東京都現代美術館にて、シンガポールを拠点に活躍するアーティスト、ホー・ツーニェンの個展が開催されている。2024年7月7日(日)まで。

1976年生まれのホー・ツーニェンは、これまで映像インスタレーションやパフォーマンスなどを手がけてきた。映画やアーカイブ資料などを引用・再編集し、歴史における複層的な視点を浮かび上がらせる作品や、日本を含む東南アジアの近現代の地政学に関心を寄せた作品にも取り組んでいる。

本展では、2003年のデビュー作『ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり』を含む6点の映像インスタレーション作品、国内初公開となる最新作が紹介される。

3対6面のスクリーンとVRで構成される『ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声』は、コロナ禍の2021年に、山口情報芸術センター(YCAM)とのコラボレーションで制作された作品。太平洋戦争と深い関わりがある京都学派の哲学者たちが取り上げられ、大東亜共栄圏建設への考察や対話、彼らのテキストや講演などから制作された映像が映し出される。

VRは、会場に置かれた黒い畳の上で、ヘッドマウントディスプレイを装着すると、開戦直前に京都の茶室で行われた座談会に同席していたり、西田幾多郎の「無」の概念を象徴する空間や、モビルスーツのような姿で空をとんでいたり、または牢獄へと落ちてゆく。こちらのVR作品は申し込みが必要なので、ぜひ事前にチェックしてほしい。

そして最新作にもぜひ注目。『時間(タイム)のT』は、時間についての考察。引用やアニメーション化した映像の断片がアルゴリズムで編成される。太陽暦や国際的な基準時刻GMTの導入など、アジアにおける時間の捉え方の変化について、素粒子の時間や生命の寿命、時間とはなにか、「時間」そのものの歴史にも触れていく。

本展では、映像を用いたインスタレーションはじめ、長編映像や体験型のVRもあり、作品に向き合うことがそのまま「時間」の経過と重なっていく。そして私たちも歴史の一部。もちろん、どのように作品と向き合うかは自由、まずは足を運んでみてほしい。

また現在、『サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」 Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展』も開催中。 1日かけてゆっくりと、東京都現代美術館で過ごしてはいかが?

ホー・ツーニェン エージェントのA
期間/2024年4月6日(土)〜7月7日(日)
時間/10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日/月曜日(4月29日5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
会場/東京都現代美術館 企画展示室 B2F
観覧料/一般1,500円 、大学生・専門学校生・65 歳以上1,100円、中高生600円、小学生以下無料
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL/www.mot-art-museum.jp/exhibitions/HoTzuNyen/

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