不動産投資のリスクのなかで最も避けるべきは「空室」です。どのように対策すれば、空室リスクを限りなくゼロに近づけることができるのでしょうか。本記事では、恵比寿吉之助氏の著書『50代から年収100万円アップできる老後資産構築法』(ごきげんビジネス出版)から、空室リスクを避けるための「低所得者向け賃貸」について解説します。

最大のリスク「空室」を避けるためには

不動産投資のリスクの中で、最も避けたいのが「空室」です。物件を買って修繕した後に入居者がいなかったら家賃収入は入らず、資金が回収できませんからね。そのためにも空室だけは絶対に避けたいです。

ここでは「空室を避けるためにやるべきこと」について見ていきましょう。

低所得者にお貸しする

ポイントは「低所得者にお貸しする」ことです。

すでに日本は貧困社会に突入しており、低取得者が全体の6割も占めています。しかも、どんどん低所得者の数が増えているわけです。増え続ける低所得者は、見方を変えれば最大の賃貸市場、最大の成長市場になります。

低所得向けの賃貸市場がボリュームゾーンなので、低所得者にお貸しすれば入居もすぐに決まりやすいでしょう。供給(物件の数)よりも、需要(住みたい人)のほうが多いからです。

反して、気をつけなければいけないのが中間層になります。中間層は減少していますので、中間層向けの賃貸物件は余って空室だらけです。

高い家賃で貸したほうが儲かりそうと思われるかもしれませんが、同じことはライバルも考えます。その結果、大勢の投資家が殺到して物件が供給過多になり、空室が増えるのです。

これを釣り堀にたとえると、魚が激減しているのに釣り人がたくさんいる状態です。「魚が釣れないな〜」と悩む前に、魚がたくさんいるところへ行くのが一番。

中間層向けに、そこそこ高い家賃で貸すというビジネスモデルは、失敗しやすいのでご注意ください。できるだけ家賃を高くしようとする考え方は、これからの時代に合いません。

ビジネスではターゲットを決めるのが重要。「低所得者に貸す」ことが大事なポイントです。低所得者は、住む家がなくて困っています。「住宅弱者問題」という社会問題になっています。

住宅弱者とは、たとえばシングルマザーや高齢者、障害者、外国人といった方々のことです。家を探しても、大家から入居を断られやすいのです。

「住宅弱者」が入居を断られやすいワケ

なぜなら大家は、低所得者を入居させてしまうと「家賃を滞納されるのではないか?」と考えたり、高齢者を入居させてしまうと「孤独死するのではないか?」と嫌がったりして、入居を断るのです。このように入居を断る理由は、大家の偏見や思い込みです。

以前に見たニュースでは、87歳のおばあちゃんが死ぬまで住むつもりでいたアパートが取り壊されることになり、部屋を出なければならなくなりました。ところが新しい部屋を何十軒まわっても、高齢のため入居を断られ続けるのです。

おばあちゃんは「長生きしすぎたのが悪かったのか……」と後悔する悲しいニュースでした。本来、長生きをするのは素晴らしいことなのに、高齢を理由に住める家がなくなってしまうのはショックですよね。しかし、ネットで孤独死の統計を調べてみると、なんと孤独死の全体の4割が50代以下の現役世代でした。

(一般社団法人日本少額短期保険協会「孤独死現状レポート」

https://www.shougakutanki.jp/general/info/kodokushi/news/kodokusiReport_6th.pdf 2022年9月アクセス)

孤独死というと、7〜8割が高齢者のイメージかもしれませんが、若い人も病気で亡くなりますし、高齢者が必ずしも家で亡くなるとは限りません。入院先の病室で亡くなるかもしれませんから。

ちなみに、自殺の統計も調べてみると、自殺が一番多いのは50代です。働き盛りでストレスがかかる年代ですね。

厚生労働省令和3年中における自殺の状況」https://www.mhlw.go.jp/content/R3kakutei-f01.pdf 2022年9月アクセス)

少子高齢化が進展している日本で、高齢者は増え続けています。自分の親や大事な人が住む家がなくて困っている状況を、想像してみてください。考えただけでゾッとしますよね。決して他人事ではありません。

低所得者の生活保護の受給世帯も右肩上がりに増えています。新型コロナウイルスの影響で倒産する企業、失業される人も増えています。

住む家がないのは切実な問題です。どうせ賃貸経営をするのなら、困っている方に住宅を提供して喜んでほしいと私は願っています。

恵比寿 吉之助

中高年の資産所得倍増アドバイザー

※本記事は『50代から年収100万円アップできる老後資産構築法』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

(※写真はイメージです/PIXTA)