1964年に廃止され、2012年に48年間もの断絶期を経て“ガールズケイリン”として復活した女子競輪。「リンカイ!」は、そんな女子競輪に情熱を燃やす少女たちの奮闘を描くメディアミックスプロジェクトで、23年春に始動して以来、ライブ番組の配信や各地で開催される競輪レースとのコラボレーション、ブース出展など、さまざまな形で展開してきた。
 そして満を持したテレビアニメが、毎週火曜日TOKYO MXBSフジにて放送中。今回は、那古屋紗智(愛知・名古屋けいりんがホームバンク)役の北守さいかと弥彦巫子(新潟・弥彦競輪がホームバンク)役の長谷川玲奈に収録の舞台裏を聞いた。

――まずは、ご自身が演じる役についてご紹介いただけますでしょうか。

北守:私が演じる那古屋紗智ちゃんは、お金持ちのお嬢様ですが、その家柄に甘えることなく、自分をしっかりもった自立心の強い子です。競輪に触れて悔しさやもどかしい気持ちを抱くようになり、負けず嫌いなところが出てきます。

長谷川:弥彦巫子はアイドルから競輪選手へ転身した子です。珍しい経歴だと思うのですが、その前職があるからこその悔しさをバネにして競輪に挑んでいます。アイドルグループに所属していたことから、ほかの女の子への接し方を心得ていて、みんなのツッコミ役を担当することもあり、特に紗智とコンビになることが多かったですね。可愛いだけではなく、ギャグチックな一面をもっているのも巫子の魅力だと思います。

――ご自身と役の間に、共通点や共感するところはありますか。

北守:自立心が強いところは似ています。私自身なんでも自分でやりたかったり、挑戦したいという気持ちが強いので、それが共通点ですね。負けず嫌いなところも似ていて、私もなんでも一番になりたいです(笑)。

長谷川:私は元アイドルという経歴が一番の共通点です。新潟出身で、巫子も新潟の弥彦競輪場をホームバンクとしているところも親近感を覚えます。セリフにも共感できることがとても多かったので、生い立ちから似ているんだなと思いました。

――役を演じるにあたって心がけたことはありますか。

北守:基本的には、喜怒哀楽どんな時でもお上品さを忘れないように心がけました。これまでにもお嬢様キャラを演じさせていただく機会が多かったので、スムーズに演じることができました。

長谷川:天真爛漫さを大事に「ブレーキをかけずに思い切りやろう」ということだけを意識していました。難しいことは考えずに、収録現場のライブ感にお芝居を委ね、ありのままに演じています。

――ご自身と競輪の、これまでの関わりについて教えていただけますでしょうか。

北守:「リンカイ!」に出演するまで競輪というスポーツに触れたことはありませんでしたが、子供の頃から自転車は好きでした。「自転車でどこまで行けるかみたいな」みたいなことを友だちと一緒に挑戦してみたり。
私は競艇が好きなのですが、競輪も同じくスピードを競い合う競技ということで、見ていてとても楽しいです。競艇や競馬はボートや馬の能力(性能)も大きく影響しますが、競輪はより身体的な能力がダイレクトに反映され、走者の努力が結果に直結しやすい競技だというところが新鮮ですね。

長谷川:私も競輪にはご縁がなくて、地元の新潟に弥彦競輪場があることもこの作品で知ったくらいです。新しい発見ができてよかったです。

北守:キャストのみんなで一緒にレースを見に行ったこともありますが、とても楽しかったですね。

長谷川:都合が合わず私だけ参加できなかったので、次こそは!

――収録現場で印象深かったエピソードはありますか。

北守:伊東泉役のうみうみ(川村海乃)が場を和ませてくれたので、彼女が座長で良かったなと思いました。テレビアニメ初主演ということもあってか、すごく緊張していたみたいで、主役はマイク前にいるのが当たり前なのに、いない瞬間が多くて。あなたがいないとこの話進まないよ! って(笑)。

長谷川:うみちゃんはドラマや舞台で活躍していた方なので、お芝居に集中すると体も動いてしまうんです。たとえばキャラクターが走っているシーンでは、自分も一緒に手足を動かしていて。それがとても可愛らしかったですね(笑)。

――アニメの見どころや、注目してほしいポイントを教えてください。

北守:紗智ちゃんは、お嬢様なので普段はおしとやか。そんな子が競輪の激しい戦いにおいて、どう勝負をしていくのか、というところに注目してほしいですね。

長谷川:私のように競輪の知らない方でもルールを学びながら、競輪の楽しさを教えてくれる作品だと思うので、少しでも多くの人が競輪に触れるきっかけになったらうれしいです。

――最後に今後の「リンカイ!」プロジェクトに対する期待や意気込み、視聴者のみなさまへのメッセージをいただけますでしょうか。

北守:キャストみんなが仲良く和気あいあいとした収録現場だったので、各話の収録がとても楽しく、最終回が近づくにつれて寂しい気持ちになってしまいました。これまでキャストとスタッフとで作り上げてきた「リンカイ!」ですが、これからは視聴者の皆さまといっしょに作品を盛り上げ、最終回まで走り抜けていきたいなと思っています。

長谷川:本作を通じて、競輪をたくさんの方に知っていただきたいなと思います。私も競輪のことは何も知りませんでしたが、実際に触れてみるととても奥が深く、知れば知るほど楽しかったです。競輪場に行った時に、各選手のバックボーンを勝手に妄想するのもおもしろいなって思っています。ぜひ、本作を見たら競輪場に足を運んでみてください。
また、各キャラクターに、ホームバンクとなる競輪場が設定されているのも本作のおもしろいところだと思うので、全国の競輪場とコラボレーションしたイベントをたくさんやりたいですね。「リンカイ!」という作品にとってはもちろん、競輪にもプラスになるwin-winな関係を築いていけるのではないかと思います。