ネット上でも「何者だ!?」と話題沸騰の白桃ピーチよぴぴ
ネット上でも「何者だ!?」と話題沸騰の白桃ピーチよぴぴ

関西を中心に注目を集めている若手芸人がいる。フリフリな服装に、ぶりっ子な口調としぐさ、そして聞き取れそうで聞き取れない早口で漫談をする白桃ピーチよぴぴだ! 年末年始の特番で有名MC陣に刺さっていたよぴぴに、インタビューを敢行した!

【写真】バナナマン、千鳥、麒麟・川島氏にブッ刺さりの白桃ピーチよぴぴ

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■話題のネタが生まれたどしゃ降りの帰り道

――アイドルチックな衣装、キャピキャピした声としぐさ、畳みかけるような早口で、関西を中心に話題になっている白桃ピーチよぴぴさんですが、ご自身の芸風をひと言で伝えるなら?

よぴぴ 「かわいいぶりっ子アイドル漫談」って言ってま~す! 2019年の『オールザッツ漫才』(MBS)でやった広瀬すずさんになりきったネタが私の代表作です。広瀬すずさんのファンの方々に怒られるかなって思ったら怒られなくて安心しました!

――アイドルの自己紹介っぽいぶりっ子な口調で支離滅裂なトークを繰り広げ、「すずの、ギャグは、どないさかい」から一気にまくし立てるネタですね。

よぴぴ NSC在学中、ネタ見せの授業の前日に全然ネタが浮かばへんくて。難波で同期と終電まで飲んだ帰り道に思いつきました。どしゃ降りの深夜、地蔵とかお寺とかある道を歩いてたときに覚醒して(笑)。

広瀬すずさんがめっちゃ好きやったのもあったし、高田純次さんが「どうも~、ジョージ・クルーニーです」とかって最初だけボケるじゃないですか。それにインスパイアされて。

翌日、コメダ(珈琲店)でワ~ッと文字に起こして本番を迎えたんですけど、そのときはよぴぴではなく、エネルギー野田っていう、こなれすぎてまったく感情が乗ってない架空の芸人としてネタをやりました。

――エネルギー野田として、広瀬すずになりきる、って複雑な構造ですね(笑)。架空の芸人としてやったのはなぜですか?

よぴぴ ん~、けっこうピン芸人ってサングラスかけるんですよ。たぶん「化けたい」「自分としてスベるのが怖い」「視界が暗くなって無敵になった気になれる」っていうのがあって(笑)。そんな感じでエネルギー野田になったんでしょうね。でも、そのネタの評価が上々やって!

特に後半の口上。私としてはこなれ感を出したくてアイドルのキャッチフレーズみたいなのを早口で言ってたんですけど、先生とか同期から「その早口がおもろい」って言われて、そっちに寄せていきました。

■松ちゃんさんに会うことが夢

――不思議な雰囲気のあるよぴぴさんですが、幼少期ってどんな感じだったんですか?

よぴぴ ちっちゃい頃から目立ちたがり屋のひょうきん者でした! 幼稚園の頃、皆が将来の夢を言っていく場面で私だけ「将来は幽霊になります! 死んだらみんな幽霊になるから」ってボケて、キーンッてスベった記憶があるんです。

そのときは「ボケ」って言葉も「スベった」って言葉も知らんけど、なんかそれが強烈な体験として残ってて。人生の初スベリなんだと思う。

あと覚えているのは、小3のとき、私の一番の親友の子が新喜劇を見に行った翌週、私を誘って、ふたりで1ヵ月くらい放課後に即興コントをしてました。新喜劇に感化されたんでしょうね。私もお笑い好きだったんで誘ってくれたんやと思うんですけど。

今考えたら、そんなにクオリティは高くなかったけど、そこでクラスメイトの皆に笑ってもらえたのがめっちゃ気持ち良くて。即興コントをやっているうちに「将来、絶対吉本入ろう!」ってふたりで話していました。それがお笑いの道に進んだ原体験かも!

「目標は松ちゃんさん(松本人志)。一度だけお会いできたんですけど、もっと共演したい!!」
「目標は松ちゃんさん(松本人志)。一度だけお会いできたんですけど、もっと共演したい!!」

――小学生の頃から即興コントはすごいですね! ちなみによぴぴさんが影響を受けたテレビ番組は?

よぴぴ うちは関西にしては珍しく、新喜劇とかを見る家ではなくて。でも、そんな環境なのに『M-1グランプリ』は好きやったし、漫才の番組を見て「カッコいい」って思ってたんです。誰よりもお笑いに詳しくなりたいって気持ちが強くて、もうホンマに小、中、高と1週間分のテレビ欄を見て、お笑いの番組を全部録画する、みたいな。

『ダウンタウンDX』(読売テレビ日本テレビ系)とかを見て松ちゃんさん(松本人志)に憧れたし、『笑う犬』シリーズ(以降すべてフジテレビ)だけは親も好きだったのか一緒に見てて(笑)。『めちゃ×2イケてるッ!』とか『はねるのトびら』、高校時代は『爆笑レッドシアター』を毎週チェックしてました。

ただ、中高は部活が忙しくてホンマにサッカーしかしてなくて、その後、浪人して、大学でも留年してるんですけど、その間、人前でネタをやるとかはまったくなくて。漫画やアニメも好きだったので、大学卒業後の2年間は声優の専門学校に行ったんです。

でも、そのときも夢が「声優で成功して松ちゃんさんに会いたい」やって(笑)。「それならお笑いの道のほうが早いんちゃうかな?」と思って、27歳でNSCに入りました。声優を目指すコにお笑い好きがあんまりいなかったので、NSCでお笑いの話が通じたときに「ココが私の居場所や!」って思いました。

■トレードマークの女装のきっかけ

――よぴぴさんが女装を始めたきっかけは?

よぴぴ 小学生の頃から身長がちっちゃくてナヨナヨしてたから、かわいいキャラやったんですね。もともとかわいいものとかも好きだったので、「自分もかわいくなりたい」って思いもあって。高校生くらいの頃に女装に興味を持ち始めました。

本格的に始めたのは大学4回生のとき。「このまま社会人になったら一生、女装できないかも」と思って。実際はそんなことないのに。新宿で開催されていた日本で一番大きな女装イベントのアイドルユニットオーディションを受けたんです。14年6月、深夜バスで東京に向かって、都内のサロンで初めてメイクしてもらいました。残念ながらオーディションには受からなかったですけど。

ただ、声優学校とNSCではまったく女装しませんでした。特にNSCは「私が女装することで別の芸人がハマって自分よりかわいくなったらどうしよう」って恐怖心もあったからよけいに(笑)。

あと当時は千原ジュニアさんの本『14歳』(講談社)とか松ちゃんさんがパーソナリティのラジオ番組『放送室』(TOKYO FM)に感化されてとがっていたから、女装する感じやなかったんです。先生や先輩によく歯向かってましたし。普段はナヨナヨしてるけど、スピリットオラオラっていう(笑)。

――そんな中で、女装を解禁したタイミングは?

よぴぴ NSCを卒業すると2ヵ月に1回、芸人が20組くらい出るオーディションライブがあって。そこで1位にならないと次のステージに進めないんです。最高4位ぐらいになったんですけど、1位が遠くて、何かせなヤバいと思い始めて。

そんなとき、オーディションライブの当日、朝起きて鏡を見たらめっちゃブスやったんですよ。髪型もちょっと変やったし。「これを直すにはもう女装しかない」と思って。ウィッグかぶったら髪ごまかせるし、メイクすれば顔もこまし(小ぎれい)になるから。

ドン・キホーテでJKっぽいコスプレ衣装も買ってたから「これでええわ」と思ってライブに出たんです。それが19年10月。お客さんにもそんな引かれへんかったし、私もなんか自信持ってできて。その芸風で『オールザッツ』でも注目してもらえたし。

ちなみにNSCに入った2018年から『R-1グランプリ』『M-1グランプリ』『キングオブコント(KOC)』に出ていて、3冠制覇を目指しています! 実は3大会とも準々決勝まで行けてるし、まだ誰も達成していないので、なんとかかなえたいと思ってます。

あと、今ってひとりで何組もユニットを組んで『M-1』に出るのがはやってるじゃないですか。ホンマのハシリはおいでやす小田さんなんですけど、私も19年から複数組のユニットで出てるんで、若手では一番早いんです。誰も気づいてへんから、もっと言っていきたいと思います(笑)。

――今年に入り、『お笑いエスポワール号』(TBS系)など多くの番組で活躍しています。大阪から東京に進出したい気持ちは?

よぴぴ めっちゃ東京で売れたいです! 東京っておるだけでテンション上がるし、(新宿)ゴールデン街は女装の店もあるし。目標は松ちゃんさん。一度お会いできてめちゃめちゃうれしかったんですけど、もっと共演したい!!

あとラジオっ子やったんで、『JUNK』(TBSラジオ)か『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)にも出てみたい。

ただ私、借金がめっちゃあって......。今、実家に住んでるから家賃を払わんでもいいのにカツカツやし、これでひとり暮らししたらヤバい。脱毛に加えてAGA(薄毛)治療もしてて、散財癖もあるからもう10年以上リボ地獄やし、部屋もゴミ屋敷みたいだからそれも処理してからじゃないと(苦笑)。いろいろ落ち着いたら東京進出したいです!!

●白桃ピーチよぴぴ 
兵庫県出身。大学卒業後に声優の専門学校に通った後、NSCに入学。41期生。『R-1グランプリ』『M-1グランプリ』『キングオブコント』の3冠を目指しており、3大会とも過去に準々決勝進出を果たしている。若手の中では最も早く、複数ユニットを組んで『M-1』』に出場し始めた。

取材・文/鈴木 旭 撮影/榊 智朗

ネット上でも「何者だ!?」と話題沸騰の白桃ピーチよぴぴ