スウェーデンの児童文学を映画化、本作で長編映画デビューを果たしたアグネス・コリアンデルが主人公エッラを愛らしく演じている「リトル・エッラ」のクリスティアン・ロー監督が来日し、作品を語った。

原作は、絵本作家ピア・リンデンバウムによる「リトルズラタンと大好きなおじさん」。人と仲良くするのが苦手なエッラが唯一心を許すことができるのは、大好きなおじさんトミーだけ。両親が休暇で出かける間、エッラはトミーと一緒に過ごすのを楽しみにしていた。ところが、オランダからトミーの恋人スティーブがやって来たことで、夢の1週間は悪夢のような日々に一変。トミーを取り戻したいエッラは、転校生オットーの力を借りてスティーブを追い出すための作戦を企てる……。

製作のきっかけは、「前作『ロスバンド』のプロデューサーがスウェーデン人で、監督を探していたのが本作です。この本の原作者のことは知っていましたが、本を読んだことがなかったのです。しかし読んでみるとすごく面白く、ぜひ本作を撮りたいと思いました。元々30ページしかない原作に、肉付けするシーンもありました。クラスメイトのオットーについて、カーチェイスの部分は原作にないので足した部分でもあります」と明かす。ロー監督はノルウェー人だが、「昔からスウェーデンの児童文学は素晴らしいと思っていました。中でも『長くつ下のピッピ』は私のお気に入りです。実は本作ではピッピ役をしていたインゲル・ニルセンにはエッラのおばあちゃん役で出てもらいました」と児童文学の魅力を語る。

エッラのおじさんは同性愛者であり、転校生オットーは移民のルーツを持つ少年と現在の北欧社会の多様性も描かれている。

「原作ではごく自然に描いていましたので、これはぜひ映画でも維持しようと思いました。人間というのは普通の人なのです。エッラはおじさんが好きになった人がたまたま男性だった、女性だとしても違う態度になったかというと違うと思います。男性だから女性だからというのは関係ないと思います」

前作の青春音楽映画「ロスバンド」も少年少女たちが主人公であり、そのみずみずしい描き方が高く評価された。とあるシーンが「グーニーズ」のワンシーンに似ていると指摘されると、「私の人生の中でも大事な映画です。『グーニーズ』へのオマージュという意味であのシーンは取り入れました。他の映画だと『リトル・ミス・サンシャイン』も好きです。映画監督ですとウェス・アンダーソンの作品の構図は好きですね。自分でも影響を受けていると思います」と回答する。

最後に、本作「リトル・エッラ」に込めたメッセージとして、「友情、友達を持つことの大切さを感じてほしい。世界中の人たちが友達を持つことの大切さを知ったら世の中とても良くなると思います。私も幼少期に一人でいる時間がたくさんありましたが、やっぱり友達といる時間は特別だと感じました。ベスト・フレンズ・フォーエヴァーですね」と日本の観客に呼び掛けた。

リトル・エッラ」は全国順次公開中。

クリスティアン・ロー監督