10カ国、20数都市、飛行距離20万キロ以上。この一連の数字は、瑞麗家紡の費中富(フェイ・ジョンフー)会長が2023年に行った海外市場開拓に関するデータだ。費会長の営業努力により、受注先は100社近く、受注総額500万ドル以上に達した。

浙江省桐郷市に位置する瑞麗家紡は、海外市場の開拓に全力を挙げてきた。

創業から20年近く、費会長は一貫してソファー・ファブリック関連分野に力を注ぎ、主要なデザインのソファはヨーロッパで売れ筋商品となり、国内での生産能力と販売量はトップの地位にあった。しかし、2022年には輸出受注量が一時的に大きく減少した。

一つには、コミュニケーション上の妨げがその要因となった。注文の交渉に計3~4カ月かかり、最終的には外国企業に注文を取られたこともあった。費会長によると、対面でのコミュニケーションが減少したため、海外の顧客の中には同社の状況が分からず、契約通り生産できないのではないかと懸念する顧客もいたという。

また、外需の低迷も一因だ。長年提携関係にあった外国企業が突然解散を発表し、15万ドル相当の商品が出荷できなくなったこともあった。こうした環境の変化により、一部生産停止に追い込まれた。しかし、費会長は「立ち向かえば、乗り越えられない試練はない」ことをよく知っていた。

2023年の貿易市場を思い起こし、費会長は「時間との競争だった。走り出して初めて希望が持てた」と感慨深げに語る。

この1年のスケジュールは多忙だった。1月には、ドイツフランクフルトでホームテキスタイル展に参加し、新規および既存の顧客と商談し、デンマークのオーフスとポーランドのカトヴィツェでそれぞれ10万ドル、20万ドルの受注契約を結んだ。3月には、ドイツベルリンで家具市場を訪れた。5月には、ハンガリーブダペストで7万ドルの受注契約を結び、ドイツケルンでも120万ドルの受注契約を締結した。6月には、フランスリヨンで昔からの顧客を訪れた。9月には、日本の大阪で展示会に参加した。11月には、ポーランドのワルシャワで35万ドルの受注契約を締結した。

訪問時の誠実さと中国製品の品質は、顧客の心を度々動かした。ドイツのフライブルクでは、地元の企業が特別な「プレゼント」を用意していた。企業の役員らが臨時の楽団を組み、中国の曲「鴻雁」を演奏したのだ。この曲は、以前彼らが訪中した際、費会長が車内で流していたものだった。双方はその場で45万ドルの契約を締結した。海外へと赴き、海外顧客と商談を重ねる中で、費会長は受注を重ね、工場は再び忙しくなった。

フランスのパリで2月29日オリンピック村が正式に引き渡され、瑞麗家紡の生産した3000台のソファーが宿舎の標準装備家具となった。苦労して勝ち取ったこのオリンピック村の「入場券」も、費会長の受注営業が実を結んだものと言っていいだろう。

国際市場に認められた背景には、製品の革新と品質向上への追求がある。ニーズの変化に対応するため、瑞麗家紡はイタリアにスタジオを設立し、デザインを研究している。さらに、ドイツの有名な家具企業と提携して、新製品の開発を強化している。また、国内工場では、原材料の調達、生産加工、品質管理などのプロセスを絶えず最適化し、信頼できる品質保証を提供している。(提供/人民網日本語版・編集/NA)

浙江省のある企業経営者は市場開拓のために世界を飛び回っている。