「美大生は歓迎! 美人女子大生も大歓迎!!(笑)」「部屋が古くて初体験が遅れている。」――。不動産会社・のうか不動産(石川県金沢市)の広告を巡り、SNS上で「時代錯誤」「セクハラ」などと批判の声が上がっています。ねとらぼ編集部では、同社にこうした広告を展開した背景について取材しました。

【画像】批判を浴びた広告

 のうか不動産の公式サイトによると、同社は金沢大学など市内の大学周辺の地域を中心に不動産物件を取り扱っています。SNS上では4月15日ごろから、「美大生は歓迎! 美人女子大生も大歓迎!!(笑)」「部屋が古くて初体験が遅れている。」などと書かれた同社の広告に対して、非難の声が広がっていました。

 このような声を受け、のうか不動産は4月15日、公式X(Twitter)で同社の社名が記載された別ののぼりの写真を添付し、「お騒がせしておりました店頭ののぼりは撤収いたしました」と公表。「ご気分を害されたみなさまには心よりお詫び申し上げます」と謝罪しています。

 果たして、こうした広告はいつから掲示され始めたのか。広告方針の見直しなど今後の対応は――。ねとらぼ編集部の取材に対し、同社広報企画室の担当者が背景を語りました。

●担当者「反論の余地はございません」

 批判を浴びた広告の掲出時期について聞くと、担当者は「美大生は歓迎! 美人女子大生も大歓迎!!(笑)」と書かれた広告については、「こちらのキャッチコピー看板は、旧金沢美術工芸大学(金沢市)近くの当社管理物件の壁面に掲げておりました。2009年ごろに掲出を開始し、2010年ごろに掲出をとりやめております」と回答。

 一方で、「部屋が古くて初体験が遅れている。」と書かれた広告については、「こちらののぼりは当社もりの里店(金沢市)前に掲げておりました。さきほど片付けさせていただきました。2009年ごろに掲出を開始しておりまして、一年のうち、数カ月間、掲出しておりました」と説明しています。

 「いずれの広告物につきましても、2009年の本社移転新築時に地元クリエーターに作成を依頼したものです。当方からこのようなテイストにしてほしいと具体的な指示はしておりませんでしたが、提案いただいたものに対してOKを出したのは間違いございません。その時期には社のロゴマークも一新したタイミングでしたので、話題を集めたいという思惑もございました」(担当者)

 キャッチコピー看板は一時期、本社周辺に約50枚掲出していたものの、金沢市の景観条例に抵触するとの指導を受け、すでにほぼすべて掲出を取りやめたとのこと。ただし、担当者は、「デザインや内容ではなく、敷地に対する大きさの比率などが条例に抵触していたため掲出をとりやめたものです。『美大生は歓迎! 美人女子大生も大歓迎!!(笑)』のような表現のキャッチコピー看板は、これ以外にはなかったと記憶しております」と補足しています。

 担当者は批判の声を受け、「時代性やコンプライアンスなどを考慮せず、10年以上前に制作したのぼりを使用してしまっていたことに関しましては反論の余地はございません。配慮が欠けておりました。弊社の広告物により、ご心証を悪くされたみなさまには心よりお詫び申し上げたいと思っております」と謝罪。

 今後の対応については、「弊社では数年前より、LGBTフレンドリー宣言をしており多様性の重視へと舵を切っていたところであります。そういった社の方針と広告表現との間のミスマッチを見過ごしてしまっていたことは恥ずべきであったと猛省しております。今後は時代に即した広告表現を模索して参りたいと考えております」と述べています。

画像出典:のうか不動産公式サイト