台湾国防部(国防省)は9日、毎年の定例軍事演習「漢光40号」について、4月19~26日にコンピューターを利用した図上演習を、7月22~26日に実動演習をそれぞれ行うと発表した。 今年の演習には中国が突如として演習を実際の攻撃に転換するとの想定も含まれる。

台湾・中央通信社によると、作戦・計画参謀次長室連合作戦計画処の董冀星処長は記者会見で、現段階での敵の脅威や国軍の戦力に基づき、ロシアによるウクライナ侵攻イスラエルイスラム組織ハマスの衝突から得られた知見を取り入れた上で、実際の戦場の状況を再現して戦備の効果を現実的に確かめるものだと強調した。

図上演習は昨年までは5日間だったが、8日間に延長される。董氏は延長の主な理由を敵が武力攻撃とは判断しにくい手法で圧力を加える「グレーゾーン作戦」への対応や、有事の際に海洋委員会海巡署(日本の海上保安庁に相当)の船を海軍の支援に回す「平戦転換」のシナリオを加えるためだと説明した。

実動演習は台湾本島や離島で実施。一部で実弾を使用する。期間中には一般市民も参加対象に含まれる防空演習「万安47号」が行われる予定。 国防部によれば、今回の演習では昨年改定した新たな交戦規定(ROE)が初めて検証されることになる。

ロイター通信によると、国防部は「今年は封鎖を破るために海上で『キル』ゾーンを設定し、中国が突如として定期演習を実際の攻撃に転換するとの想定の下でシミュレーションを行う」と明らかにした。演習が実戦に発展した場合の迅速な対応方法を訓練。中国の封鎖に対し、軍の各部門がどのように連携して対応するかも焦点という。

ウクライナ侵攻などの教訓から、台湾は特に心理戦と非対称作戦の活用を重視。蔡英文総統は中国よりも小規模な台湾の軍隊を機動的に運用して対抗する「非対称戦」の概念を提唱している。(編集/日向)

台湾は定例軍事演習「漢光40号」のコンピューターを利用した図上演習を4月、実動演習を7月にそれぞれ行う。今年は中国が演習を実際の攻撃に転換するとの想定も含まれる。写真は台湾。