作戦実行には殆ど影響がない?

近いうちに火力差は10:1になるという警告も

アメリカ欧州軍司令官兼北大西洋条約機構(NATO)連合軍最高司令官であるクリストファー・G・カヴォリ陸軍大将は、アメリカ下院軍事委員会でロシア空軍の被害状況について解説しました。

その報告によると、2022年2月から現在に至るまでにロシアは空軍の約10%に相当する戦力を失っているものの、作戦を実行する軍事的な能力としては殆ど影響を受けていないとの見解を示しました。

A-50早期警戒管制機の撃墜など特筆すべき戦果はあったものの、全体的な大きな影響でなく、特に、戦略爆撃などを担当する爆撃機部隊には重大な損失は見られないとのことです。

陸上の戦力に関しても、侵攻序盤に大きな被害を受け、2024年現在も続くウクライナ軍の頑強な反撃により2000両以上の戦車を失い、人的被害もかなり出ているものの、ロシア軍の部隊再建スピードはかなり早くなっているそうです。これは、イラン北朝鮮からの弾薬や無人兵器の購入、徴兵の上限年齢を27歳から30歳に引き上げたことなどが影響しているそうです。

また、現状でもウクライナの約5倍の砲弾をロシアは発射しており、火力かかなり優勢だと解説。さらに、アメリカの軍事援助がなければ、ロシアの優位はさらに高まり「数週間のうちにこの火力差が10:1に広がる。これは仮定の話ではない」と断言しました。

ウクライナとの戦闘で対地攻撃を担当することの多いSu-25(画像:ロシア国防省)。