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何度もあった「ブランド買収」の試み いずれも拒否

欧米系の大手自動車グループであるステランティスは、イタリアでの生産中止やブランド売却の報道を「フェイクニュース」だとして否定した。中国企業によるブランド買収の動きは退けたという。

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また、ステランティスはイタリア当局に対し、中国企業による国内でのバッテリーおよび自動車生産を奨励するインセンティブを導入しないよう呼びかけている。

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アルファ・ロメオの新型コンパクトSUV「ミラノ」    アルファ・ロメオ

ステランティスは2021年にフィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)とPSAグループの合併によって設立され、現在14ブランドを傘下に収めている。しかし、フィアットアルファ・ロメオなど、製品の旧式化や販売不振を抱える元FCAブランドの将来については疑問が投げかけられている。

同社のカルロス・タバレスCEOは新型アルファ・ロメオ・ミラノの発表会で、ステランティス社内の複数の幹部がFCAブランドの一部を「殺す(kill)」べきだと提案したことを認めた。また、2021年には欧米の競合他社からアルファ・ロメオ買収のオファーを受けたという。

「実際に起きたことです。しかし、『冗談じゃない』と言うのに1秒もかかりませんでした。アルファ・ロメオは当社の14の強豪ブランドの中で、おそらく最高の宝石です。もちろん、断りましたよ」

「次は中国企業が『ブランドを売ってくれないか』と尋ねてきました。どのブランドかは言いませんが、フランスのものです。わたしは『もちろん、そんなことはしない』と伝えました」

タバレスCEOがステランティス、特にアルファ・ロメオの強みとして例に挙げたのは、最近限定発売された「33ストラダーレ」だ。製品化を実現できたのは、ステランティスの経営が順調で収益性が高いからだと述べている。

ジャンフィリップアルファ・ロメオのCEO)には、戦略会議で製品をアピールする気概、製品を市場投入する情熱、問題を解決する頭脳があります」

アルファ・ロメオのチームはステランティス社内におけるエンゲージメントのベンチマークなのです」

欧州の一部メディアでは、ステランティスの「イタリアからの撤退」が報じられているが、タバレスCEOはこうした報道を一蹴した。

「ステランティスがイタリアに残らない、イタリアに投資しない、フィアットを解体するといったフェイクニュースが飛び交っています。わたしの立場は明確です。これはフェイクニュースです」

新型ミラノの発表会では、イタリアに総額50億ユーロの投資を行っており、その一環としてDCT用の新工場も開設したことを強調した。この投資により、イタリア国内で15の新モデルと2つの新プラットフォームが生産され、新しいバッテリー工場も建設されるという。

また、イタリア当局がテスラBYDといった企業に対し、国内生産に向けたインセンティブ導入を検討しているという報道もある。

タバレスCEOはこれについて、「中国の自動車メーカーと付き合ってイタリアに誘致しようとする人たちは、ボルボを吉利汽車に、MGを別の中国メーカーに売却した人たちと同じ道を歩んでいます。ステランティスではそのようなことはしない。アルファ・ロメオでもありえません」と主張した。


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