今年3月、世界の科学者を騒然とさせた研究結果があった。

 発端はイタリアローマ近郊、地中海の遺跡ラ・マルモッタ村にある沿岸集落の湖の底から、5隻の木造船が発見されたことにある。これらはなんと、新石器時代にあたる7000年以上前に、地中海で漁業や輸送に使っていたものだというのだ。

 発見したのは、スペイン国立研究評議会の考古学者率いる研究チーム。地中海地域で最古のものと判明したのである。

 これが科学雑誌「PLOS ONE」に掲載されたのだが、実は沈没船は現在も、世界中の海に300万隻以上あるとされる。その原因の多くは天候不良や座礁などのトラブルにあり、天気予報や海図もなく、エンジンが動力でなかった時代は、毎年多くの船が沈む事故が起こっていた。

 だが、中には不可解な沈没もある。晴天の昼間や満月の夜、海はベタ凪にもかかわらず、ある船と遭遇した途端、突如として操縦不能に陥り、何者かの力によって船が沈められる事例だ。

 日本各地でも頻発している現象なのだが、これを紐解くのが、昔から船乗りの間で伝承されてきた「船幽霊」の存在だ。超常現象に詳しい専門家が解説する。

「海にまつわる伝承の中には、人魚や妖火といった幻想世界のものが数多く存在しますが、昔から船乗りに最も恐れられてきたのが、船幽霊でした。水難事故による死亡者が悪霊と化し、仲間を増やすために通りかかった船を沈没させようとする。船幽霊はその響きから、古びたおどろおどろしい船を想像するかもしれませんが、外見は普通の船と全く変わらないといいます。ひとつ違うのは、常に光を放っており、真夜中でも驚くほどの明るさ。鹿児島県では亡霊火、島根県ではモンシ、山口県佐賀県ではアヤカシと呼ばれています」

 船幽霊にいったん目をつけられたら最後、いくら逃げても追いつかれ、船の片側が重くなったと思ったらバランスを失い、沈没してしまう。実に恐ろしい。

「船幽霊が出現しやすいのは雨の日や新月、満月の日。ただ、例外もあるため、まさに神出鬼没といっていい。1954年には戦後最大の海難事故といわれる洞爺丸事故があり、その後に就航した連絡船のスクリューには、たびたび奇妙な傷痕が発見されました。当時は事故の犠牲者らが船幽霊に身を変えて、スクリューに爪を立てているに違いない、という噂が広がったことも…」(前出・超常現象に詳しい専門家)

 ほかにも船幽霊の目撃談は枚挙にいとまがないが、残念ながら科学的な証拠はなく、明確な解明はなされていない。

 ただ、水難事故をきっかけにした不思議な出来事が地域の伝承と結び付き、語り継がれ、船幽霊伝説に信憑性を持たせてきたことは間違いない。

ジョン・ドゥ

アサ芸プラス