ドジャース打線に苦心したこの日のダルビッシュ。しかし、大谷とのマッチアップでは違いを生み出した。(C)Getty Images

 現地時間4月15日に敵地で行われたドジャース戦にパドレスダルビッシュ有が先発登板。5回(92球)を投げ、被安打4、四死球2、3失点、2奪三振で降板し、開幕から登板5試合でシーズン未勝利となった。

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 この日は制球に苦しんだ。試合後のフラッシュインタビューで「最初から最後まで自分の中では良いところがあんまりなくて、良い方向に持っていくことができなかった」と振り返ったように、ボール先行の投球が続いたダルビッシュは序盤から球数を擁した。

 それでも注目の対決では、見事にライバルをねじ伏せた。大谷翔平ドジャース)との今季2度目の対決である。

 日米通じて初めての対戦となった韓国・ソウルでの開幕戦(現地3月20日)は、2打数1安打。ほぼ互角の対決を終え、ダルビッシュは「ヒットを打たれた後に自分の中ではちょっとニコッとしてしまって、なんだかんだ情が入ってしまったんだな」と振り返っていた。

 そこから約1か月後に迎えた第2ラウンドはダルビッシュの完勝だった。無死二塁の局面で迎えた第1打席は、見逃しと空振りで大谷があっさりと追い込まれるも、そこから3球のファウルで粘る。しかし、最後はカウント1-2からの7球目、内角低めに沈む93.2マイル(約149.9キロ)のカットボールに手が出て空振り三振となった。

 2度目の対戦は3回2死無塁の局面だった。ここでは初球から3球連続ボールとダルビッシュが後手に回ったが、カウント3-0から大谷が4球目を空振り、5球目をファウルにして、フルカウントとなる。そして最後は外角にやや甘く入った92マイル(約148キロ)のスプリットを打たせ、三塁への力のない邪飛とした。

 この試合での最後の対決はダルビッシュが4回に3点を失って迎えた5回に訪れる。1死無塁と比較的に自由が与えられたであろう打席で、大谷は積極果敢に打ちに出る。カウント0-1からの2球目のスライダーを空振るも、そこから2球連続でファウルにして好球を待った。

 パドレスからすれば、もう1点も与えたくない展開。そんな緊張の局面でダルビッシュも集中力を切らさなかった。カウント0-2と追い込んでから粘られたが、最後は外角低めに89.3マイル(約143.7キロ)のカットボールを沈め、ふたたび空振り三振に切って取った。

 この回をゼロに抑えたダルビッシュはここで降板となり、勝利投手の権利は与えられなかった。しかし、序盤で試合を壊さなかった彼の粘投が、7回の逆転劇に繋がったのは間違いない。

 試合後のフラッシュインタビューで2打席目の対戦直後に「ボールばっかでごめんね」と大谷に声をかけたこと明かしたダルビッシュ。「ちゃんと勝負できていなかったという感じがしたので申し訳なかった」と反省しきりだったが、「あそこだけ思いっきり投げた」というギアを上げた投球で2三振を奪ったのは見事と言うほかにない。

 メジャー13年で百戦錬磨の投手へと成長したダルビッシュの矜持を見た大谷との勝負。二人が放った雰囲気は、まだまだ続きを見たくなる独特なものがあった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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