コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、原作 魔木さん、作画 じゅらいさんの「呪文もうろ覚えになってきた勇者が終活を始める話」を紹介する。3月22日にX(旧Twitter)で同作を投稿したところ、6.2万以上のいいねと共に多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、原作者の魔木さんに創作のきっかけやこだわりについてインタビューを行った。

【漫画】老いても最強、勇者なのに終活…ギャップに富んだ異世界ファンタジー

■勇者としての重責…共鳴するのは意外な相手だった

長らく勇者として魔物と戦い続けてきた主人公アスランは、戦闘中に火の呪文が思い出せなかったことをきっかけに“終活”を決心する。

まずは武器の整理を試みたものの、安全に処理するには特殊な場所で破壊するか、強い相手に使って耐久力をなくすか…。考えあぐねるアスランのもとに現れたのは、かつてアスランが壊滅させた魔王軍の将軍候補、ヴィルマンテだった。

アスランに恨みを抱くヴィルマンテは、アスランを倒すことで絶望した人間たちを根絶やしにしようと企んでいたが、アスランは素手であっけなく一撃をくらわす。「どんな攻撃を受けようと復活する」と起き上がるヴィルマンテに対し、アスランは「それは良かった!いま魔剣とか妖剣とか処分したくて、刃こぼれする前に使い切りたかったんじゃ!」と余裕の笑みを漏らしたのだった。

10時間の戦闘ののちに圧勝したアスランは、勇者としての重責や孤独感を、今の魔王となら共鳴できるのではないかと再び旅に出る。 “終活ノート”に書き留めていた「やりたいことリスト」の中の、「魔王と仲直りする」「武具の整理」は、果たして達成できるのだろうか——。

実際に作品を読んだ人からは、「めっちゃ面白い」「所帯じみてて好き…」「こんなポジティブに終活したい」といった声が上がっている。

■幾つになっても出会いや経験がある。人生の最後にも希望がある

——「呪文もうろ覚えになってきた勇者が終活を始める話」を創作したきっかけや理由があればお教えください。

連載作品を作る際の打ち合わせ中に、終活など高齢者に関する話題と異世界ファンタジーを掛け合わせると面白いのではないか、という話題になり、その中で初期のプロットを作りました。おじいちゃんのキャラクターをよく描いていたので、そういった描き慣れたキャラクターでファンタジーものをやってみよう、という意識もあったと思います。

——本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。

高齢の勇者が旅をすることで、幾つになっても新しい出会いや経験があるという描写は意図的に描いています。誰しも最後は高齢者になるので、人生の最後にも希望があるようなお話にしたいと思っています。

エンタメ的な部分としては、おじいちゃんなのに滅茶苦茶強いという勇者のギャップ感や、終わりに向かう旅という一種の切なさも見ていただきたいポイントです。

——勇者がポジティブに終活を考えるというギャップのある設定が反響を呼んでいますが、普段、作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか。

普段は動画サイトを見たり、本や漫画を読んだりと雑多に情報を頭に入れている時にストーリーを思いつくことが多いです。

——魔木さんが漫画を描く際に大切にしていることがあればお教えください。

最近は読んでいただいた後にどんな感情になって欲しいのかを意識して漫画を描くようにしています。

意識しても表現するのは難しいですが…。

——今後の展望や目標をお教えください。

「終活勇者」は自分が思っていたより多くの方に読んでいただけたので、今後は更により多くの方に届くように頑張っていきたいと思います。

漫画の内容としては、ファンタジーらしく世界観の部分でも更に広がりを持てるように描けたらいいなと思っています。

——作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

おじいちゃん勇者の旅を通して、人生の楽しさや切なさを表現できたらと思っています。

今後も終活勇者を是非よろしくお願いいたします。

『呪文もうろ覚えになってきた勇者が終活を始める話』が話題/画像提供/魔木さん じゅらいさん