2024年4月8日、アメリカでは待望の皆既日食を見る機会に恵まれた。月によって太陽のすべて隠れて見えなくなる皆既日食をアメリカで見られる機会が数十年ぶりに訪れたのだ。
1978年のある日、アメリカの中学校で理科を教えていたパトリック・モリアーティ先生は、生徒たちにこう熱く語った。
「2024年の皆既日食をみんなで一緒に見よう!」
46年後、ついにその日が訪れた。彼の教え子約100人が、モリアーティ先生の自宅に集まり感動の再会を果たす。かつてあの教室で交わした約束が、実現することになったのだ。
Teacher makes good on decades-old promise to watch eclipse with former students
当時22歳だったパトリック・モリアーティ先生は、ニューヨーク州ロチェスターにあるスプライ中学校で、教師としての第一歩を踏み出した。
熱意あふれる理科教師だった彼は、不思議と謎に満ち溢れた宇宙と自然について、生徒たちに興味を持ってもらいたいと願っていた。
ある日の授業で、先生は皆既日食について話をすると、生徒たちにこう提案した。
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次にこのあたりで皆既日食が見られるのは、46年後の2024年4月8日なんだ。そのときはみんなで集まって、いっしょに観察しよう!
あまりにも遠い未来の話過ぎて、冗談だろうと笑いながらその話を受け流していた生徒らだが、先生は本気だった。
その後16年間に渡って、授業を受け持った生徒たちに同様の提案をし続けたのだ。
先生の自宅に約百人の教え子たちが集結
当時はまだインターネットが普及していない時代だった。先生は「新聞に広告を載せるから、忘れずにチェックするように」と言っていたが、誰もが自由にネットでつながれる時代になると、モリアーティ先生は、Facebookのグループを立ち上げて参加者を募った。
先生の本気度が伝わると、元生徒たちから相次いで参加表明があった。最終的には約百人もの元生徒が、このイベントに参加することになったのだ。
そしてついに迎えた2024年4月8日(日本時間は4月9日)皆既日食の日、68歳となったモリアーティ先生の自宅には、日食の始まる1時間前から続々と教え子たちが集まってきた。
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先生も生徒もお互いに年を取り、先生はなかなか名前と顔が一致しなかったそうだ。
禿げたり白髪になったりした生徒たちが、今でも「先生!」って感じで私を見るのは面白いね。大人になった彼らの顔の向こうには、確かに14歳の生徒たちの面影があったよ。
モリアーティ先生は、この日のために地元のピザ屋にデリバリーを頼み、日食観察用メガネを 130 個購入した。
イベントは和やかに進み、彼らは46年越しの皆既日食を観察した。
残念ながらこの日は曇りで、先生の用意したメガネはあまり役に立たなかったようだが、太陽が月に隠れた瞬間、周囲は夜のように暗くなり、全員がその神秘的でスペクタクルな光景に魅了されたそうだ。
次は20年後の皆既日食でまた会おう!
日食が終わり、いよいよ解散という時になって、モリアーティ先生は教え子たちに新たな提案をした。
アメリカで、次に皆既日食が見られる20年後に、もう一度みんなで集まろうじゃないか。
その時、モリアーティ先生は88歳となる。思いがけない先生の言葉に、元生徒たちの間からは、あの日の教室での反応と同じように笑い声が上がった。
ただし今回の笑いには疑いや失笑は含まれていなかった。
ぜひ20年後もお元気で、教え子たちの日食観測会を楽しんでいただきたい。
以下の映像はNASAがXに公開した皆既日食の映像だ。下の映像は宇宙から撮影したもので、月の影が大陸を横切るにつれ、巨大な暗い雲がアメリカの広大な地域を覆い尽くす様子が映しだされている。
Ever seen a total solar #eclipse from space?
— NASA (@NASA) April 8, 2024
Here is our astronauts' view from the @Space_Station pic.twitter.com/2VrZ3Y1Fqz
ちなみに日本で次に皆既日食が見られるのは2035年9月2日だ。今から11年後となる。ただし皆既日食が見られるのは北陸地方と北関東が中心で、本州では1887年8月19日以来、実に148年ぶりの皆既日食になるというのだから、今から準備をしておこう。
References:A Teacher Promised His 1978 Class an Eclipse Party in 50 Years–And He Just Hosted It / written by ruichan/ edited by parumo
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