NASAの月周回無人衛星「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」が、月の上空を高速で移動する奇妙な物体と遭遇し、その画像を地球に届けた。
画像には細長くてまるでサーフボードのような飛行物体がはっきりと映し出されている。
一部メディアではマーベルのスーパーヒーロー「シルバーサーファー」に似ているとも伝えているが、NASAによるならUFOでもエイリアンの巨大構造物でもないという。
はたしてこの謎めいた物体の正体とは? 答えはこの後すぐ!
NASAによれば、その正体は韓国航空宇宙研究院(KARI)の月探査機「タヌリ」だという。
タヌリは、2022年に地球から月へと打ち上げられた同国初の宇宙探査機で、月を周回しながら永久影に隠された水の痕跡を探っている。
この写真が撮影された時、LROとタヌリの両機はほぼ平行に飛行していた。そのおかげで、このような決定的瞬間が撮影されたのだ。
なぜこのような形になっていたのか?
じつのところ、タヌリは細長いサーフボードのような形をしていない。それなのに、画像のような奇妙な姿をしているのは、LROとタヌリの速度差が原因だ。
撮影の瞬間、LROとタヌリの両機には時速1万1500kmもの差があった。そのおかげで、ほんの0.338ミリ秒の露光時間でありながら、タヌリが10倍にも引き伸ばされて映ったのだ。
本物のタヌリは四角い箱のような機体で、その両脇から2枚のソーラーパネルを生やしている。
韓国航空宇宙研究院(KARI)の月探査機「タヌリ」のイメージ図 / image credit:Ministry of Science and ICT / WIKI commons
以下の画像では、月の表面にタヌリが写っている(白い四角い枠の中)。左上に見える大きなボウル型のクレーターの幅は12 kmだ。
タヌリは2022年8月にスペースXのファルコン9で打ち上げられた韓国初の宇宙探査機で、約680kgの機体には、永久影観測用カメラをはじめとする各種観測機器が搭載されている。
[もっと知りたい!→]地球の200倍。月面の宇宙放射線量を史上初めて正確に計測(ドイツ・中国研究)
主な任務は、同国の月探査・宇宙技術を発展させること、ならびに水などの月の資源を探り、将来的な月面着陸のための情報収集をすること。
その名は韓国語で、「月(タル)」と「楽しさ(ヌリダ)」を意味しているそうだ。
References:NASA’s LRO Finds Photo Op as It Zips Past SKorea’s Danuri Moon Orbiter - NASA / NASA spacecraft snaps mysterious 'surfboard' orbiting the moon. What is it? | Live Science / NASA Shares Pics Of Mysterious "Surfboard" Orbiting The Moon / written by hiroching / edited by / parumo
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