吉田修一の小説を映画化したヒューマンミステリー「湖の女たち」の完成報告会見が4月16日、都内で行われ、大森立嗣監督(「日々是好日」「MOTHER マザー」)、主演の福士蒼汰松本まりかが出席した。

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湖畔に建つ介護施設で起きた殺人事件の捜査を担当する西湖署の若手刑事・濱中圭介(福士)は、事件が起きた施設の介護士・豊田佳代(松本)に対して歪んだ支配欲を抱くように。事件が袋小路に入り込むにつれ、ふたりは特殊な関係性に溺れて行く。

本作で"歪んだ"関係を演じることになり、福士は「現場ではセリフ以外、松本さんとは一切会話せず、笑顔を見せることもなかった。本来は、積極的に話しかけるタイプなので、どう思われていたのかなって」と述懐。すると、松本は「嫌いでした! 私、福士くんとは合わないなって(笑)」と即答し、「初日からびっくりするくらい恐ろしくって。変な色気もあって……、変って言ってゴメンね。それ以外の彼を知りたくないと思ったし、私も距離をとって、目も合わせないようにしていた」と現場の緊張感を明かした。

撮影を終えた後、約1年半ぶりにプロモーションで再会することになり、福士は「で、どうでした? 本当の僕は」と恐る恐る質問すると、松本は「役が抜けた福士さんは、めちゃくちゃ好感度が高くて。こんなにしゃべりやすいのって(笑)。会話も弾むし、こんな人だとは思わなかったんです。いまは嫌いじゃないですよ。とっても魅力的」と印象の変化を語っていた。

福士は、これまでのイメージを払拭する難役に挑み、「無理やり(役を)作らず、勝手に圭介が近づいてきてくれた。自分でも想像以上にハマった役」と確かな手応え。クランクインから3日間は、大森監督からNG連発だったと明かし、「着替えするシーンひとつでも、"着替える声"が出てしまって。『仮面ライダー』出身なので(笑)」と振り返った。

また、圭介と佳代の関係性については、福士が「難しいんですよね。作品の中に、生産性というキーワードが出てくるんですけど、ふたりの関係は生産性がないからこそ、美しい側面がある」と持論。松本は「支配する側、される側ですが、逆転して"支配させていた"という見方もできる。こんな言語化できない愛の形もあるんだなと思った」と話していた。

「湖の女たち」は、5月17日全国公開。

(左から)福士蒼汰、松本まりか