日本の自然主義文学を代表する作家である田山花袋1907年(明治40年)に発表し、日本文学史における私小説の出発点と言われている不朽の名作を映画化した「蒲団」の、ポスタービジュアル、予告編、場面写真が披露された。

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原作では、田山花袋の妻子のある小説家・竹中時雄が、懇願されて弟子にした女学院の学生・横山芳子に恋をし、彼女に恋人ができたことで嫉妬に狂い、破門にしたにもかかわらず強い未練を残すという内容だが、舞台を明治から令和に移し、小説家から脚本家に設定を変更した。監督は「テイクオーバーゾーン」(20)「YEN(DIVOC−12)」(21)、「なん・なんだ」(22)の山嵜晋平。脚本は「戦争と一人の女」(12)や「さよなら歌舞伎町」(14)、「花腐し」(23)など、長年、荒井晴彦と共に脚本を作り上げてきた中野太。

主人公の時雄を演じるのは、「Helpless」「EUREKA ユリイカ」「サッド ヴァケイション」等、青山真治監督の常連俳優として知られ、数々の映画・ドラマに出演する名バイプレイヤーの斉藤陽一郎。今作は「軒下のならずものみたいに」(青山真治監督)以来、20年ぶりの単独主演作となる。

脚本家志望の芳美には、映画「ベイビーわるきゅーれ」で注目を集め、出演作が相次ぐ期待の若手・秋谷百音。時雄の妻・まどか役には「笑いのカイブツ」「一月の声に歓びを刻め」を始め日本映画界に欠かせない名優・片岡礼子。そして、TBS 系日曜劇場「下剋上球児」の熱演で話題を呼んだ兵頭功海は、脚本家を目指している芳美の彼氏の田中秀夫を、映画・ドラマ等数多くの作品に出演している永岡佑は時雄に仕事を依頼しているプロデューサーの海谷を演じる。

本作は、現在、ローマで開催されている映画祭"Asian Film Festival 21"コンペティション部門に正式出品されている他、台湾・韓国での展開も決まっている。

ポスタービジュアルと予告編は、小説で有名な一節「心のゆくばかりなつかしい女の匂いを嗅いだ」を再現したような、中年脚本家の時雄が蒲団に落とす視線が切なく、弟子である芳美に心を奪われ狂わされている様子が伝わるになっている。兵頭功海が演じる芳美の彼氏で脚本家志望の秀夫、永岡佑演じるプロデューサーの海谷それぞれの場面写真も確認できる。

5月11日から K's cinema で公開。

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