日本のコンビニの質の高さは海外からの観光客も驚くポイントとしてたびたび話題になります。逆に商品力に差がないとも言えますが、競合と差をつけるためには何が必要なのでしょうか? コンビニ7店舗を経営するフランチャイズオーナー、長瀬環氏著『儲かるコンビニのフランチャイズの教科書』(自由国民社)より一部抜粋し、競合と差をつけるための4つの原則について紹介します。

商品力に差がなければ、競合と差をつけるには「人」しかない

コンビニエンスストアであれば、セブンイレブンローソンファミリーマートナショナルチェーンとして展開しています。ファミリーレストランであれば、デニーズココスガストなどがあります。

コーヒーショップはドトールスタバコメダ珈琲が有名ですね。

様々なチェーンがあり、それぞれが差別化を図って商品開発を行っています。

しかし、競争を繰り返してきたことで高いレベルでの競争となり、単品ごとには違いがあったとしても、大枠で見た時には差がなくなっているというのが、実際のところではないでしょうか。

少し前にセブンイレブンローソンファミリーマートの3社が専門家から商品の味の評価をして点数を競うテレビ番組がありました。

このテレビ番組ではおいしいと評価された商品の数は3社ともほぼ同数でした。

「実力が伯仲しているんだな」と改めて実感しました。

これはコンビニに限ったことではなく、他の業態でも同じであると思います。

日本の商品の品質は非常に高い。

どこで食べても、どこで買っても、それなりの品質は保証されているのではないでしょうか。

「人」への教育を徹底するための「基本4原則」とは

では、商品力に大きな差がなかったらどこで競合と差をつけるのか。

それは「人」です。

私の加盟するコンビニチェーンでは、「人」への教育を徹底するため「基本4原則」というものがあります。

フレンドリーサービス」「クリンリネス」「品揃え」「鮮度管理」の4つで、ここにこだわっていきましょうね、という「原則」です。

私はこの4つの原則はそれぞれ2つずつに分けることができると思っています。

「クリンリネス・鮮度管理」と「フレンドリーサービス・品揃え」です。

「クリンリネス・鮮度管理」は、簡単に言うと「清潔な状態に店舗を維持すること」と「おいしい状態でお客様に商品をお届けすること」です。

これはどんな立地のどんなお店であっても普遍的な部分です。

「正解がある仕事」と言うことができるでしょう。

ルールを決めて、どの時間に何を行うかを徹底することで解決できます。

「稀に汚いな」と思うお店がありますが、多くのお店では綺麗な状態を維持できているのはルールさえ決めてしまえば、継続できることだからです。

誰がやっても同じレベルにすることができる教育が必要です。

それに対して、「フレンドリーサービス・品揃え」は言葉の通り「接客」と「品揃え」です。

これは立地・客層の影響を大きく受けます。

「正解のない仕事」と言えます。

経営者の最もやらなければいけない仕事が「人の教育」だといえるワケ

例えば、住宅地立地のお店と国道沿いのお店を簡単に比較しましょう。

住宅地立地のお店はスーパーのような使われ方をすることが多いです。

冷凍食品や食パン・牛乳などが売れるでしょう。

絶対的なお客様の数は少ないですが、来店頻度が高い。

週に3回とか毎日、多い方は1日に2〜3回来店されることがあります。

常連客が多いので、求められる接客も「会話」ができるような接客になるでしょう。

一方で、国道沿いのお店の場合、長距離を移動するトラックの運転手やビジネスパーソン、週末になれば行楽に出かける家族連れなどが多く立ち寄ります。

大きな国道であれば片側2車線、3車線なので反対車線からお店に入ることはできません。

なので、一度立ち寄ったお客様が1日のうちに2度・3度立ち寄る可能性は低いでしょう。このお店では冷凍食品や食パン・牛乳よりも、ワンハンドで食べられるサンドイッチやおにぎり、缶コーヒーなどが多く売れると思います。

常連客の比率が少ないから会話よりも「スピード」重視の接客が求められるのかもしれません。

このように立地・客層によって求められる接客も品揃えも大きく異なってきます。

競合する企業間での商品のクオリティは大きな差がなくなってきています。

しかし、商品を仕入れるのも並べるのも販売するのも全て「人」です。

その店の客層に合った商品の品揃えをし、選びやすいように陳列を行い、にこやかな接客でお客様を送り出す。それは必ず「人」が行っています。

その「人」を教育することこそが経営者の最もやらなければいけない仕事です。

(※写真はイメージです/PIXTA)