半導体市場調査会社であるYole Groupの子会社Yole Intelligenceが、Huaweiの5Gスマートフォン(スマホ)「Mate 60 Pro」に関する技術内容やプロセス、コスト分析などを行った有料レポートを発行、その一部が公開された。

Yoleの行ったリバースエンジニアリングによると、Kirin 9000s SoCの寸法は14.5mm×14.3mm×0.4mm、面積は207mm2、ボールピッチ0.35μmとなっており、同社子会社のHiSiliconが設計、SMICがN+2(7nm液浸ArFマルチパターニング)プロセスを用いて製造されている。同製品が7nmを採用していることは、すでにカナダリバースエンジニアリング会社であるTechInsightsが報じているとおりである。

Kirin9000sは、設計から製造まですべてを中国内で行った初の中国産先端プロセス採用SoCであり、SMICにとっても7nmプロセスを使って量産した初の民生用チップとなる。
ロジックとDRAMの積層パッケージを採用

Kirin 9000sのパッケージは、厚さ0.7mmのロジックパッケージと厚さ0.45mmのDRAMパッケージがPoP(Package On Package)のインターポーザを介する形で積層されており、YoleではLPDDR5 DRAMの主要サプライヤはSK hynixおよびSamsung Electronicsの2社だとしている。

またシステムのプリント基板の配線層数は12層で、Yoleが公開した基板写真からは、HiSilicon、中ONMICRO、中MAXSCEND、中VANCHIP、中Southchip、Bosch、NXP Semiconductors、SK hynixチップが搭載されていることが読み取れる。

従来使われていた米国半導体メーカーのチップはすべて他国のものに置き換えられ、日本製チップもほとんど搭載されておらず、過半数が中国国内から調達されたものとなっている、Yoleでは、ここで重要なことは、中国製チップが、プレミアムスマホの重要なコンポーネントを構成していることであると指摘している。

なお、中国の半導体業界関係者などからは、Huaweiは次世代スマホでSMICの液浸ArFのマルチパターニングで実現した5nmプロセスを採用したSoCを搭載するのではないか、といった話がでている。
(服部毅)

画像提供:マイナビニュース