東京芸術祭2024参加演目として2024年9月に上演される木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』(さんにんきちさくるわのはつがい)の出演者が発表となった。

2006年から京都を中心に活動を始めた木ノ下歌舞伎(通称:キノカブ)。多数の古典作品の現代劇化に取り組んできたその実績は、2024年の今、「キノカブスタイル」と言っても通用し得る団体だ。監修・補綴の木ノ下歌舞伎主宰・木ノ下裕一、演出の杉原邦生のタッグによる『三人吉三』は2014年にKYOTO EXPERIMENTで初演。翌年、東京芸術劇場が若手演劇団体と提携して公演をおこなう“芸劇eyes公演”としてシアターウエストに初登場した。現行の大歌舞伎では上演されることのない「廓話(くるわばなし)」の物語や、初演以来約160年ぶりの上演となった「地獄の場」を完全復活させた5時間に及ぶ通し上演は大きな話題となり、読売演劇大賞2015年上半期作品賞部門のベスト5に選出された。その反響を受け、2020年プレイハウスでの上演が企画されたが、コロナ禍の影響により断念。その後、木ノ下・杉原両氏の活動はそれぞれに大きな発展を遂げ、昨年、シアターイーストにて長期公演を行った東京芸術祭2023参加作品、木ノ下歌舞伎『勧進帳』も好評を博した。2024年、いよいよ機が熟したことから、顔ぶれも新たに、『三人吉三廓初買』を、満を持して上演となる。

物語の中心となるのは同じ「吉三郎」の名をもつ三人の若者。兄貴分の和尚吉三役を演じるのは、今年2月にプレイハウスで上演した『インヘリタンス』での圧倒的なエネルギーでの熱演が記憶に新しい田中俊介。血気盛んなお坊吉三役は、幼少期から活躍を続け、昨年は演出家デビューを飾るなど舞台での活動が注目される須賀健太。女装の盗賊・お嬢吉三役は、音楽、俳優活動ともに精力的におこなう矢部昌暉が演じる。また、和尚吉三の父親・伝吉役に、近年ストレートプレイでも珠玉の演技を見せる川平慈英が登場する。

もう一つのストーリーラインを動かす、お坊吉三の妹・花魁一重役に、若くして着実に俳優としてのキャリアを築く藤野涼子。一重に入れあげて身を持ち崩す商人の文里役に、渋さと色気を兼ね備えた演技で舞台に映像に存在感を示す眞島秀和。文里の女房・おしづ役に、魅力あふれる演技で、舞台で目覚ましい活躍を続ける緒川たまきの顔ぶれがそろった。「吉三郎」の物語と「廓話」の物語の両方をつなぐキーマン・十三郎役は小日向星一が演じる。また、木ノ下歌舞伎や杉原邦生演出作品を支えるおなじみの個性派、武谷公雄、高山のえみ、山口航太、武居 卓、田中佑弥、緑川史絵らが、豊富な舞台経験で物語の世界観を作り上げる。さらに、伝吉の娘・おとせ役と、スウィング俳優は、今後オーディションで選出される。

舞台美術、音楽、衣裳などを刷新し、古典の中に今の時代を鮮やかに映し出すダイナミックな新演出にも注目だ。

東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』