、超ファンタジーかと思いきや、実は僕たちの未来ってこうなるんじゃない?みたいなリアリティもあるところがピクサーらしいですね。

■『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009年)

 僕が好きなのは見た目です。どの作品もキャラクターデザインがいいのですが、特に『カールじいさん~』は秀逸だと思います。カール・フレドリクセンさんの顔といい、ラッセルのシルエットといい、犬のダグといい、みんな魅力的なんですよ、見た目が。

 フレドリクセンさんで思ったのは、ピクサーのキャラクターって名前もめちゃくちゃ良くて。フレドリクセンさんは絶対さん付けで呼びたくなりますし、ほかの作品でも、『モンスターズ・インク』のサリーの本名は「ジェームズ・P・サリバン」ですよ。マイクは「マイク・ワゾウスキ」。思いつきますか?めちゃくちゃかっこいい。僕もコントの台本を書いていて、時々名前をどうしようかと迷うんですけど、世界中の人が呼びたくなって、愛着を持てる名前を各キャラクターにつけているところがすごいです。

■『トイ・ストーリー3』(2010年)/『トイ・ストーリー4』(2019年)-

 全人類、見てください。見て損なしです。

※つづき(後編)はあす14日に配信。

■『ピクサー・ベスト』
CD発売中/デジタル配信中
発売・販売元:ユニバーサル ミュージック合同会社 パートナー・レーベルズ

“ピクサー大好き芸人”ハナコ・秋山寛貴がピクサー作品の魅力を熱弁(C)2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.