スマートフォンの普及につれお支払いもデジタルに。日本でもスマホ決済が浸透中だが、政府主導のデジタル化が進むインドでは物乞いもQRコード決済の時代になってるもよう。
先日インド人Xユーザーのガウラフさんが、地元の町で出くわしたとあるシーンにショックを受けた。それは物乞いにきた視覚障がい者の男性が、QRコードを使ったモバイル決済で施しを受けていたからだ。
かねてからこの地域に関わってきたガウラフさんは、デジタル決済を巧みに使いこなす彼を見て、いろいろ考えさせられたそうだ。
先月インド・アッサム州の都市グワーハーティーで、インド人Xユーザー、ガウラフ・ソマニさんがこんなシーンに遭遇した。
信号待ちで車が止まったタイミングで、物乞いの男性が寄ってきた
まあここまではインドでよくある風景だ
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やってきた見知らぬ男性は目が不自由だった
だが車内に手を伸ばすことはなく
首から下げたQRコードのカードを提示してみせる
ご入金はこのコードからよろしく!ってことなのか?
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そこでさっそく同乗者がコードをスキャン
現れたアカウントに10ルピー(約1.5円)を送金してみた
すると… なんと男性はスマホの音声で入金を確認!
なるほど音声サービスか。物乞いのお金集めもQRコードでデジタル決済だなんて、いやはやすごい時代になったものだ。
テクノロジーが障壁さえ超越する力に
Xで動画をシェアしたガウラフ・ソマニさんは、これまでアッサム州政府の開発評議会の副議長や、同州インド専門家会議の会長を務めるなど、この州の政治や社会活動に長らく携わってきたが、地元で目にしたこのシーンには度肝を抜かれた。
Stumbled upon a remarkable scene in bustling #Guwahati – a beggar seamlessly integrating digital transactions into his plea for help, using PhonePe! Technology truly knows no bounds.
— Gauravv Somani (Modi Ka Parivar) (@somanigaurav) March 24, 2024
It's a testament to the power of technology to transcend barriers, even those of socio-economic… pic.twitter.com/7s5h5zFM5i
職業も世襲制など、日本においてはカーストと呼ばれる身分制度が定着しているインドにおいて、古くからある隔たりをあっさりと超越できる新たなもの、つまりテクノロジーの力を強烈に見せつけられた気分だったそうだ。
テクノロジーに国境はない。それは社会的、経済的地位の障壁さえ超越する力の証だ。慈悲と革新の進化を雄弁に物語る、示唆に富んだ瞬間でもある。人間性とデジタルの進歩の興味深い交差について思いを馳せよう
物乞いの生計に選択肢をもたらすデジタル化
ガウラフさんによると、その男性は PhonePe というインドのモバイル決済企業が開発したアプリを使っていたという。
なおインドで物乞いによるモバイル決済はこれが初のことではなく、別の地域でも同様にQRコードを使う男性の姿が話題になっていた。
インドで推進中のデジタル化政策(デジタル・インディアキャンペーン)は、このような形でさまざまな変革をもたらしているようだ。およそ10年前から政府主導で始まったこの政策には世界中が注目している。
ドイツの統計サイトStatisaによると、2020年の調査の時点で、インドの家庭のおよそ31%が、スマホにモバイルバンキング アプリを持っており、32%が日常的にデジタル決済を利用しているそうだ。
まさにインド人もびっくりなデジタル化の流れは、物乞いの人々の生計にこれまでなかった選択肢をもたらし、社会的な偏見を減らす一助になるともいわれている。
複雑なインドの物乞い問題
ただデジタル化はあくまでも、物乞いにとっての新たな手段になりうるというだけで、インド全土の物乞いにまつわるすべての問題を解決するものではない。
インドには約40万人の物乞いがいるとされ、経済的な困窮はもちろん、教育や雇用機会の不足など複数の問題を抱えている。その解決にはより包括的な対策が必要だという。
とはいえインドにおけるデジタル化は、現地の人々に前例のない衝撃をもたらしているようだね。
References:ndtv / somanigaurav/X / indiatimes / statistaなど /written by D/ edited by parumo
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